私が通っている高校は女子校。

 その名の通り。
 生徒は皆女子ばかり。


 その中に超美男子の隼理くんがいる。
 モテない理由はない。

 隼理くんが廊下を通るだけで。
 生徒たちは、とろけるような顔で隼理くんのことを見ている。



 ちらっと耳にした情報によると。
 学校内に隼理くんのファンクラブがあるらしい。

 そのファンクラブは、ある生徒たちが立ち上げたとのこと。
 会員は、かなりの人数がいるらしい。


 それくらい隼理くんは人気なのに。
 隼理くん本人は全くその自覚がないみたい。


 そう感じた理由は。

 前に隼理くんに。
『あまりにも人気があるから心配』
 みたいなことを言ったことがあった。

 そうしたら隼理くんは。
『そうなの? そんなことないけど。
 もし、そうだとしても俺は全く興味がない』
 と言っていた。


 逆に、こんなことを言われた。
『それは、こっちのセリフ』だと。

 私は意味がわからなくて『どういう意味?』と訊いた。

 そうしたら隼理くんは『夕鶴は鈍いな』と言って。
『夕鶴は生徒たちにモテモテだから俺はすごく心配だってこと』と言った。


 隼理くんはそう言ったけれど。
 私自身、そんな感覚は全くない。


 けれど。

 確かに。
 そのようなニュアンスのことは耳にしていた。
 だから全く知らないということはないのだけど。



 前にこんなことを言われたことがあった。

 それは同じクラスで友達の嬉野(きの)朝海(あさみ)の言葉。
『夕鶴の人気と飛鷹先生の人気は、いい勝負になる』と。