そして、二、三日してまた不思議な出来事が起きた。

それは、仕事の帰り道、いつもは明るい大通りを通るのだが、この日は残業で遅くなり、

早く帰りたいと近道を選択してしまった。

人通りがなく、真っ暗な道を歩いていると、後ろから誰かが後をつけてくる気配を感じた。

私が足を止めると後ろの足音も止まる。

どうしよう、怖い。

私の目の前に一人の男性が現れた。

私はビックリし過ぎて、固まった。

後ろからついて来ていた気配は消えた。

「大丈夫?誰か後ろからつけて来たみたいだけど……」

その言葉に慌てて後ろを振り返ると、走って遠ざかっていく姿を確認した。

やっぱり、つけられていたんだ。

急に怖くなり、涙が溢れて来た。

彼はそっと肩を支えてくれた。

なんて暖かいの、なんて安心するんだろう。

「もう、いくら近いからって、この道は使っちゃダメだよ」

私は泣きながら頷いた。

「アパートまで送るよ」

そう言って、彼はアパートまで送ってくれた。

「ありがとうございました」

そう言って頭をぺこりと下げた。

頭を上げた時、もう彼の姿はなかった。

周りを見回しても見当たらない。

彼は誰なの?

そう言えば、私のアパートなんで知ってたの?

部屋が二階ってなんで知ってたの?

不思議な事が重なって、この時私は自分がおかしくなったと思った。