その音は、ひまわり畑の中から聞こえてきた。


 ……風……?

 風でひまわりたちが揺れる音……?
 という感じでもないか。


 ……じゃあ……。
 誰かがひまわり畑の中にいて、その中をかき分けている音……?

 ……ということは……。
 誰か、いる……?


 ……‼

 そう思っていると、ひまわり畑の中から誰かが出てくる気配がした。


 誰か……出てくる……?


〝ガサッ、ガサガサ……〟


 今度は聞こえた、はっきりと。
 ひまわりたちをかき分ける音。

 やっぱり誰かいるんだ。
 俺は、そう確信した。


 ……って。
 ……⁉

 わかっている、頭では。
 ひまわり畑の中には確かに誰かいる。

 それは、わかっているのだけど。
 やっぱりびっくりしてしまった。

 なぜなら。
 ひまわりたちの間から、いきなり人の手が見えたから。
 しかも勢いよく。

 その勢いのよさに、びっくりしたまま身体が固まってしまった。


「あぁー、楽しかった」


 そのとき。
 ひまわり畑の中から声がした。

 その中から出てきたのは……。