「とりあえず、他の出口を探すために一階のフロアをすべて見よう」

翔は、美紀に服の裾を掴むように言い、はぐれないようにし、一歩一歩暗い廊下を歩いて行った。

床のきしむ音が廊下に響き渡り、風が強いせいかガラス窓の揺れる音も、全てが恐怖へと変わっていった。

ただ、唯一心の助けになっていたのが、懐中電灯の光だった。

が、次の瞬間。


「バンッ!!!」

懐中電灯が何かにはじかれる音がし、その衝撃で違うフロアまで懐中電灯が弾き飛ばされ、次の瞬間。

「キャッ!」

後ろから美紀が転ぶ音がし、俺は慌てて後ろを振り返った。