前の方に障害物がないか、両手を前に出しながら一歩一歩懐中電灯の方へ近づいて行った。

そして、懐中電灯まで後もう少しだと思い、手を伸ばした次の瞬間、懐中電灯が急に宙に浮きだし、ゆっくりと反対側へと動き出した。

「え…なんで…」

俺は、恐怖のあまり一気に血の気が引いたが、良く見ると懐中電灯の取っ手に人の手が映っていて、よく見ると人が持って動かしていることに気づいた。


「もしかして美紀…?」

俺は、慌ててその懐中電灯の光を追った。

だが、その光は何の迷いもなく二階へと上って行った。


(…おかしい。美紀がこの家の構造を把握しているわけがないのに)


だが、そう考えを待ってくれる余地はなかったので、俺は無我夢中でその光を追った。

階段を慎重に上り、手で壁を抑えながら、少しでも早くと早歩きをした。

すると、光は棚の上に置かれていた。