「私、霊感があるんです、多分この世に未練がある霊体が彷徨っているんですよね、殆どの人間はわからないと思うんですが、私は感じることは出来ます、驍と連絡取れなくなって、
同じ会社の方が店にいらした時、分かったんです、きっと別れを伝えるために、その方は頼まれたんだろうって、でももし、そうじゃなくて、驍が霊体になってしまって、私を助けてくれたのなら、嫌われたんじゃないって思えるから、だから……自分かってですよね」

琴葉、その通りだよ、俺が琴葉を嫌いになるわけないだろう。

でも、その言葉は宙を飛んで琴葉に伝わらずにシャボン玉のように消えた。

「でも、嬉しい反面、悲しいです、驍が霊体になったのなら、話すことも出来ない、でももし私を嫌いになったのなら、生きていてもどっちにしろ話すことは出来ないですよね、私は驍に嫌われたなら、生きていけない、でも私をまだ愛していてくれるなら、霊体でもそばにいて欲しいって、思いました」

琴葉、俺はどうしたらいいんだ。

「ごめんなさい、驍と思いたくて、あなたは優しい霊体さんですね、助けて頂いた上に私の茶番に付き合ってくださって感謝します」

俺は琴葉をずっと愛し続けている驍だ、どうやったらこの気持ちが伝わるんだ。

「ありがとうございました、それじゃおやすみなさい」

琴葉はそう言ってドアを閉めた。