『けあーっ!!』
謎の特戦隊員が飛び上がってきた。
おっ、10mくらいジャンプしたな。
他の特戦隊員が腰を抜かさんばかりに驚いているぞ。
『しゃらくさい、この場ごと消し去ってくれる!!』
「そうはさせんぞ! あと、あんまりカトリナに見られてもアレだからサクッと決着を付けてやろう!」
俺はバビュンを使用して高らかに跳躍する。
一瞬でやつと同じ位置まで飛び上がり、そこでフワリを使って滞空した。
『な、なにっ……!? 貴様、やはりただものでは』
「そういうやり取りしてると長くなるからサクッといくぞ!! ツアーッ!」
俺は腰からエクスラグナロクカリバーを抜いて、そのままのモーションで横一文字に振り抜いた。
剣閃が光の波動になって空を切り裂き、その先にいた謎の特戦隊員も真っ二つになった。
『ウグワーッ!! な、なんだと!? この一撃は俺がこの星に来たときに食らったものよりも遥かに……!』
「ああ、そうか、お前は俺がぶっ倒したはずの、新しい魔王か。やっぱり出し惜しみはダメだな。だが安心しろ。エクスラグナロクカリバー・スカイダッシュドラゴンフラッシュは俺が地球にいた頃読んでいた剣客浪漫なマンガから構想を得て編み出した最強の剣術百八選の一つ! すなわち奥義だ」
『奥義多いな……!? だ、だが! この俺がこうして死んでも新たなる魔王がいくらでも降り立つことだろう! どうやらこの星は先代の魔王によって神々を滅ぼされているな!? 守りが消滅した星は、我ら魔王種に食い尽くされる運命……』
「話が長いぞツアーッ!!」
『ウグワーッ!!』
もう一発、スカイダッシュ(略)でそいつは滅んだ。
ふう、危ない。
危うく長々と語らせてしまうところだったぜ……。
俺はスッと下に降りてきた。
「あっ、降りてきた」
「隊長、あれ、無理ですよ」
「パワースの畜生、大嘘ぶっこいてやがったか目が本物の節穴ですよ」
「うむ……!!」
トラッピア特戦隊の隊長は、とてもむずかしい顔をした。
あれかな。命惜しさと部下への見栄で揺れ動いている……?
この男、一見して真面目そうでそこそこ美形な戦士なのだ。
だが、そんな奴の中にも人間らしい感情が……。
「ゆ……じゃない、スローライフ人ショート!!」
「なんだ? その口ぶりは……怖気づいたわけではなさそうだな」
「ああ。この俺、特戦隊隊長のギロス、立場がなければお前とともに魔王と戦うこともあったかも知れぬ。それだけの、国を思う気持ちは持っている……!」
おや?
「だが、ショート! それほどの卓越した力を持ちながらも、なぜトラッピア殿下の誘いを断った!」
「なんか怖かったからだ! 絶対あの人、怖い系女子でしょ」
「否定はできない……」
ギロスが悲しそうな顔をした。
否定しないんだ。
「だが、そこを押して頼む、スローライフ人ショートよ!!」
ギロスが突然、俺の前で膝を突き、頭を下げた。
「トラッピア殿下の元に戻ってくれ!! 国はこれから豊かになる! ザマァサレ一世陛下はあちこちで魔王軍戦のときに不義理を働き、今あちこちの国からハブられてザマァな事態になっているのだ!!」
「えっ、自業自得じゃねえか!?」
俺はびっくりした。
「もしかして、不死王になったフシナル公国の公爵は……」
「うむ……。経済的に陛下が大打撃を与えた」
「自業自得じゃん……!!」
俺は天を仰いだ。
あの国王、実は人間側の諸悪の根源だったんじゃないだろうな?
俺を旅出せるときに50Gと布の服くらいしかくれなかったドケチだからな。
あれ? 棍棒はもらったっけ?
「この状況を打開するには、トラッピア殿下の才覚に賭けるしかない! だが、殿下はお前が去ってから色々モチベーションが下がって、すっかり政治的なことをしなくなってしまったのだ! 頼むショート! 戻ってきてくれ!」
必死の願いであった。
力では勝てないということが分かったので、泣き落としに来たのだろうか?
いや、俺には分かる!
このギロスと言う男、本気である。
彼の情熱にほだされて、他の特戦隊も膝を突く。
「頼む!!」
「俺からもお願いだ!!」
大変なことになってしまった。
カトリナがこれを、不安そうに見つめている。
「ショート、行っちゃうの……?」
「行かないよ!」
「エッ!」
俺は即断した。
驚愕したのはギロスである。
「何も悩まずに断ってきた……」
「そもそも俺も王国に不義理を働かれたからな……」
「それを言われると何も言えん」
ギロスは立ち上がった。
「だが、お前がこうして元気でいるらしいことだけは明らかになった。殿下にお伝えする」
「そうか。でも連れてくるなよ」
「フフフ」
「連れてくるなよ!?」
「ハハハハハ! また会おう、スローライフ人ショート!!」
肝心なところの返答をせず、特戦隊は去っていったのである。
なんて騒々しい連中なんだ。
あと、これは絶対来るな。
絶対に騒動の種の最大級のやつが辺境まで来るぞ。
「なんだったんだろうねえ、ショート……」
「俺の過去が襲いかかってきた的な。というか、ハジメーノ王国がおバカすぎてにっちもさっちもいかなくなったんだなこれは」
「どうするの? 私、難しいこと分かんないな」
「うん。とりあえずはあれだ。トリマルとお嫁さんたちに餌をやりに行こうじゃないか! 大局なんて見ても何もわからないから、目の前のことだけ見ようぜ!」
俺は考えるのをやめた!!
