秋は黄昏マジックアワー。褐色の王子と恋愛混合二重奏

研修時に、EARTHPOOLで
ウォーターウェディングが出来る
と聞いたけどさ、そもそも
あのガセボ以外はさ、水よ、
どうやって会場にするの?

そんな事を、提案したわたし
本人が???ってなってたのよ。
けど、奇跡だね。


『うあ~🖤神秘的ですね~!』

ゆるふあヘアの、同僚お嬢さんが
うっとりして感嘆するのもさ、
無理ない。

「本当に、よくこの場所を覚えて
いたものね。さあ、内装の手配は
課長とタムラさんが 引き続き
やります!来賓受付はリストを
再確認して!ケータリング関係、
タイムテーブルと再度すり合わせ
ドリンクと料理を切らさないよう
最終チェック!あ、ビーガン
メニュー周りも見て確認!楽団、
オケチェックして。 はい!行動」

ミズキ先輩はガセボの真ん中で
パンと手を叩いて合図したから
わたしもさ、クリアボートの
最終チェックに動くよ。

今いるガセボは
花で淵を囲んで、見上げると
シャンデリアが3台吊らている。

周りを見回すと、貯水を囲む回廊はビュッフェテーブルをはじめ
大小のテーブルがクロスを
掛けて白く輝いてた。

「本当に、オープンからこんな
使い方を考えていたなんて驚き
だわ。課長じゃなきゃ、きっと
知らなかったわ。ボートなんて」

ミズキ先輩が、水辺を見ながら
一緒に歩いて行く。

回廊にも フラワースタンドや、
スタンドシャンデリアが飾られ、
アンティーク調デザインの
椅子や、クラシックベンチが
配されて、完璧。

でもさ、1番目を惹くのは、、
やっぱり このクリアボート。
もともと 貯水の掃除をするため
底に降りれる階段が、
回廊やガセボにさ、
幾つかあったんだよ。それが、
ちょうど、ボートの乗り降り場に
なるなんてさ、凄い。

「本当です。20艇でLEDライト付
ボートが、、幻想的ですよ。」

映えるなんてもんじゃない。
透明の2人乗りボートに乗ると、
まるで 光を操るみたいなんだよ。

「それに、あのお嬢さん達も、
意外に提案書だしてきたしね。
縁故入社も、そろそろ育成時
かしら。まだまだ だからね。 」

そうなんだよ。同僚お嬢さん達、
今回は力入ってて、ハロウィンも
近いから、マスカレードを
ドレスコードに入れてはとさ、
企画してきたんだよ。

「ちゃんと、レンタル関係も、
系列会社から、、リストして
ました。頑張って、ますよ。」

まあ、来賓と企業の交流メイン
だから、絶対仮面外しちゃダメ
でもないけどさ。

「まあ、単に自分達が 楽しみ
たかっただけでしょうに。」

そう言って、ミズキ先輩は、

「タムラさんも、ボートOKなら、
そろそろメイクルームで、
スタンバイしてもらいなさい。」

ボート乗り場の確認をして、
受付に戻っていった。

ボートエスコートは、
ヤマモリさんとこの
ディスパッチセンターから派遣
してもらっているからね、
わたしも確認だけ。

今回は華やかなパーティー 。
わたし達バンケットも
ヘアセットとかしてもらう。
派手じゃないのをお願い
しておいたよ。

あ、ケイトウとダレンも来るんだ

アサミは、足早にバックヤードへ
向かって、パウダーコーナーに
入った。

『タムラ様、お待たせしました。
セット、軽くメイクさせてもらい
ますね。よろしくお願いします』

タワーのライフフロアにある、
ビューティーパレスから、
スタイリストも派遣依頼してる。
なんでも、新しい美容品の
テストユーズもして、販拡を
考えているとか。

『あの、タムラ様?普段の
ファンデーションが、お肌の
お色よりかなり、濃いめすでが』

しまった。ソバカスとかも、
書いてるから、直されると困る。

「あの、ヘアセットだけ、で、」

アザミが、あたふたしていると、
後ろが騒がしくなる。
早めに着いた、ゲストが
リカバリーで、
パウダールームに入ってきたの
だろうと、思っていたら
アサミの隣席に座る人物が。

