「……あっ……芦達先生っ」
親切にしてくれている芦達先生に申し訳ないと思いながらも。
「いっ……いいんですかっ?」
必死に芦達先生に訊ねた。
「『いい?』って何が?」
けれど。
私の必死の問いかけに。
芦達先生は。
『何のこと?』というような表情をしている。
あっ……芦達先生~っ。
私の言葉が。
伝わらなかった~っ。
……仕方がない。
こうなったら……。
「……その……
おっ……お姫様……抱っ……」
『お姫様抱っこ』
思い切って言うつもりだった。
だけど。
実際に言おうと思うと。
だんだんと恥ずかしくなってきて。
はっきりと言うことができなかった。
「あぁ、そのこと」
はい、そのことです、芦達先生。
やっと、わかっていただけましたか。
それなら、お姫様抱っこをすることは……。
「気にしなくていいよ」
え……。
「少しでも早く神城さんのことを保健室に連れて行くことが大事だから」
えっ……えぇっ‼
あっ……芦達先生っ‼
芦達先生の親切は。
とってもありがたく感謝しています。
でも……っ‼
やっぱり……‼
やっぱり、お姫様抱っこ、は……‼
そう思っている間にも。
芦達先生は保健室へ向かうため前に進み出している。
マッ……マズい‼
これは……‼
だって……‼
保健室へ向かうとき……っ。