「『して』って何を?」


「俺が今したこと」


 え?


「『今したこと』って?」


「だから夕鶴の胸に付けたようなこと」


 私の胸に……?
 付けた……?


「俺にも夕鶴と同じ印を付けて」


 ……?


「印って……?」


「愛の証となる印」


「愛の……証……?」


「もう、夕鶴は鈍いな。
 今、部屋のあかりを点けるから。
 そうしたら見えるはずだよ。
 赤くきれいな印が」


 えっ⁉

 部屋のあかりを⁉

 そっ……それは……っ‼


「しゅっ……隼理くんっ、部屋のあかりは点けないでっ」


 部屋のあかりを点けるだなんてっ。
 そんなことっ。
 恥ずかしいっ。


 ボタンが外れ、乱れているパジャマ姿。
 
 そんな姿なのに。
 部屋のあかりを点けられたら。
 はっきりと見えてしまう。

 そして、そんな姿を隼理くんに見られたら。
 ものすごく恥ずかしい。

 だから。


「ちょっと洗面所に行ってくるっ」


 そう言って洗面所へ向かった。