空を見上げると、太陽がさんさんと輝いていた。
 照りつける日差しは強く、立っているだけで汗が流れてくる。

「絶好の海水浴日和かな?」

 同じことを考えている人は多いみたいで、すでに砂浜はたくさんの人がいた。
 あちらこちらにシートが敷かれ、パラソルが立てられている。

 僕もシートとパラソルを設置して、その上に荷物を置いた。
 太陽を浴びるようにしつつ、三人を待つ。

 僕は男なので着替えは簡単に終わるのだけど……
 ソフィア達は女性だから、ササッとというわけにはいかない。
 更衣室も混んでいるみたいだから、少し時間がかかるだろう。

「……うーん」

 ちょっと落ち着かない。
 ソワソワとしてしまう。

 もう少ししたら、水着に着替えたソフィア達が……

 どんな水着を着ているのだろう?
 そんなことを考えるのはどうかと思うのだけど……
 でも、僕も男。
 ついつい想像してしまう。

「おまたせしました」

 振り返ると……

「あ……」
「ど、どうでしょうか……?」

 ソフィアが選んだのは、白のビキニだった。
 フレアビキニっていうのかな?

 品を感じられるのだけど……
 フリルがつけられていることで、胸の大きさが強調されているような気がする。
 清楚なのだけど艶もある、という、一見すると矛盾した魅力が。

 着痩せするタイプなのか、こうして水着姿を見ると、なんていうか……色々とすごい。
 普段は見ることのない肌。
 陶器のように白く、輝いているかのようだ。

「……」
「あの……フェイト?」
「……」
「その、もしかして似合っていませんか……?」
「はっ!?」

 いけない。
 ついつい見惚れてしまい、言葉を忘れていた。

「う、ううん、そんなことないよ! すごく似合っているよ!」
「本当ですか?」
「うん。本当によく似合っているから、なんかもう、言葉が出てこなくて……ソフィアのことで頭がいっぱいになって……うん、すごくかわいい。すごく綺麗」
「あ、ありがとうございます」

 ソフィアは顔を赤くして照れる。
 そんな仕草も魅力的で……
 ともすれば胸に視線が吸い寄せられてしまいそうになるのだけど、我慢。

「おとーさん……わたし、どう?」

 アイシャはワンピースタイプの水着だ。
 色は淡いグリーン。
 大きめのフリルがついていて、とてもかわいらしい。

 ちゃんと尻尾用の穴があるらしく、窮屈そうな感じもしていない。
 その尻尾は落ち着きなさそうに揺れていた。
 たぶん、僕の感想を気にしているのだろう。

「うん。アイシャもすごくかわいいよ」
「本当?」
「もちろん。ぎゅう、って抱きしめたいくらい」
「えへへ」

 アイシャは尻尾を胸元に抱きしめて、うれしそうにはにかむ。
 なんだろう、天使だろうか?

「じゃあ、最後に真打ち登場ね!」

 元気よく現れたのは、パレオがセットになった水着を身に着けたリコリスだ。

 普段の性格というか、言動は元気すぎるのだけど……
 こうしていると、とても輝いているように見えた。

 元気で明るく……
 なおかつ女性としての魅力もあり、リコリスの新しい一面を知ることができた。

「リコリスも似合っているよ」
「でしょ? このハイパーウルトラミラクルマジカルラブリー妖精リコリスちゃんが水着になれば、悩殺できない男なんていないわ! 世界の男は、みんな、あたしにひれ伏すのよ! はーっはっはっは!」

 水着は似合うのだけど……
 中身はいつものリコリスのままだった。

「あの……フェイトもかっこいいですよ?」
「そ、そうかな?」
「はい。その……引き締まっているというか、スラリとしているというか……ちょっと、見るのが大変なくらいかっこいいです」
「大変なの?」
「フェイトの水着姿なんて初めてなので……勝手に顔が熱くなってしまいます」

 そう言うソフィアの頬は赤い。
 ソフィアって大人なように見えて、ちょっと初心なところがあるんだよね。
 まあ、それは僕も同じかもしれないけど。

「と、とにかく、今日は海を楽しもうか」
「はい、そうですね」
「わくわく」
「思いきり遊んでやるわ!」

 空で輝く太陽に負けないくらい、僕達の笑顔も輝いていた。