俺は琴葉の事が気になり、霊体のまま彷徨っていた。

琴葉は仕事帰り、また近道をしようとしていた。

「この道は使うなって言ったのに、琴葉は何を考えているんだ」

不安は的中した。

コンビニからずっと琴葉の後をつけて来た不審者がいた。

琴葉は足早にアパートを目指した。

急に琴葉は立ち止まった。

琴葉、立ち止まったら追いつかれるのに、どうしたと言うんだ。

不審者はどんどん琴葉に近づいて来た。

俺は琴葉に近づき、琴葉を抱き抱えた。

琴葉の身体は宙に浮かんだ。

琴葉は驚いた表情を見せた。

不審者は腰を抜かしてその場を走り去った。

それはそうだろ、目の前で人間が浮いてるんだから、驚かないやつはいない。

危機一髪でまた危険を回避出来た。

俺は琴葉を下に下ろし、琴葉を見つめた。

琴葉には俺の姿は見えない。

キョロキョロ辺りを見回していた。

このまま琴葉をこの場所に置いて行くことは出来ないし、どうすればいいんだ。

悩んでいると琴葉はとんでもない言葉を口にした。

「あのう、どなたかいるんですか、もしかして驍?」

俺は心臓が止まるかのような驚きを覚えた。