教会がもうすぐ完成しそうなので、慌てて侍祭候補を探しに行った。
生活能力ゼロのヒロイナは、間違いなく我が家にたかってくるであろう。
そして、俺とカトリナの夫婦生活にも色々口を出してくるのではあるまいか。
そんなことをさせるわけには行かない。
ということで、教会周辺でヒロイナの生活を完結させるべく、彼女のお付となる侍祭候補……。
身寄りのない子どもを募集することにした。
ここは手前村。
「身寄りのない子どもを募集している……!!」
「ひえっ、勇者様、まさか何か怪しい魔法の実験に使う……?」
「お前ら俺を何だと思っているんだ!?」
失敬な。
「勇者村にも教会ができるんだ。司祭が一人だけだから、侍祭を二人くらい欲しくてな」
教会は孤児院を兼ねたりすることが多い。
身寄りのない子どもは、大きな町なら基本的に教会にいると考えて間違いない。
手前村にも小さな教会があり、そこで魔王との戦いで焼け出された子どもを何人か引き取っているらしい。
「子どもを見せてくれるかな」
「その……勇者様一人だけだと子どもが怯えるので」
「俺を何だと思っているんだ……!?」
結局、俺一人だけでは子どもに会うのはNGだということだった。
仕方ないので、ここは当事者であるヒロイナにご登場願う。
「ふふふ……。ショート、あたしをお姫様抱っこする権利をあげるわ!!」
「いらない……。ほら、背中におぶされ」
「なんでよー!! なんであたしには塩対応してくんのよあんたー!!」
「夫婦生活に満足しているので」
「むかつくーっ!!」
空を飛んでいる間中、ポカポカ叩かれた。
無論、レベル限界突破している俺の防御力からすると蚊が刺したほどもダメージはない。
むしろ、どんなに防御力を上げてもチクッと刺して痒くしてくる蚊は、絶対防御力虫(無視)の力を持っていると俺は睨んでいる。
南国だと疫病も媒介するから、蚊への対策も考えておかないとな。
「いきなり反応無くなってつまんないんだけど!」
「おっと! 蚊のこと考えてた」
「蚊!? あたしより蚊かーっ!!」
何やっても怒るなこいつは!
ということで、ヒロイナを連れてやって来た、手前村の教会。
「お前生活能力ゼロじゃん。身の回りの世話をする侍祭にするために、子どもを二人くらい連れて行こうと思ってさ」
「ふーん。ほら、勇者パーティの司祭であるヒロイナ様が来たわよ! 開けなさい! ほんっと、しょっぼい教会ねえ」
教会の扉が開くと、年老いた司祭と侍祭の青年、そして子どもたちがいる。
うーむ、なぜみんな、俺に怯えた目を向けるのだ。
「む、村を焼き払おうとした勇者様だ……」
デッドエンド・インフェルノのことかーっ!!
あれは正直済まんかった。
ついカッとなってやった。
「大丈夫。この村は俺と友好関係を結んだから、もう焼き払わないよ」
俺は優しい笑顔を向ける。
すると、気が強そうな女の子が、勇気を振り絞って口を開く。
「とっ、友達じゃなかったら焼き払うんじゃん」
「そうだ」
「ヒッ」
しまった!!
