「…………」


 …………。


 ……無言……。


 私が話し終えても隼理くんは無言のまま。



 私は今、隼理くんに抱きしめられている。

 だから隼理くんの顔を見ることができない。

 今、隼理くんが、どういう表情をしているのか。
 それを知ることができない。


 …………。


 ……このまま。

 このまま無言では何も進まない。


 それに。
 なんだか落ち着かない。


 そう思った私は隼理くんに声をかけようとした、ら……。


「……なんだよ……」


 え……?


「……なんだよ、仲間って。
 そんなの俺がいれば充分だろ」


「隼理くん……」


「それに、あいつら」


「あいつら……?」


「あいつら夕鶴に『きゃあきゃあ』と言いやがって。
 俺の夕鶴なのに」


 隼理くんは子供のように拗ねた言い方をしている。


「『あいつら』って……。
 それに『きゃあきゃあ』なんて言われてないよ」


「いいや、言われてる」


 隼理くんはきっぱりと言い切った。


「仮に言われてるとしても……女子だよ?」


 私はそう言ったのだけど。


「女子でも嫌なものは嫌なんだよ。
 夕鶴は俺だけの夕鶴なんだから」


「隼理くん……」


「……仕方がない」


 え……。


「ライブの打ち合わせに行っていいよ」


 隼理くん……。


「ありがとう、隼理くん」


「……ただ……」


 ……?


「ただ……?」