『バリバリバリバリバリバリ』

思うより night seaは明るい
のが
ケイには 意外だった。
自国の夜を飛ぶのとは
一味違うと。

空気を混ぜるプロペラの振動音に
揺られながら、
ケイは 眼下の黒い海原に
伸びる光の帯を
見ていた。

空に浮かびはじめた
栗満月は
まだ海に近く 黄色く、
大きいからか
真っ直ぐと闇の海に
光を落としす。

まるで、滑走路にも
レッドカーペットにも
見えた。


『お前が探していた娘が、
運命の花嫁でもあったというわけ
なのだな?ならば、受けよう。』

今日、
式典が始まるまでの時間。

国王である父親に、
これまでの 自分の行いと
花嫁候補について、
ケイは 兄王子達の前で
全て話して、
1つの
宣言を成したのだ。


キュイ---ィィィィ… キュイィィィィィィ … キュイ…

『ティカ』だ。
ふと、まだ下に見える月の空を
ケイは声のする場所を
探す。

先に
ヘリの旋風に
巻き込まれないよう放した、
『ティカ』の姿は
見えないのに、

鳴き声だけを
満月の光と同じように
波が
空に 反響させていた。

タプン~トプン~タプン~トプン~トプン
~タプンタプン~~トプン~~、、、

波。
夜の空気を孕んだ
機体の振動に揺られ
ケイは 王の言葉を
思い出す。

『しかし現実、その娘は、この
豊かに発展してきた国で育った
人間なのだ。我が国との違いに
驚くだろう。大丈夫なのだな?』

その意味は ケイにも分かる。

When I first met。オレも
考えた事だ。
Rich とはいえ発展途中の自国。
でも、

「Downfall したアザミは survive
しました。間違えず go straight
な 彼女です。伴侶となります」

きっと、躊躇う事なく
格差さや、貧富のある国を
見つめる事が
アザミには出来る。
そう、ケイは描いたが、

No、、それは excuseだ。


『バリバリ
タプントプン~タプン~トプン~トプン
タプンタプン~~トプン~~、、、
バリバリバリ』

『運命の花嫁』は
政略結婚の好条件な相手でも、
恋愛結婚の互いに望む相手とも
違う。
では、どんな 相手なのか?