鏡ごしに、誰?と横をみて、!!
固まってしまった。

着物?って。

何故?偶然?それとも、、
隣に座った けどさ。確かマユ嬢?
凄く見てくるよ。

『ご、ご指定のヘアアクセサリー
持って参りますので、お待ちを』

流石にさ、スタイリストさんも
気にしてるよ。でも、ご令嬢は
レジデンスの常連客なんだね。
仕方なさそうにしてたよ。

明らかに覗き込むように、
隣から
無言で凝視してくる相手を
無視するため、アサミは
ヘアセットを待つフリをして
瞼を閉じる。


時間にして数分。

ふと、『ジョヨキリ。』と
束で切る音が 耳元でして、
アサミは、目を開いた。

『きゃあ、お客様!何なさって、 置いて下さい。ハサミを置いて』

酷く動揺したスタイリストさんの
声に、はてどうしたのと、
見たら、鏡の中のわたしの髪は

片方無残に短く切られていた。

『お客様!ハサミを こちらに
そのまま、お返しください!』

切られた方に 立つマユ嬢を
ゆっくり 首を回して見る。

マユ嬢は、何故かわたしの顔を
見て ハサミを手から落とした。
その瞳は、只でさえ
ガラス玉みたいに大きいのに、
さらに見開いて。

『お嬢様!!どうされましたか!
っ!!ああ、とりあえず 向こう
の控え室に、ケイ様がエスコート
にお待ちですから、、あとは、』

侍女みたいな女性に、マユ嬢は
引きずられ 連れていかれたよ。

何が起こった。え、嫉妬とか?
賠償とかぐらい、よ?


『タムラ様、あの髪を直します
が、切り揃えて宜しいですか。』

そう、言われたらさ仕方ないけど

これは、、、

スタイリストが揃えてくれたのは
耳が出るさ、
完全にショートカットヘアよ。
だよね。あんなに切られたらさ。


アサミは、
暫く考えて スタイリストに
違う服装の用意と、
今のメイクを落としてもらう事を
お願いした。

さすがにさ、
ミズキ先輩に報告をしに行く
しかないよ。

ああ、そうだ
同僚お嬢さん達にもさ、
感謝しなくちゃだ。
だって、
ドレスコードは、
マスカレード。じゃなきゃさ、

わたしは、EARTHPOOLを
乗りきれなかったよ。


どうやら、Assoc カスガは
missionをこなしたらしい。

ケイはタキシードに
クラバットを首に飾り
ヤマモリから出されたチーフを
ポケットに差す。

タワー内にあるブランドホテルで、スタイリングを
終えたところ。

今回海外から招待された
賓客や民間企業との交流は
お互い小単では開催されている。
とわいえ、
賓客だけの晩餐会形式以外で
大規模に交流会を持つ事は
警備からも容易ではない。
それからも、
『 EARTH POOL 』は
セレブホテルとしての
セキュリティや、
地下に秘匿された密閉空間という
点において、
警備や地理的利便性から
うってつけだと言えた。

ケイは
電話のハンズフリーイヤホンを
耳にして、オン。

インライン通話で
護衛からの通話は
ノーアクションで
耳に入る。

「Dirと、Assocは guestだな?」

ケイは
ヒルズヴィレッジの
オフィスタワーで、ヤマモリと
タワーエレベーターを待つ。

「はい御主人様からの招待
として、カスガ様。第4王子様
より招待として所長様が
お越し になられています。」

ケイの問いかけに
ヤマモリは淀みなく答える。

まあ、裏で会場searchを
Assocカスガにはさせているが。

ケイはカフスを留めて
ククッと苦笑。

EARTH POOLは、
普段秘匿されているだけあって、
タワー表の
エントランスホールから
普段使う
エレベーターでは降りれない
構造になっていた。

エントランスの
エスカレーターがクロスする下。
ウオールの後ろに現れる
入り口からだけ入れる
シークレットホールなのだ。

そこから
下がるエレベーターで降りる
厳重さ。

その一機だけがEARTH POOLに
到着出来る。

「オレはマユをescortだな?」

さほど待たずに
目の前にエレベーターが
到着して ヤマモリが
ボタンにキーを
かざして、

「左様でございます。こちらの
タワーにございます、ビューティ
パレスフロアには女性の
パウダーコーナーがございます。
そちらで、
スタイリングを住之江 繭子様も
入られました後に、エスコートと
なってございます。」

