もちろん私の予想通り何時間待っても幽霊など現れず、下校時間をとっくに過ぎて見回りに来た教師に見つかった私達は、問答無用でお説教をくらい校門まで強制連行された。


「あれは、時間がよくなかったのかなって思ったんだ。幽霊さんだって、タイミングってものがあるでしょ?やっぱり、四時四十四分四十四秒に訪ねるべきだったんだよ!」


真剣な顔をして、とんちんかんなことを語る水無月くんに、返事の代わりにあくびを返す。
昨日は、出来るだけ暗くなってから行った方が会えるに違いない!と自信満々だったくせに。


「あれ、瀬戸さん眠いの?」


珍しく水無月くんが私の様子を気にした。
でもそんな珍しさを気にする余裕もないくらいに、今の私は眠い。
昨日学校を出たあとに、どうしてもそう次郎に会わせたいという水無月くんに引っ張り回されて、どこにいるかもわからない犬を捜して街中を歩き回った挙句に、家に帰ってから終わらない宿題と夜中まで格闘していれば寝不足にもなる。


「水無月くん、宿題全部終わったの……?」


訊くまでもないことを訊いてしまった私は、余程眠気がピークに達していたのだろう。脳の働きが鈍くなるくらいに。