そう思うけれど。

 隼理くんが私の人気をすごく心配してくれている。

 それは、それだけ私のことを想ってくれているということでもある。

 そう思うと、すごく嬉しい。


 だけど、やっぱり隼理くんが心配する必要は全くない。



 だから隼理くんに。
『人気という感覚は全くないけど、
 もし仮にそうだとしても同性だから。
 隼理くんが心配することは全くないよ』
 と言った。


 だけど隼理くんの心配は消えないみたいで。

『女子だろうが男子だろうが、
 俺以外の人が必要以上に夕鶴に熱が入った感情を抱くのは嫌だ。
 確かに男子はもっと嫌だけど』

 そう言った隼理くんは少しふてくされている様子だった。

 隼理くんは、ふてくされながら話を続ける。
『夕鶴は軽音楽部の絶対的エース。
 夕鶴が大勢の生徒たちから注目されて人気が出て
 モテていくことが俺はすごく心配。
 夕鶴が他の誰かに取られてしまうんじゃないかって、
 そう思うと……』と。

 隼理くんはそう言って不安げな表情を見せた。


 隼理くんが私のことで不安になっている。

 隼理くんがそう思っていたなんて全く知らなかった。

 だから隼理くんの気持ちを聞いたときは驚いた。



 ……でも。
 それは、私も同じ気持ち。

 隼理くんがあまりにも人気過ぎて。
 いつか誰かに取られてしまうかもしれない。
 そう思うと、心配が絶えない。


 でも、まさか隼理くんも私と同じ不安を感じているとは……。


 …………。

 …………。

 ……って。