エレベーターが1階のホールに
到着して、

「ヤマモリ、palace floorじゃ
ないのか?Waiting chairで オレ
はNo problemだぞ。」

エントランスホールは
ペットボトルシップをメインに
今日は パーティーラウンジに
装飾されている。

「それが、本日パレスフロアは
なんでも、新しい美容品などの
テストユーズもしてまして、
女性ゲスト様が 多数楽しまれて
おり、混雑していますので。」

カスガ様も企業からの
テストコスメのブースで忙しく
されていますと、
ヤマモリがケイに説明をした。
どうやら そこが、
カスガのベースコーナーらしい。

「やれやれ、『キギョウセンシ』
てやつだなカスガは。Roger」

エントランスラウンジの
ウエイターから
ウェルカムドリンクを、ケイが
手にした時、

『ケイ様!!繭子様が 隣の女性に
無体を働きました!こちらへ来て
くださいませんでしょうか!!』

珍しくマユの付き人の声が 焦って
イヤホンから聞こえた。

「御主人様?住之江 繭子様は
控室に入られました様です、
参りられますか?」

ヤマモリもイヤホンから、
付き人の声は聞いている。

「ああ、珍しいな マユが。
まあ、彼女もladyだ。もう
cool downしているだろう。」

パーティーでのマウント行為は
さほど珍しくないよと、
ケイはヤマモリに嗜めて
マユの元へ向かった。

まさか、
この
マユの行動に、ケイが
後に、 驚かせられるとは
思っていなかった。


EARTH POOLのガセボは
今日は、

花で淵を囲まれ、見上げると
シャンデリアが3台吊らている。
貯水を囲む回廊は
ビュッフェテーブルをはじめ
大小のテーブルがクロスを
掛けて白く輝いてた。

賓客や企業、種々分けての
マスカレードの面々が
フラワースタンドが飾られる
回廊や、
アンティーク調デザインの
椅子に座っていたりと、
溢れている。

その中を
賓客の来場コールされていく。

EARTH POOLに湛えられる
貯水に 透明の光るボートが
浮かべられて、
そのゲストが視線を投げた。

『イリョージョニスト・ケイ様、
住之江 繭子様。』

自分達に向けられる視線も
ケイには関係ない。
信じれない人物に会ったのだ。

そこには、

「ノンアルコールカクテルの
フルーツが綺麗ですよ、さ、
どうぞ あちらのテーブルで
お楽しみくださいませ。」

と、いいながら

マスカレードの瞳を笑顔に
カクテルウエイターに
トレーを促して去る

10年の時を経て尚
輝くような、オーラを発した
ケイが長く
恋うてきた人物、

『アザミー西山 莇美』

が スタッフとして
動いていたのだ。

彼女は、腰にスタッフリボンを
着けている。
バンケットホールのヘルプ要員と
いう名目で仕事に着いて
いるのだろう。

リボンには 『Tamura』ではなく『Murata』と書かれいるのを
見れば
ケイにも容易に 想像できる。

「Anyway、」

艶やかなショートヘアから
困惑的な長い首筋に
イヤリングが揺れて、

長い睫毛が落とす影が
オリエンタルな顔付きに
色を添えて、
スラリと成長した 聖獣の
ような気品と
肢体がドレスから溢れている。


「やっぱり。華、ねぇ、さま、、
ケイ様、、
わたくしに隠して、、なんて」

ケイが エスコートをする腕の中で
マユが 信じられないと
震える声で詰るも、
アザミの姿から目を離さないのが
ケイにも嫌でも解る。

アサミがアザミだと
searchしていたオレでも、
今のアザミには 心から、

excitementする。

「マユpowder roomで何をした」

So、マユが 乱心したのはアサミ
だったのか。

ケイが控室に入った時には
取り乱していたマユも
落ち着いていて、
スタッフに 掴みかかったとしか、
付き人からは聞いていない。

「ペイントハウスで お見かけした
時に、違和感を覚えましたの。
だから、先ほどのパウダー
ルーム で、お見かけしたので、
御髪 を、試し切ってみました、
だけですわ。やはりでした。」

割りと過激な事を
マユが吐いたのを ケイは
ギョッとなって聞きかえす。

「hairをcutだ?!下手すれば
Murder caseだ!バカか!」

ちょうど、ガセボでの舞踏が
曲調を変える頃。

「解ってますわ!バカを致しま
したわ!でも、こうして
られません。すぐに華ねえさま
を保護しませんと。」

もちろん、しっかりとケイは
今も アザミを目で追っている。

「ここで、stand outは 悪手だ。」

けれど、見覚えのある男が
アザミに声を掛けた。
あれは、
長身で 切れ長の視線を流す優男。
ハジメのギャラリースタッフの
1人、

「ダレンか。」

ケイの呟きに、

「ケイ様、すぐにダンスを
申し込みされれば良いのでは?
わたくし、父をあちらに見かけ
ましたので、父の手を借りに
行って参りますわ。会が終わり
次第、華ねえさまを囲います。」

