思い立ったが吉日と言う言葉がある。
既に、ハジメーノ王国と連合国は開戦寸前というか、最前線では小競り合いが起こっているらしい。
俺が戦争を止めるために動くと決まったので、すぐに戦地に向かうのが良かろう。
戦争にかまけている暇はないのだ。
俺は作物を育てねばならん。
せっかく芋が収穫できて、次は何を育てようかという話になっていたところだ。
「芋の次は何がいいんだろうな。やっぱり芋かなあ。……あれ? 同じ作物を連続して育てると良くないって聞いたことがあるような、無いような……」
俺はうんうん唸りながら、戦場へ向けて一直線に飛んでいった。
すると、おおよそ十五分ほどで戦場に到着だ。
この世界の一国は、そこまで広くないからな。
バビュンは、風水圧遮断魔法を使うと、大体マッハ10くらいまで加速する。
これだとほぼ一瞬で到着するな。
ただし、俺が生み出したソニックブームで辺り一帯が大変なことになる。
今回はジャンボジェット程度の飛行速度でのんびり行った。
到着すると、既に双方の軍隊がわあわあと叫んでやり合っている。
戦争もう始まってるじゃないか。
俺は戦場の只中に、バビュンで速度を出したまま降り立った。
「ウグワー!」「ウグワー!」「ウグワー!」
俺が着陸した衝撃で、辺り一帯の兵士がぶっ飛ばされる。
『戦争はまあちょっと待て』
俺は拡声魔法スピッカー(俺命名)を用いて、戦場中に声を送り届けた。
『俺は魔王を倒した勇者ショートなのだが、戦争を止めに来たぞ』
「勇者ショート!? 我が国を暗黒竜ダルガスと大空中戦を繰り広げて救ってくれたあの勇者ショートか!」
「勇者ショート!? 我が国に押し寄せる大津波を食い止め、海底魔城に乗り込んで魔将オダゴンを打ち倒したあの勇者ショートか!」
「勇者ショート!? 魔王に寝返ったうちの王様を腹パンして引退させたあの勇者ショートか!」
ほう、俺の評判が広まっている。
これは楽勝な気配?
ハジメーノ王国も、俺の登場に盛り上がっている。
「勇者ショートが来てくれたぞ!」
「来た! 勇者来た! これで勝つる!」
「今だ、攻めろー!!」
うわーっと鬨の声をあげて、連合国に襲いかかろうと……。
「やめろっつってんだろうが念動魔法!」
「ウグワーッ!」
聞き分けのないハジメーノ王国軍は、全員まとめて念動魔法で空に浮かすのだ。
これで半日浮かびっぱなしで何もできない。
「おお……本当に勇者ショートだ……!」
「神の如き恐ろしい魔法の力……!」
連合国軍は、一瞬で戦う気をなくした。
俺は彼らの中にいる、偉そうなヤツに事情を聞いてみる。
「なんでいきなり戦争するって話になったの。ハジメーノ王国がアホなことしたのは分かるけどさ。クーデター起こって国王が地下牢に幽閉されたでしょ。あれもう一生外に出てこれないから、これで溜飲が下がるとかそういうの無いの」
「そ、それは分かってるが、国民感情が……」
偉そうなヤツは、ちょっと青ざめながら解説してくる。
なるほど。
ハジメーノ王国のひどい仕打ちにキレた国民が戦争を望んで、それに乗っかって連合国軍が結成されて、一斉に攻めてきたというわけだ。
それにしたって、魔王を倒してちょっとしか経ってないのに、すぐ戦争起こすとかアホすぎだろ。
各国、まだ国力回復してないでしょ。
これは責任者に会いに行かなくちゃね。
俺は偉そうなヤツの脳内を読み取ると、そのまま連合国軍の本陣へと飛んだ。
到着。
近い。
「こんにちは、勇者ショートです」
「うわーっ」
いきなり俺が本陣のテントに入ってきたので、そこにいた連中は飛び上がるほどびっくりした。
とっさに切りかかってくる護衛の兵士を、デコピンでふっ飛ばしておく。
「ウグワーッ!!」
「デコピンなら死なないだろ。さて、俺は戦争を止めに来た。戦争を止めなさーい」
「ほ……本当の勇者ショートだ……!!」
「勇者ショートはあの外道なハジメーノ王国に味方するのか!! 人類の救い主は、人類の敵になるのか!」
「ハジメーノ王国民も人類でしょ。主語がでかい。あのな、魔王が君臨してた時代に、人間かなり死んでるだろ。ぶっちゃけ、向こう百年は戦争どころじゃないだろ。なんで今こういうことするの」
「そ、それは……」
各国から来たらしい将軍が、もごもごした。
それっぽい言い訳をしてくるが、俺が心の中を読む読心魔法テレパッシー(俺命名)で看破し、論破する。
それで結論が出たのだが、どの国も国民が戦争を望んでいるではないか。
なんか不自然だな?