謎の特戦隊員が飛び上がってきた。
おっ、10mくらいジャンプしたな。
他の特戦隊員が腰を抜かさんばかりに驚いているぞ。
『しゃらくさい、この場ごと消し去ってくれる!!』
「そうはさせんぞ! あと、あんまりカトリナに見られてもアレだからサクッと決着を付けてやろう!」
俺はバビュンを使用して高らかに跳躍する。
一瞬でやつと同じ位置まで飛び上がり、そこでフワリを使って滞空した。
『な、なにっ……!? 貴様、やはりただものでは』
「そういうやり取りしてると長くなるからサクッといくぞ!! ツアーッ!」
俺は腰からエクスラグナロクカリバーを抜いて、そのままのモーションで横一文字に振り抜いた。
剣閃が光の波動になって空を切り裂き、その先にいた謎の特戦隊員も真っ二つになった。
『ウグワーッ!! な、なんだと!? この一撃は俺がこの星に来たときに食らったものよりも遥かに……!』
「ああ、そうか、お前は俺がぶっ倒したはずの、新しい魔王か。やっぱり出し惜しみはダメだな。だが安心しろ。エクスラグナロクカリバー・スカイダッシュドラゴンフラッシュは俺が地球にいた頃読んでいた剣客浪漫なマンガから構想を得て編み出した最強の剣術百八選の一つ! すなわち奥義だ」
『奥義多いな……!? だ、だが! この俺がこうして死んでも新たなる魔王がいくらでも降り立つことだろう! どうやらこの星は先代の魔王によって神々を滅ぼされているな!? 守りが消滅した星は、我ら魔王種に食い尽くされる運命……』
「話が長いぞツアーッ!!」
『ウグワーッ!!』
もう一発、スカイダッシュ(略)でそいつは滅んだ。
ふう、危ない。
危うく長々と語らせてしまうところだったぜ……。
俺はスッと下に降りてきた。
「あっ、降りてきた」
「隊長、あれ、無理ですよ」
「パワースの畜生、大嘘ぶっこいてやがったか目が本物の節穴ですよ」
「うむ……!!」
トラッピア特戦隊の隊長は、とてもむずかしい顔をした。
あれかな。命惜しさと部下への見栄で揺れ動いている……?
この男、一見して真面目そうでそこそこ美形な戦士なのだ。
だが、そんな奴の中にも人間らしい感情が……。
「ゆ……じゃない、スローライフ人ショート!!」
「なんだ? その口ぶりは……怖気づいたわけではなさそうだな」
「ああ。この俺、特戦隊隊長のギロス、立場がなければお前とともに魔王と戦うこともあったかも知れぬ。それだけの、国を思う気持ちは持っている……!」
おや?
「だが、ショート! それほどの卓越した力を持ちながらも、なぜトラッピア殿下の誘いを断った!」
「なんか怖かったからだ! 絶対あの人、怖い系女子でしょ」
「否定はできない……」
ギロスが悲しそうな顔をした。
否定しないんだ。
「だが、そこを押して頼む、スローライフ人ショートよ!!」
ギロスが突然、俺の前で膝を突き、頭を下げた。
「トラッピア殿下の元に戻ってくれ!! 国はこれから豊かになる! ザマァサレ一世陛下はあちこちで魔王軍戦のときに不義理を働き、今あちこちの国からハブられてザマァな事態になっているのだ!!」
「えっ、自業自得じゃねえか!?」
俺はびっくりした。
「もしかして、不死王になったフシナル公国の公爵は……」
「うむ……。経済的に陛下が大打撃を与えた」
「自業自得じゃん……!!」
俺は天を仰いだ。
あの国王、実は人間側の諸悪の根源だったんじゃないだろうな?
俺を旅出せるときに50Gと布の服くらいしかくれなかったドケチだからな。
あれ? 棍棒はもらったっけ?
「この状況を打開するには、トラッピア殿下の才覚に賭けるしかない! だが、殿下はお前が去ってから色々モチベーションが下がって、すっかり政治的なことをしなくなってしまったのだ! 頼むショート! 戻ってきてくれ!」
必死の願いであった。
力では勝てないということが分かったので、泣き落としに来たのだろうか?
いや、俺には分かる!
このギロスと言う男、本気である。
彼の情熱にほだされて、他の特戦隊も膝を突く。
「頼む!!」
「俺からもお願いだ!!」
大変なことになってしまった。
カトリナがこれを、不安そうに見つめている。
「ショート、行っちゃうの……?」
「行かないよ!」
「エッ!」
俺は即断した。
驚愕したのはギロスである。
「何も悩まずに断ってきた……」
「そもそも俺も王国に不義理を働かれたからな……」
「それを言われると何も言えん」
ギロスは立ち上がった。
「だが、お前がこうして元気でいるらしいことだけは明らかになった。殿下にお伝えする」
「そうか。でも連れてくるなよ」
「フフフ」
「連れてくるなよ!?」
「ハハハハハ! また会おう、スローライフ人ショート!!」
肝心なところの返答をせず、特戦隊は去っていったのである。
なんて騒々しい連中なんだ。
あと、これは絶対来るな。
絶対に騒動の種の最大級のやつが辺境まで来るぞ。
「なんだったんだろうねえ、ショート……」
「俺の過去が襲いかかってきた的な。というか、ハジメーノ王国がおバカすぎてにっちもさっちもいかなくなったんだなこれは」
「どうするの? 私、難しいこと分かんないな」
「うん。とりあえずはあれだ。トリマルとお嫁さんたちに餌をやりに行こうじゃないか! 大局なんて見ても何もわからないから、目の前のことだけ見ようぜ!」
俺は考えるのをやめた!!