僕が大学生になったのを期に
念願の同棲をすることになった。

まぁ、両親には“同居”と言ってある。

あくまでも、
“年上の友人”で通している。

本来はラブラブなカップルだけど。 

一緒に住むと話た時、
両親は最初、驚いていた。

あの、骨折が治るまでと
決めていた“期間限定”ではなく
少なくとも僕が短大を卒業する
二年間は律希のマンションに住むということだからだ。

特に母さんが渋っていた。

律希の負担がとか家賃がとか。

そんな母さんを律希が笑顔で説き伏せた。

その時の“色”は……

あえていうなら“漆黒”だった。

”怒“でもなく“哀”でもなく
“呆れ”であった。

あんな“色”を出している律希を
見たのはあとにも先にも
あの時だけだった。

今は二人で夕飯の支度をしている最中。

『カナ、愛してる』

味噌汁の味噌を溶いている途中に
耳元で囁かれ、お玉の中の味噌が
塊のまま鍋の中に落ちた。

『い、いきなり耳元で囁かないで//////』

内心焦りながらも鍋の火は止めた。

『言いたくなったから
言っただけだよ(クスッ)

カナの返事は?』

平常心を保つのがやっとの僕と違い
律希は余裕の笑みを湛(たた)えている。

『愛してるよ、一生律希だけを』

この先、何があろうとも
僕達は愛しあっていけると思う。

『嬉しいこと言ってくれた
お礼にカナの好物を作ってあげるね』

夕飯のメイン料理はできているのに
僕のためにもう一品作ってくれるらしい。

一生愛してると言ったけど
一生頭が上がらなんだろうな(苦笑)

旦那さまは今日も
優しい“色”を纏っている。