「これが、昨日会ったマルちゃん似のワンコさんで、お名前を“そう次郎くん”というそうです!」
特に犬好きでもない私にしてみれば、マルチーズならどれも同じに見えるのだが、水無月くんに言ったら面倒くさいことになりそうなので黙っておく。
画面の中のマルチーズは、“そう次郎”なんて男らしい名前の割に、やたらとフリフリしていた。
飼い主の趣味だろうか。両耳についたリボンはまだしも、フリルとレースがたっぷりのまるでドレスのような洋服は、これからどこぞのパーティーにでも出席するような雰囲気を漂わせている。
男の子ならせめてタキシードのようなかっこいい服を着せてあげればいいのに……と思って顔を上げると、困ったように眉根を寄せて待ち構えていた水無月くんと目が合った。
「実はそう次郎くんはね、本当は女の子なんだって。でもそれに気がついたのは名前が定着したあとだったから、もう変えるに変えられなくて、こんな形で女子力をアピールしているそうだよ」
それであんなにフリルまみれなのか……うっかりさんな飼い主を持ったそう次郎くんがかわいそうに思えてくる。
特に犬好きでもない私にしてみれば、マルチーズならどれも同じに見えるのだが、水無月くんに言ったら面倒くさいことになりそうなので黙っておく。
画面の中のマルチーズは、“そう次郎”なんて男らしい名前の割に、やたらとフリフリしていた。
飼い主の趣味だろうか。両耳についたリボンはまだしも、フリルとレースがたっぷりのまるでドレスのような洋服は、これからどこぞのパーティーにでも出席するような雰囲気を漂わせている。
男の子ならせめてタキシードのようなかっこいい服を着せてあげればいいのに……と思って顔を上げると、困ったように眉根を寄せて待ち構えていた水無月くんと目が合った。
「実はそう次郎くんはね、本当は女の子なんだって。でもそれに気がついたのは名前が定着したあとだったから、もう変えるに変えられなくて、こんな形で女子力をアピールしているそうだよ」
それであんなにフリルまみれなのか……うっかりさんな飼い主を持ったそう次郎くんがかわいそうに思えてくる。