翌日。


 今、隼理くんの部屋にいる。


 今日は土曜日ではない。
 けれど高校を卒業して休みに入っている。

 隼理くんも仕事は休み。

 だから明日の朝まで隼理くんと一緒に過ごすことができる。


 今は昼ご飯を食べ終わり。
 ソファーに隼理くんと寄り添って座りテレビを観ている。



「夕鶴」


 そのとき。
 隼理くんがやさしく私の名前を呼んだ。


「渡したい物があるんだ」


 そう言って。
 隼理くんはソファーから立ち上がり、リビングを出た。

 隼理くんは、すぐにリビングに戻ってくると。
 ソファーに座っている私の隣に再び座った。


「これ夕鶴に」


 隼理くんはそう言うと。
 縦長の小さな箱を私に渡した。

 その箱には、かわいらしいピンク色のリボンが結ばれている。


「開けていい?」


 私がそう訊くと。
 隼理くんは笑顔で「もちろん」と言った。


 何が入っているのだろう。

 そう思い、わくわくしながらピンク色のリボンをほどいていく。

 リボンをほどき終わり。
 いよいよ箱の蓋を開ける。

 リボンをほどいていたときよりも。
 もっとわくわくした気持ちが膨れ上がる。
 そしてドキドキもしてくる。

 そんな気持ちに包まれながら。
 そっと箱の蓋を開ける。


「隼理くんっ、これ……‼」


 箱の中に入っていたのは。
 かわいらしいネックレス。

 色はシルバー。
 デザインはシンプル。
 その中にも、やさしい輝きが満ちている。


「卒業、おめでとう。夕鶴」


 隼理くんからの卒業祝い。


 思いもしなかった贈り物。
 それをもらって驚いた。

 だけど。
 それ以上に。
 嬉しい気持ちが何十倍、何百倍も勝った。