放課後を告げるチャイムが鳴り響いて、クラスメイト達はすっきりした顔で教室を出て行く。


「また明日ね、瀬戸ちゃん!元気出すんだぞ」

「明日にはきっと水無月くんも来るだろうからさ」

「ばいばーい!一人の帰り道は気を付けないとダメだよー」


好き勝手なことを言いながら去っていく友人達を見送り、深く深く息を吐く。


「瀬戸さ、今日はため息多いよな」

「しょうがないだろ、今日は水無月がいないんだから。なあ?瀬戸」

「なんか水無月がいないと、心なしか教室が静かに感じるよな」

「なるほど、それでか。俺も、今日はなんかいつもと違って静かだなって思ってたんだ」


水無月くんにいつも占領されている隣の席の男子と、その友人達にも慰めるように声をかけられ、言い返すのも面倒くさくて適当に相槌を打っておく。
それぞれに部活や遊びや真っ直ぐ家にと散っていくクラスメイト達を見送っているうちに、気がつくと教室に一人ぼっちになっていた。


「……元気なら有り余ってるし、別に寂しくなんかないし、確かにちょっといつもよりは静かだったかもしれないけど、でもため息だって言うほどたくさんついてないし。それに水無月くんがいない放課後は、いつもより早く帰れるから全然……心配、いらないし」