「おはよう瀬戸さん!今日の僕はチョコチップ入りメロンパンを食べてきたから、最高に元気だよ」


朝からやたらハイテンションな水無月くんに、ややうんざりしながら机に伏せていた顔を上げる。


「おはよう水無月くん……。元気そうで何よりだけど、水無月くんメロンパンは苦手だって言ってなかった?」

「うん、苦手だよ!メロンパンはね」


いつも通り、自分の席でもないのに当たり前のように隣の席に座ってこちらを向いた水無月くんが、満面の笑顔で頷いてみせる。


「メロンパンはメロンの味がするから苦手なんだ。でも、今日のはチョコチップが入っていたから」


今日も爽やかに笑う水無月くんは、顔だけ見ればただのイケメンだが、言っていることはとても残念な、いわゆる残念なイケメンっぷりを存分に発揮している。

メロンパンはメロンの味がするから苦手だと水無月くんは言うが、彼はフルーツのメロンなら食べるのだ。
それなのにメロンの味がするから苦手だというその理屈が、よくわからない。

まあこれに限らず、彼の言うことや考えていることは九割方よくわからないけれど。