ということで、彼らの思考を詳しく調べてみた。
調べられている間、将軍たちは白目を剥いて口を半開きにしている。
傍から見るとヤバい光景だな!
そこで判明。
魔王との戦いで疲弊した各国に、謎の人物から救援物資が届いていた。
この物資の中に、毎回新聞が入ってるんだそうだ。
で、新聞には、ハジメーノ王国がいかに悪であるかが書かれている。
娯楽なんてあんまりない世界なので、みんなこれによって、今の苦しい生活は何もかも、ハジメーノ王国が悪いんだと思ってしまたのだそうだ。
まあ、大体半分くらい合ってるな。
ハジメーノ王国のザマァサレ一世が全部悪い。
「しかし戦争をされると俺のスローライフの邪魔なので、止める。その新聞とやらを今持ってきている者はいないか?」
「あー」
白目を剥いて口を半開きにしたどこかの国の将軍が、新聞を差し出してきた。
ゾンビ状態っぽくてキモいな。
俺は新聞を回収。
正気に戻った将軍たちに、「戦争再開したらお前ら全員腹パンするぞ」と忠告してからハジメーノ王国へと戻るのだった。
ふーむ、魔王との戦いの後、平和になろうとしている世界に再び戦乱を起こそうとしている者がいる。
あの将軍たちを腹パンしても、新しい将軍が派遣されてきて戦争は続くだろう。
各国の国民全員を腹パンすれば話は早いのだが、そうすると罪もない国民まで腹パンしてしまうことになるので気が引ける。
この新聞を詳しく洗ってみなければならないな。
だが、それはトラッピアの仕事なので丸投げしよう。
既に、ハジメーノ王国と連合国は開戦寸前というか、最前線では小競り合いが起こっているらしい。
俺が戦争を止めるために動くと決まったので、すぐに戦地に向かうのが良かろう。
戦争にかまけている暇はないのだ。
俺は作物を育てねばならん。
せっかく芋が収穫できて、次は何を育てようかという話になっていたところだ。
「芋の次は何がいいんだろうな。やっぱり芋かなあ。……あれ? 同じ作物を連続して育てると良くないって聞いたことがあるような、無いような……」
俺はうんうん唸りながら、戦場へ向けて一直線に飛んでいった。
すると、おおよそ十五分ほどで戦場に到着だ。
この世界の一国は、そこまで広くないからな。
バビュンは、風水圧遮断魔法を使うと、大体マッハ10くらいまで加速する。
これだとほぼ一瞬で到着するな。
ただし、俺が生み出したソニックブームで辺り一帯が大変なことになる。
今回はジャンボジェット程度の飛行速度でのんびり行った。
到着すると、既に双方の軍隊がわあわあと叫んでやり合っている。
戦争もう始まってるじゃないか。
俺は戦場の只中に、バビュンで速度を出したまま降り立った。
「ウグワー!」「ウグワー!」「ウグワー!」
俺が着陸した衝撃で、辺り一帯の兵士がぶっ飛ばされる。
『戦争はまあちょっと待て』
俺は拡声魔法スピッカー(俺命名)を用いて、戦場中に声を送り届けた。
『俺は魔王を倒した勇者ショートなのだが、戦争を止めに来たぞ』
「勇者ショート!? 我が国を暗黒竜ダルガスと大空中戦を繰り広げて救ってくれたあの勇者ショートか!」
「勇者ショート!? 我が国に押し寄せる大津波を食い止め、海底魔城に乗り込んで魔将オダゴンを打ち倒したあの勇者ショートか!」
「勇者ショート!? 魔王に寝返ったうちの王様を腹パンして引退させたあの勇者ショートか!」
ほう、俺の評判が広まっている。
これは楽勝な気配?
