「でも、久しぶりにマルちゃんに会えて嬉しかったな……。本当にね、びっくりするくらい似てるんだよ」


厳密にはマルちゃんではないのだが、水無月くんは大変嬉しそうに頬を緩めて画像を眺めているので、何も言わずにその様子を眺める。
そうして黙って微笑んでいればただの完璧なイケメンなのに、口を開けば残念のオンパレード。他の女子達がこぞって口にするように、そこが本当に残念だ。


「……ほんと、神様って残酷かも」


小さく呟いた声に、水無月くんが顔を上げて不思議そうに首を傾げる。


「瀬戸さん、今何か言った?」

「別に何も」


もし仮に、水無月くんが残念ではない本物のイケメンであったなら、彼がこうして私に懐くことはなかったのだろう。
水無月くんの周りには可愛い女子と、同じようなタイプの男子が集まって、いつだって賑やかな輪が出来ていたに違いない。
そんな輪の中にいる方が、私と一緒にいるよりもよっぽど自然な気がする。


「もしかして、幽霊……?」

「……は?」


“もしも”な想像に浸っていた私の耳に、突然おかしな単語が飛び込んできた。
そのため、問い返した声が思わず険しくなる。