ベルベットブラックの海を
イルミネーションの陸地が
囲んで、七色の橋や、
光の観覧車、
その光の下は パーティーや
イベントで賑う人の波がある。

そんな、気配に無性に焦燥する。


対して、
今 オレは Black oceanを
military suit を着てsurviveだ。

『ティカ』はケイが
ロイヤルクマリに望んで
自ら育てた
守護鳥だった。

本来なら、必ずしも王族が
育てるモノではなく、
史実では 王太子権の奪還に
利用した王子もいたが、

『運命の花嫁』の為にその鳥が
必ずしも
その王子の代で
鳴き声を上げるとも
決まっていない
賭のような存在とも言える。

キュイ---ィィィィ… キュイィィィィィィ … キュイ…

半信半疑に育てていた。
なのに、
『ティカ』が アザミを
Looking for and crying
泣いているな。
胸を握られる切ない 歌を。

「あれは、、、鳥?ですよね。」

操縦士の隣に座る
Dirが
ふと、外を見て 呟くのが
ケイと、全員の耳に
聞こえた。

まるで、ケイの心を暴いて
読んだような
タイミングに、
ギクリとしながら

「Amulet bird だ。」

ケイが短く 答えると、
Dirは、 静かにケイの方を
振り返る。

「 守護鳥?ですか、、
貴方の兄上に 話は聞きました
が、さすがに 初めて見ますよ。
運命を、、連れてくるの
ですよね、、。にしても、
巻き込まれないですか?」

Dirは
口を弓なりにしていた。

思わず、何に?と、
ケイは 返しそうになるのを

「慣れてる。No problemだ。」

ヘリに慣れているから
と、忌々しさ半分で付け加えた。

まるで、アザミを自分達に
これから巻き込むのか?と意味
含んでいるのではと。

子供の時にクマリ族の
幼なじみから聞いた話に、
憧れて 育てる事にした『ティカ』

オレは、、、

「My road!見つけました。」

白い鳥達の向こうを
スコープで見ていた護衛が
ケイに叫けぶ。


『バリバリバリバリバリバリ』

ヘリの音が降り注ぐ
眼下に、
点々と明かりが
繋がっているのが
ケイにも確認できた。

ハジメのが睨んだ通り、

ネットのつぶやきで
発見した 20艇のライトボートは、
その行き先を
雷門方面と、空港方面とに
2てに分けて
進んでいた。

ハジメ達が
『風雷神門』側のライトボート
を追跡してくれているお陰で、
ケイ達は、迷わず海側の
ライトボートを追えたのだ。


タプン~トプン~タプン~トプン~トプン
~タプンタプン~~トプン~~、、、

「あれは、、
先頭のライトボートに
簡易のリモートモーターか何か
つけて、プレジャーボートへ
変えてますね。これは、、
割りと新しいモノですよ。」

Dirが、下のライトボートを
見下ろして イヤホンごしに
説明する。要は、海洋拉致に
手慣れた国の関与も、
示唆しているのだ。

「間違いないです!人が
寝ています!My road!!」

スコープで引き続き確認をした
護衛がケイにスコープを
手渡した。

ググーーバシャッザーアーー

タプン~トプン~タプン~トプン~トプン
~タプンタプン~~トプン~~、、、

『タクタクタクタクタクタク』

独特の定位置旋回のリズムが
始まる。

そのスコープの、向こうに

ケイは

ボートのまま
水の上、光に囲まれて浮かぶ
見知った顔を見つけた。


キュイ---ィィィィ… キュイィィィィィィ … キュイ…

パタタッ。

ティカ達は白く光ながら
上がったり、下がったりして

アザミの胸の上に 一匹
降りていく。
アザミは
まるで棺に眠るようで、
顔さえ酷く白い。

!!!!!

『暗闇のジャングルを、息を
潜めて1人戦闘する 、 そんな
兵役さえある世界に、その娘を
連れて行くのだと 理解してか?』

王が重ねて問いかけた言葉に、
さすがのケイも
一瞬ためらったのを、

アザミの白い顔を
スコープごしに見て
思い浮かべてしまう。

Coup d'etat、、
文字通り、政変があってもの
世界で、

頂点に立つ王族と言えど、
奈落の底辺へと落ちる覚悟が
いつでも必要なのだ。

ならないように
幼い頃から 足掻くように、
中途半端な立場で尚、
国を導く礎の 道が

孤独で。孤独で。

タプン~トプン~タプン~トプン~トプン
~タプンタプン~~トプン~~

栗満月に照らされたアザミ顔。

『アサミ様の住まいを 見に行かれましたが、家財道具は 全くなく』

ヤマモリの report は、
これまでのアザミの lonely を
映し出している。
そうだろ?アザミ。

ケイの目にツーーーっと
涙が筋をつける。

ならば、、

「found it!!」

ケイがイヤホンに叫ぶと
すぐにヘリは定位置飛行に入る。

『シュゥーーザ、カチャカチャ』

よく見ると、
ライトボートの沖に
大きな 船影が見える。

あれは?あれが、
Capture ship か!?

『タクタクタクタクタクタク』

独特の旋回リズム、下降の音。

ゴーゴーと低音の風に
煽られ波うち始めた海面に、
アザミが、飛び起きたのが
解った。

ああ、生きているな。

ここからのケイは、無心だった。

離れた位置に
スーッと海面上へワイヤーを
落として、ケイが降下。
海から
ボート寄せを指示すれば


「ケーーイーー!!」

アザミが 呼ぶ。

その場所を見定めて
ボートのヘリに手を掛けて
ケイはベルトに
引っ掻けた救助ベルトを
膝立ちするアザミの股下に
手早くかけた。

「なんでさ、貴方が来るのよ!」

非難するアザミをケイは無視
しながらも
ベルトを回して、
股下からのベルトと繋ぐと、
引き上げの合図をする。

とたんに
凄い衝撃に
ケイはアザミを抱いて、
海飛沫を撒きながら
ブアッと 夜空に舞い上がった。

「まるで、dance silhouetteだ。」

海面に出来た
光の道に
回るケイとアザミの影が
舞うように
黒く落ちている。

まだアザミは文句を言うのを

「黙ってろ。舌をbiteする。」

わざと 嫌味を口にするのと
裏腹に
アザミの目に膨らんでいる
涙を 慈しむように
ケイは吸って

「 Use magic、他に誰がいる? 」

ヘルメットから妖艶に
笑って流した。

容赦ない世界で、
2人身体を重ねると、

踊る様に
情事な熱が燃えて
アドレナリンが炸裂する。

踊る程に
隙間なく満たされて
その至高に恍惚と癒される。

「王子なのに?」

ああ、アザミの前では
オレはカッコ悪いPrinceだがな。

「Military trainingだろ。いつもの
事だ。なんだアザミ元気だな」

ん?と眉をあげた瞬間、
ケイは片手でしっかり、
アザミの胸を下から掴んだ。

初めて会った時と同じように
手の平が 甘く

「信じられないよ!ケイさ、
本当、エロ王子だよね!」

弄ぐるケイの手を叩くアザミに

「10年前から nice bodyな君
が悪いな。Sorry、アザミ 」

重なる心音の感触が
ケイには

「 美味くて 堪らないんだ。」

殊更 腕をすり寄らせて
バックバグしたまま
ケイはヘリの機体を仰ぐ。
ヘリの足が見えきたのだ。

「やあ、タムラさん。ご無事で
何より。大分、心配したよ。」

場違いな執事服が
お帰りなさいと 見える。

「ヤマモリさん、救助アシストも
出来るって、どんなP.Bですか?」

呆れてその顔を見上げるアザミに

「お褒め頂き。SS級なのでね。」

執事は、手を出して
ケイとアザミの体を機体に
引き上げた。

ケイには
まだ 『運命の花嫁』が
どんな存在なのか わからない。

ただ、腕に護ると溶けて
カイザーのままに
縋り付くことができる 体 だった。