「じゃーん!」


楽しそうな水無月くんが取り出したのは、“大人な苦味のコーヒー牛乳”なるもの。
取り出した二本の紙パック入りコーヒー牛乳を私の机に並べると、あとは嬉しそうにひたすらにこにこ笑っている。


「えっと……これは?」


またいつかの桃太郎ルールのように、わけのわからない独自のルールを突きつけられたらたまらないから、決して手は触れずに問いかける。


「うん!僕が瀬戸さんにあげたチョコチップメロンパン、あれにはね、このちょっとコーヒーの苦味が強めのコーヒー牛乳がよく合うんだ」


へーと気のない返事をしつつ、突然目の前に現れたコーヒー牛乳を見つめる。
私はそもそも牛乳はよく飲むが、コーヒー牛乳をあまり飲まない。


「合うのはよくわかったけど、でもなんで今?」

「えっ?」


何言ってるのとでも言いたげな声に視線を上げると、完全にそう言いたげな表情をした水無月くんがこちらを見つめていた。