そう言って
マユは EARTH POOLの回廊に
歓談する紳士に向かって
行ってしまう。

楽団のリードがメインになれば
ダンスのワルツへ変わる。
照明が少し暗くなって、
ガセボのシャンデリアだけ灯る。

アサミが選んだドレスが
独特の光方を放つと
ダイヤモンドのように
スパンコールが、
星を纏って闇に浮かんだ。
人ではないように、
闇に漂う光。

もう、ダメだ!can not stand !

「その華に Don't touch!」

ダレンに話かけられる
アザミに
ケイは 無心で割り込み走った。



其処に、
褐色の肌せし 魔術師さまは、
聖山に 咲くような凛とした
華を伴って

わたし達が案内する
地下宮殿に 踊り 現れました。

首都の地下に、わたし達も
夢に思わない場所があったのです
招待されし者のみが
集うこと叶う
あの日の宴の場所は、
水迷路と言えばいいでしょうか。

EARTHPOOLと申しますの。
ああ、
あの輪舞は なんと言えば。
自分の言葉がもどかしく。

船から身を乗りだして
洋扇を広げつつ見る貴人が
息を飲むのが
わたし達にも 聞こえそうな。

そんな圧巻なまでの勢い。
崇めるべく 宝彩な優美。


本当に
今宵限りの仮面舞踏でした。
各国より来る
賓客達が主催国と交わる歓語。
それだけでも観とれる
光景なのです。

それを
透明なる舟が水路を戯れ、
回廊は
着飾る人々と華々に溢れる。

時に、
楽師達が奏でる音律に耳を癒し

刹那、
鮮やかなる水菓と前菜に目奪れ

凪れる
水面に洋灯が眩く乱反射す
初め
わたし達は その人々に世界に
心時めいてました。

それを一瞬にして覆す旋風。
踊る人波に渦を造り、風を旋回し
他者を縫い付ける 艶やかな嵐が

魔術師さまと華の方の 輪舞で
地下水の宮殿に 湧き唸りました。

わたし達はもう 釘付けで。
あのような 手に汗握る、
奇跡のような迫力の舞
観たことありません。

EARTH POOLに、創造の儀式が
行われたかのような
永遠のような瞬間でしたわ。

もっと間近に観れれば。

残念です、賓客のお出迎えは
わたし達がすべき
受付仕事ですから。

あの、この記事って、
いつ載ります?知り合いに
宣伝しておこうかと。

よければ、写真も綺麗になら
どうぞ🖤。

「ミズキ先輩、報告、あります」

何機もあるタワーのエレベーターのうち、一機だけが地下にある
EARTH POOLのフロアに
到着出来る。

この一機も
表のエントランスホールから
見えるエレベーターホールからではなく、
エントランスのエスカレーターが
クロスする下、
ウオールの後ろにある
入り口から入る
シークレットホールから、
下にのみ
下がるエレベーターで
降りるのだ。

「何、タムラさ、ん?なの、、」

丁度 ミズキ先輩がさ、電話で
非常階段に隠れたのを
見計らってさ、声をかけたよ。

ミズキ先輩も、ドレッシー。

このシークレットホールにはさ、
ヒルズヴィレッジ所有者だけが
使えるエレベーターがあって、
地下からヘリポートまで
ワンタッチ直通で移動する。

って、課長から今日
初めて聞いたよ。

要するにさ、万能エレベーターを
知っている人間は、
旧財閥になんらかの関係者よ。

「タムラさん、貴女、何が?」

ミズキ先輩がさ、片言になって
わたしの事を凝視よ。

「さっき、パウダールームで、
ゲストに切られ、ました、」

今回はこの地下にだけ降りる
エレベーターへゲストを
誘導するからさ。
派遣スタッフに、ミズキ先輩が
レクチャーしていたわけよ。

「切られた!!大丈夫なの?!
ケガしてるの!ゲストって!」

矢継ぎ早に 質問されるのを、
今回は髪だけで 問題ないと、
アサミは告げて、それよりも
自分の身なりを 説明する。

「先輩、わたし、私情でちょっと
素性が知られないよう、してま
して、、。髪をスタイリストさん
が機転で、切ってくれたんです、
けど。ちょっと、不味くて、、」

非常階段で、腕を組みながら、

「今の姿が貴女の本来って事?
もう、何で 今日みたいな
忙しい時に、もう!、、ん、
じゃあ、いっそ、タムラさん。
貴女、予定の裏方じゃなく、
ヘルプ要員として臨時派遣された
体ね。サブファシリテーター
として、私のサブしなさい。
メインで 会場に居てくれたら、
私も動けるから助かるわ。
い いわね。問答無用でよ!」

