「よし」


 一声発してキッチンの前に立った私は朝ごはんの支度を始める。


 まずは食材の確認。

 冷蔵庫の中には。
 ハム・卵・ウインナー・レタス・キュウリ・ミニトマト……。

 これだけ揃っていれば十分。


 これらの食材で。
 ハムエッグを作り。
 ウインナーを炒めて。
 レタスとキュウリとミニトマトを盛り付けて。
 キュウリは昨日の夜、輪切りにしておいたものを使う。

 あとは。
 コンソメスープの素があるから。
 それをカップに入れてお湯を注ぐ。
 この季節に飲む温かいスープは身体が温まってとても良い。
 なんだか、ほっとした気持ちにもなる。

 それから。
 野菜ジュース。


 隼理くんは毎朝、野菜ジュースを飲むらしい。

 手軽に野菜の栄養を取ることができるからって。


 それから、もう一品。
 食パン。
 オーブントースターで焼くけれど。
 トーストはすぐに冷めてしまうので。

 それは隼理くんが浴室から出てきたときに。



 と、ちょうど。
 入浴を済ませた隼理くんが浴室から出てきた。


 って。

 ……‼

 しゅっ……隼理くんっ。


 隼理くんが浴室から出てきたところを見た私は。
 あまりの光景に心臓が口から飛び出そうになった。


 なぜなら……。

 隼理くんの姿が……。

 もちろんズボンは履いている。
 けれど。
 上半身は肩にタオルをかけただけの状態だった。

 鍛えられた胸筋とキュッと引き締まった腹筋。
 それらがタオルの隙間からちらりとのぞいていた。

 その姿があまりにもセクシーだから。
 隼理くんのことを直視することができない。


「しゅっ……隼理くんっ」


「うん?」


「ふっ……服着てよっ」


 私は隼理くんのことを直視できないままそう言った。


「なんで」


 ……‼

『なんで』って……。

 そんなこと……っ。


「だっ……だって服着ないと湯冷めしちゃう。それに……」


「それに?」


「……恥ずかしい……」


 からに決まっているじゃないっ。


 だからっ。

 早くっ。

 早く服を着て~っ‼