ハッとして目を見開く水無月くんは、大げさなほどに辺りを見回し、ふるふると震えながらまたこちらを見つめる。


「瀬戸さん……」


余程怖いのか、水無月くんは固い表情で私を凝視する。
これは、声を出したのは私だと教えてあげるべきか……と口を開きかけると


「瀬戸さん!!」


突然カッと目を見開いた水無月くんに、両手で包み込むようにして強く手を握り締められた。


「ついに僕、幽霊の声が聞こえるという特殊な力が備わったみたい!」


目をキラキラさせて、欲しかった玩具を買ってもらった子供のように喜びをいっぱいに表す水無月くんに、しばらくの間脳がフリーズしたように動かなくなった。


「いやあーそろそろそんなパワーが身についてもいいかなって思っていたんだ。これで動物さんだけじゃなくて、幽霊さんともお話出来るね!どうしよう、お友達すっごく増えちゃうなあ」


えへへと笑って嬉しそうに頬を染める水無月くんは、握り締めた手を大きく振って喜びを表す。