朝からケイは
白色の騎士軍服を
身に纏い、
来日した国王と、第4、5王子と
共に式典への参加準備を
していた。

メディアは
これから執り行われる
国家式典の中継をスタンバイし、
多くの人々は
その様子を 固唾を飲んで
見守っている。

本来なら
王位継承権第1の王太子
からはじめ、第2、3の王子が
来日となるのだろうが、

上位王子は、不在となる国王
代理として第1王子が。
その補佐として第2王子、

そして現在
軍府長官の第3王子が
国王留守の自国で采配を
振るう事となった。

近づく開始時間にむけ、
厳かな空気が 映し出される。

何より、
日本人である
第3側妃の同腹子の第5、
そして
第6王子のケイは、
友好王使としての意味合いも
あり、特にメディアが
その姿を
今か今かと待っている。

祝い 列席するため来日していた、
世界各国の王族や首脳などが
続々と
古風で奥ゆかしい宮殿に
到着する。

ケイ達は
メディアの勢いに
反して列席は最後。
それは、
招待された王族の中で、
1番王の在位年数が長い事を
意味する。

テレビのコメンテーターが
称賛の解説をし、
国民はその優美な様子を
喜々と眺めていた。

父親である
国王も、
兄弟である上の王子2人も、
ケイが
この式典に参加するのみが
来日の理由では
ない事を
知っている。

招待された 男性賓客は
燕尾服やモーニングコート、
紋付羽織袴。
女性賓客はロングドレスに、
デイドレス 、白襟紋付。
それに輝く勲章が胸元に見える。

世界各国から集まった来賓は
伝統着や歴史ある衣装になどにも
彩られていた。

その中にあって、
横並びに揃う
純白の
騎士軍服のケイ達は
とても目立つ。
それ以上に
現れた 王子達の姿に
一同メディアは騒然となった。

褐色の肌。
麗しく整えられた黒髪。
それは好感がもてる
純白軍服。
3人の王子は
年や、雰囲気は違えど、
そのイケメンぶりは
遠くからのカメラからも
確認出来る程で、
惚れ惚れとした空気に
辺りが色めく。

もちろん、
各国の王子達も見目麗しい。
それでも
特に話題になった
その人物は
オセアニア地域の国3人の王子。
一際目立つ 第6王子。

その名は
『カイザー王子』

と、報道される。


メディアに映される、
『カイザー王子』の凛々しい
横顔が、国王の隣に 佇んでいるが、
そのほんの数時間前に
国王王子が
親子のやり取りを
した事は
さすがに、解りようもない。

ただ、1つ言える事は

本来なら式典が終わり
1人の女性を連れてくる事で
契約満了となると
伝えられた執事から

護衛へと
渡された伝言紙に

一瞥を向けた 王子が
作り笑いの奥で
動揺を隠しているのを

メディアを通して

幾人かの視聴者が
見守っていた。