「ありがとう、そう言ってくれて」
女の子も俺と同じ気持ちでいてくれた。
そのことが嬉しくて。
そう言わずにはいられなかった。
「こちらこそ、ありがとう」
女の子はそう言って、ひまわりのような笑顔を見せた。
この笑顔。
やっぱり。
目の前にいる女の子は。
十年前のあの日の女の子……?
だけど、どうやって確かめればいいのか。
そうするには女の子に質問をしなければならない。
だけど何を質問すればいいのかわからない。
こうなったらストレートに『十年前のあの日のときの子?』とでも訊いてしまおうか。
だけど女の子が『何のこと?』という表情をしてしまうかもしれない。
そうなったら、ただの空回りの人間になってしまう。
……というのもあるけれど。
それよりもなによりも。
やっぱりショックの方が大きくなると思う。
『なんだ違ったのか』と。
そうなってしまったら、永遠に十年前のあの日の女の子に会えなくなってしまう。
そんな気がする。
……だけど。
だからといって、このまま何も訊かないのは絶対に後悔する。
それは絶対に嫌だ。
だから。