「そっか、教えてくれてサンキュー」


 ……なんとか。
 気付かれずにすんだ……かな。


 隼理くんはスマホが置いてあるダイニングテーブルの方へ向かった。

 私は、その後ろ姿をじっと見つめた。


 隼理くんは。
 美輝さんの名前を見て。
 どういう反応をするのだろう。

 私がいる中で。
 隼理くんは。
 どういう行動に出るのだろう。

 私がいるところで。
 隼理くんは。
 折り返し電話をするのだろうか。

 それらのことがとても気になった。


 もし。
 隼理くんが。
 そわそわした様子で。
 別の部屋に行って隠れるように折り返し電話をしたら……。

 そう思うと……。


 確かに別の部屋に行って折り返し電話をするということは、礼儀の場合もある。

 けれど。
 この場合は。
 そういうことではなく。
 何かやましいことがあるから……になるだろう。



 そう考えている間に。
 隼理くんがダイニングテーブルに置いてあるスマホを手に取った。

 そのままスマホの画面を見る、隼理くん。


 その様子を。
 ものすごく緊張しながら見つめる。
 ……というか、ヒヤヒヤ……なのかな。

 隼理くんは。
 どんな表情をするのだろう、と。


 そして。
 隼理くんの表情は……。