ヒロイナに肘打ちされる。
「ショートは口閉じてて! あんた変なところで正直なんだから! みんなー。勇者様は怖いけど、あれだよ、あれ。戦争の時の後遺症みたいなので攻撃的になってるだけだから。最近だと、可愛い奥さんも捕まえてすっかり温厚に……ケッ」
言いながら、ヒロイナが不機嫌になっていく。
「奥さんって、司祭のヒロイナ様のこと?」
「勇者パーティのヒロイナ様、すごいよねえ」
おお、子どもたちがヒロイナに憧れの目を向けている。
ヒロイナは人格的には問題があるが、ユイーツ神の司祭としては最高クラスの実力者だ。
ギリギリ十代という若さでありながら、彼女のレベルはユイーツ神教の最高司祭を凌駕する。
その実力と、割と歯に衣を着せない物言い、そして計算高さ。
色々煙たがられて、アイドル活動をする名誉職みたいなところに追いやられた可能性が高い。
だが、そのお陰でヒロイナの知名度は抜群だ。
「お、奥さんはあたしじゃないのよー」
ひきつり笑いを浮かべるヒロイナ。
偉いぞ。
子どもの前で、必死に感情を押さえている。
「今日は、みんなの中から、あたしに仕える侍祭になる娘を探しに来たの。二人」
「ふたり!」
わいわいと子どもたちが騒ぎ出した。
年老いた司祭はほうほう、と頷いた。
「ヒロイナ様の侍祭になれるのでしたら、うちでもできのいいこの二人を……」
「だめよ、男じゃない。あたしのお付きになって色々世話をするんだから、同じ女の子じゃないとだめなの! あたしが選ぶわ。えーと」
ざっと子どもたちを見回すヒロイナ。
そして、すぐに一人目を決めた。
「あんた。さっきショートに頑張って話しかけたでしょ。その胆力を買うわ!」
「は、はいっ!!」
気が強そうな子がひとり決まった。
「それからあんた。えーと、なんていうか勇者村のどんなご飯でも美味しく食べそう」
「あ、うちですか~?」
ぽっちゃりした子が選ばれた。
なるほど、なんでもうまいうまい、と食べそうではある。
今のところ、勇者村のうまいうまい勢は俺とブルストの二人なので、新しいメンバーが欲しかったところだ。
「どうせ、教会で食べられるご飯だと満足してないでしょ。それでもぽっちゃりしてるってことは」
「あ、はい。うち、木の実とかたくさん食べてます」
たくましい。
ということで、侍祭になる子は決まった。
「二人をよろしくお願いします」
年老いた司祭と、若い侍祭の青年が頭を下げる。
「じゃあね!」
「遊びに来てね!」
二人の少女が、子どもたちに別れを告げた。
ちょっと教会を離れたところで、ヒロイナがぼそりと呟く。
「あの侍祭の人、ちょっとイケメンだったと思わない? 唾つけておこうかな……」
「好きにしてくれ」
そんなわけで、またまた新たな仲間。
気の強そうな少女はリタ。
ぽっちゃりした少女はピア。
これでヒロイナの我が家侵入を防げるぞ……!!
生活能力ゼロのヒロイナは、間違いなく我が家にたかってくるであろう。
そして、俺とカトリナの夫婦生活にも色々口を出してくるのではあるまいか。
そんなことをさせるわけには行かない。
ということで、教会周辺でヒロイナの生活を完結させるべく、彼女のお付となる侍祭候補……。
身寄りのない子どもを募集することにした。
ここは手前村。
「身寄りのない子どもを募集している……!!」
「ひえっ、勇者様、まさか何か怪しい魔法の実験に使う……?」
「お前ら俺を何だと思っているんだ!?」
失敬な。
「勇者村にも教会ができるんだ。司祭が一人だけだから、侍祭を二人くらい欲しくてな」
教会は孤児院を兼ねたりすることが多い。
身寄りのない子どもは、大きな町なら基本的に教会にいると考えて間違いない。
手前村にも小さな教会があり、そこで魔王との戦いで焼け出された子どもを何人か引き取っているらしい。
「子どもを見せてくれるかな」
「その……勇者様一人だけだと子どもが怯えるので」
「俺を何だと思っているんだ……!?」
結局、俺一人だけでは子どもに会うのはNGだということだった。
仕方ないので、ここは当事者であるヒロイナにご登場願う。
「ふふふ……。ショート、あたしをお姫様抱っこする権利をあげるわ!!」
「いらない……。ほら、背中におぶされ」
「なんでよー!! なんであたしには塩対応してくんのよあんたー!!」
「夫婦生活に満足しているので」
「むかつくーっ!!」
空を飛んでいる間中、ポカポカ叩かれた。
無論、レベル限界突破している俺の防御力からすると蚊が刺したほどもダメージはない。
むしろ、どんなに防御力を上げてもチクッと刺して痒くしてくる蚊は、絶対防御力虫(無視)の力を持っていると俺は睨んでいる。
南国だと疫病も媒介するから、蚊への対策も考えておかないとな。
「いきなり反応無くなってつまんないんだけど!」
「おっと! 蚊のこと考えてた」
「蚊!? あたしより蚊かーっ!!」
何やっても怒るなこいつは!
