朝海が言うには。
私は軽音楽部のエース。
私は軽音楽部の部員でボーカルを担当している。
その軽音楽部で。
どうやら私はエースらしい。
朝海が言っていた。
私が特にエースと呼ばれるようになったのは。
今年の新入生歓迎のときに行ったライブのときのこと。
そのときに新入生たちの前で歌ったことがきっかけで。
私が歌っている姿が新入生たちの間で『かっこいい‼』となったらしい。
それ以降、私は新入生たちの憧れの存在となった。
とのこと。
エースというだけあって。
私が廊下を通るだけで。
生徒たちが私のことを憧れの眼差しで見ているらしい。
ということを朝海から聞いたけれど。
私はそんな感覚は全くなく、ピンとこない。
そんな私に、朝海はこうも言った。
『モテるエース女子とイケメン先生は罪だね~』と。
そのときの朝海の表情は、にんまりとしていた。
私は朝海に『もう、何言ってるの』と言った。
けれど朝海は『何照れちゃって可愛い~』と言って、さらににんまりとしていた。
でも。
違う。
朝海はそう言ったけれど。
私の人気と隼理くんの人気の意味は全く違うと思う。
私の場合は。
女子生徒たちは同性だから。
隼理くんが心配することは何もない。
でも隼理くんの場合は。
女子生徒たちは異性なわけで。
私にとっては、ものすごく心配なこと。
同性からの人気と。
異性からの人気。
それらは大きく異なる。
だから。
もし私に人気があるとしても。
隼理くんは全く心配する必要はない。