「いいじゃん」


 え……?


「いいじゃん、柚翔。
 いいねー、可愛い、女装してる柚翔も」


 えっ⁉


「柚翔、もともと可愛い顔してるもんね。
 だから女装しても合うよね」


 いい意味で真彩の予想外の反応。

 だから、ものすごく驚いた。


「なに、さっきから固まってるの、柚翔」


 真彩はそう言って俺の顔を覗き込むように見た。


「ま……ま……ま……」


 真彩の言葉を聞いて安心して全身の力が抜けた。
 それだからか、声をうまく出すことができない。
 真彩の名前を呼ぼうとしているのに。


「どうしたの、柚翔、『ま、ま、ま』って。
 私、柚翔のママじゃないよ」


 真彩は無邪気な笑顔でそう言った。


「……ま……真彩……」


 なかなか出ない声。
 なんとか振り絞りながら真彩の名前を呼ぶことができた。


「なぁに、柚翔」


「……てくれるの……?」


 なかなか声が出ない。
 だから初めの方の言葉が欠けてしまった。


「柚翔、今なんて言ったの?
 よく聞こえなかった」


 やっぱり真彩には聞こえていなかった。


「……俺と……一緒に……いてくれるの……?」


 だから。
 必死に声を出してそう言った。