ハジメーノ王国も、俺の登場に盛り上がっている。
「勇者ショートが来てくれたぞ!」
「来た! 勇者来た! これで勝つる!」
「今だ、攻めろー!!」
うわーっと鬨の声をあげて、連合国に襲いかかろうと……。
「やめろっつってんだろうが念動魔法!」
「ウグワーッ!」
聞き分けのないハジメーノ王国軍は、全員まとめて念動魔法で空に浮かすのだ。
これで半日浮かびっぱなしで何もできない。
「おお……本当に勇者ショートだ……!」
「神の如き恐ろしい魔法の力……!」
連合国軍は、一瞬で戦う気をなくした。
俺は彼らの中にいる、偉そうなヤツに事情を聞いてみる。
「なんでいきなり戦争するって話になったの。ハジメーノ王国がアホなことしたのは分かるけどさ。クーデター起こって国王が地下牢に幽閉されたでしょ。あれもう一生外に出てこれないから、これで溜飲が下がるとかそういうの無いの」
「そ、それは分かってるが、国民感情が……」
偉そうなヤツは、ちょっと青ざめながら解説してくる。
なるほど。
ハジメーノ王国のひどい仕打ちにキレた国民が戦争を望んで、それに乗っかって連合国軍が結成されて、一斉に攻めてきたというわけだ。
それにしたって、魔王を倒してちょっとしか経ってないのに、すぐ戦争起こすとかアホすぎだろ。
各国、まだ国力回復してないでしょ。
これは責任者に会いに行かなくちゃね。
俺は偉そうなヤツの脳内を読み取ると、そのまま連合国軍の本陣へと飛んだ。
到着。
近い。
「こんにちは、勇者ショートです」
「うわーっ」
いきなり俺が本陣のテントに入ってきたので、そこにいた連中は飛び上がるほどびっくりした。
とっさに切りかかってくる護衛の兵士を、デコピンでふっ飛ばしておく。
「ウグワーッ!!」
「デコピンなら死なないだろ。さて、俺は戦争を止めに来た。戦争を止めなさーい」
「ほ……本当の勇者ショートだ……!!」
「勇者ショートはあの外道なハジメーノ王国に味方するのか!! 人類の救い主は、人類の敵になるのか!」
「ハジメーノ王国民も人類でしょ。主語がでかい。あのな、魔王が君臨してた時代に、人間かなり死んでるだろ。ぶっちゃけ、向こう百年は戦争どころじゃないだろ。なんで今こういうことするの」
「そ、それは……」
各国から来たらしい将軍が、もごもごした。
それっぽい言い訳をしてくるが、俺が心の中を読む読心魔法テレパッシー(俺命名)で看破し、論破する。
それで結論が出たのだが、どの国も国民が戦争を望んでいるではないか。
なんか不自然だな?
ということで、彼らの思考を詳しく調べてみた。
調べられている間、将軍たちは白目を剥いて口を半開きにしている。
傍から見るとヤバい光景だな!
そこで判明。
魔王との戦いで疲弊した各国に、謎の人物から救援物資が届いていた。
この物資の中に、毎回新聞が入ってるんだそうだ。
で、新聞には、ハジメーノ王国がいかに悪であるかが書かれている。
娯楽なんてあんまりない世界なので、みんなこれによって、今の苦しい生活は何もかも、ハジメーノ王国が悪いんだと思ってしまたのだそうだ。
まあ、大体半分くらい合ってるな。
ハジメーノ王国のザマァサレ一世が全部悪い。
「しかし戦争をされると俺のスローライフの邪魔なので、止める。その新聞とやらを今持ってきている者はいないか?」
「あー」
白目を剥いて口を半開きにしたどこかの国の将軍が、新聞を差し出してきた。
ゾンビ状態っぽくてキモいな。
俺は新聞を回収。
正気に戻った将軍たちに、「戦争再開したらお前ら全員腹パンするぞ」と忠告してからハジメーノ王国へと戻るのだった。
ふーむ、魔王との戦いの後、平和になろうとしている世界に再び戦乱を起こそうとしている者がいる。
あの将軍たちを腹パンしても、新しい将軍が派遣されてきて戦争は続くだろう。
各国の国民全員を腹パンすれば話は早いのだが、そうすると罪もない国民まで腹パンしてしまうことになるので気が引ける。
この新聞を詳しく洗ってみなければならないな。
だが、それはトラッピアの仕事なので丸投げしよう。