七月の下旬。

 梅雨が明け。
 それと入れ替わりに。
 蝉の鳴き声が活発になってきた。

 その鳴き声は。
 夏本番になる合図のよう。


 その合図に合わせるように。
 今日から夏休みに入った。


 せっかくの夏休み。
 少しくらい遅くなってもいいと思っていたのに。
 結局いつも通り……ううん、それよりも早く目が覚めてしまった。

 それなら。
 二度寝をすればいい。
 そう思った。

 けれど。
 夏休みの初日。
 そんな日に早起き。
 それも、ありかな。

 そう思いながら。
 ベッドから起き上がり。
 窓の方へ。


 朝起きたとき最初にすること。
 それは窓のカーテンを開けること。

 そのあと窓を開ける。
 ただ、冬や寒い日は窓を開けない日が多い。


 今日もいつものように窓を開けた。
 その瞬間、夏の香りを含んだ朝の空気がスッと部屋の中に入り込んでくる。

 それは、とても心地良く。
 やさしさに包まれているよう。

 その空間の中で。
 全身を思いきり伸ばし。
 早朝の澄んだ空気をたっぷりと身体中に取り入れた。

 心地良さとやさしさが。
 全身に行き渡っていくことがわかる。


 それにしても。
 まだ早朝なのに。
 すでに暑い。
 午後からは相当暑くなるだろう。

 そう思いながら。
 ゆっくりと窓を閉めた。



 やっぱり。
 今日は早く起きて良かった。

 そのおかげで。
 たっぷりと時間がある。
 だから支度も余裕を持ってすることができる。


 今日は。
 久しぶりに隼理くんと会える。
 だから時間に余裕を持って落ち着いた気持ちで会いたい。