「柚翔は女装を趣味としていて、
 私は男装を趣味としている」


「うん」


「だから柚翔は女装、私は男装をして、
 見た目の性別を入れ替えてデートをするっていうのはどう?」


 えっ⁉


「ふふっ、良い考えでしょ」


 ……真彩。
 それは勘弁してほしい。


「柚翔? なんで黙ってるの?」


 なかなか返事をすることができていない。
 だから真彩はそう訊いてきた。


「え……えっと……」


 黙ったつもりではない。
 だけど返事にとても困る。


「すごくいいアイデアだと思うでしょ」


 真彩はニコッとしている。

 に対して。


「……それは……」


 困ってなかなか言い出せないでいる俺。


「ねぇ、どうなの?」


 すると真彩はさらに訊いてきた。


「う~ん……」


 こういうとき。
 一体どういうふうに言えば……。


 と思ったけれど。
 いつまでも考えていてもしかたがない。


「……やっぱり……ちょっと……照れる……かな……」


 だから。
 勇気を出してみる。

 そうしたら、なんとか言うことができた。


 真彩はこの言葉に対して何て言うのだろう。