ということで、ヒロイナを連れてやって来た、手前村の教会。
「お前生活能力ゼロじゃん。身の回りの世話をする侍祭にするために、子どもを二人くらい連れて行こうと思ってさ」
「ふーん。ほら、勇者パーティの司祭であるヒロイナ様が来たわよ! 開けなさい! ほんっと、しょっぼい教会ねえ」
教会の扉が開くと、年老いた司祭と侍祭の青年、そして子どもたちがいる。
うーむ、なぜみんな、俺に怯えた目を向けるのだ。
「む、村を焼き払おうとした勇者様だ……」
デッドエンド・インフェルノのことかーっ!!
あれは正直済まんかった。
ついカッとなってやった。
「大丈夫。この村は俺と友好関係を結んだから、もう焼き払わないよ」
俺は優しい笑顔を向ける。
すると、気が強そうな女の子が、勇気を振り絞って口を開く。
「とっ、友達じゃなかったら焼き払うんじゃん」
「そうだ」
「ヒッ」
しまった!!
ヒロイナに肘打ちされる。
「ショートは口閉じてて! あんた変なところで正直なんだから! みんなー。勇者様は怖いけど、あれだよ、あれ。戦争の時の後遺症みたいなので攻撃的になってるだけだから。最近だと、可愛い奥さんも捕まえてすっかり温厚に……ケッ」
言いながら、ヒロイナが不機嫌になっていく。
「奥さんって、司祭のヒロイナ様のこと?」
「勇者パーティのヒロイナ様、すごいよねえ」
おお、子どもたちがヒロイナに憧れの目を向けている。
ヒロイナは人格的には問題があるが、ユイーツ神の司祭としては最高クラスの実力者だ。
ギリギリ十代という若さでありながら、彼女のレベルはユイーツ神教の最高司祭を凌駕する。
その実力と、割と歯に衣を着せない物言い、そして計算高さ。
色々煙たがられて、アイドル活動をする名誉職みたいなところに追いやられた可能性が高い。
だが、そのお陰でヒロイナの知名度は抜群だ。
「お、奥さんはあたしじゃないのよー」
ひきつり笑いを浮かべるヒロイナ。
偉いぞ。
子どもの前で、必死に感情を押さえている。
「今日は、みんなの中から、あたしに仕える侍祭になる娘を探しに来たの。二人」
「ふたり!」
わいわいと子どもたちが騒ぎ出した。
年老いた司祭はほうほう、と頷いた。
「ヒロイナ様の侍祭になれるのでしたら、うちでもできのいいこの二人を……」
「だめよ、男じゃない。あたしのお付きになって色々世話をするんだから、同じ女の子じゃないとだめなの! あたしが選ぶわ。えーと」
ざっと子どもたちを見回すヒロイナ。
そして、すぐに一人目を決めた。
「あんた。さっきショートに頑張って話しかけたでしょ。その胆力を買うわ!」
「は、はいっ!!」
気が強そうな子がひとり決まった。
「それからあんた。えーと、なんていうか勇者村のどんなご飯でも美味しく食べそう」
「あ、うちですか~?」
ぽっちゃりした子が選ばれた。
なるほど、なんでもうまいうまい、と食べそうではある。
今のところ、勇者村のうまいうまい勢は俺とブルストの二人なので、新しいメンバーが欲しかったところだ。
「どうせ、教会で食べられるご飯だと満足してないでしょ。それでもぽっちゃりしてるってことは」
「あ、はい。うち、木の実とかたくさん食べてます」
たくましい。
ということで、侍祭になる子は決まった。
「二人をよろしくお願いします」
年老いた司祭と、若い侍祭の青年が頭を下げる。
「じゃあね!」
「遊びに来てね!」
二人の少女が、子どもたちに別れを告げた。
ちょっと教会を離れたところで、ヒロイナがぼそりと呟く。
「あの侍祭の人、ちょっとイケメンだったと思わない? 唾つけておこうかな……」
「好きにしてくれ」
そんなわけで、またまた新たな仲間。
気の強そうな少女はリタ。
ぽっちゃりした少女はピア。
これでヒロイナの我が家侵入を防げるぞ……!!