ミズキは、アサミにいつもより
赤めのルージュをした口を
弓なりにする。
容赦なく、
無知ぶりされたよ!目立っのは、

「あの、出来たら、バックにし」

「貴女ね。解ってるでしょ!
いつもと真逆なドレスにメイク!
髪型も違うから、別人。
話し方と声でタムラさんって
判るぐらいで、立ち方も違う。
そんな貴女、どうみても、表で
会場を動かす人間にしか見えない
でしょ!華あり過ぎよ!いい?」

私のサブなんて、お手の物で
出来るわよねと、
アサミは 凄まれて
さっさと動けと、どやされた。

『こちら、ミズキ!上からの
使える応援がヘルプ入ります!
サブのファシリテーターで、
私の代わりに会場を廻してくれ
ます。、、ムラタさんです。』

ハンズフリーの無線でさ、
バンケットスタッフや派遣さんに
ミズキ先輩が 勝手によ、
わたしの事を連絡しするんだよ?

「ムラタ、、」

3つめの名前が、、出来たよ。
もとの配置仕事は、派遣さんに
ミズキ先輩がふってた。

アサミは地下へのエレベーターで
ドアに映る姿を見ながら降りる。

ショートカットに、本来の肌色。
『田村あさみ』に連想させない
派手なドレスと、ピンヒール。
いつものソバカスと
垂れ目メイク、瞳を小さくする
コンタクトも、眼鏡もない。

ショートカットの『アザミ』と
『アサミ』を別人にするため、
敢えて選んだドレスメイク。

その代わりさ、
スタッフ用マスカレードを
顔につけてるわけよ。

『話し方と声でタムラさんって
判るぐらいで、立ち方も違う。』

もとは、社交ダンスをしてて、
背筋が伸びてるのを、
『田村あさみ』は、背中を
丸め気味に歩く。

「ならさ、話し方をもどし
ますよ。ミズキ先輩。」

エレベーターがEARTH POOLに
着いた。

『先ほどご紹介頂きました、
ムラタです。ミズキさんの
サブで会場メインにヘルプ入り
ますので、よろしくお願いします
ショートカットの、スパンコール
カクテルドレスです。では!』

アサミはそう、
ハンズフリー無線に、入って
スタッフに挨拶をする。

そして
足早に、受付の同僚お嬢さん達に
スッと会釈をすれば、
何食わぬ顔で、
EARTH POOLが 見渡せる
ガセボに入った。

バレなかったよ。

賓客や企業、種々分けて
つけられたマスカレードの面々と
時に、引き合わせて
ワインテーブルへ。

ブラックタイ・タキシードと
カクテルドレスが 回廊で
佇めば、ご挨拶にガセボへ
エスコートを促す。

楽団のリードがメインになれば
ボートから曲鑑賞にと送り出して

賓客の来場コールをしていた
ミズキの声が、

『イリョージョニスト・ケイ様、
住之江 繭子様。』

と、アサミの耳に届く。

クラバットタキシード姿のケイが
振袖姿のご令嬢、マユ嬢をさ、
エスコートして 入ってきたのが
しっかり、見えて、胸がズキンと
した気がするよ。

どちらにしても、、、
今のわたしが 誰かなんて気付か
無いと思うけど。

それに今、わたしはさ、
ファシリテーター。
会場のゲストが時間中で、
望む結果にリードしつつ、
パーティーを 有意義に廻す役目。

会場に入ってきた2人の
タイミングで、音楽が
メインタイムになったのが合図。

「ノンアルコールカクテルの
フルーツが綺麗ですよ、さ、
どうぞ あちらのテーブルで
お楽しみくださいませ。」

マスカレードの瞳を笑顔張り付け
2人に 軽く 声を掛けた。
そのまま カクテルウエイターに
グラス並ぶトレーを
促して去る。と、

妙に背中に 2人の視線を感じて、
振り向いて、
また 笑顔で会釈して
そのまま回廊を 進んだ。

何んだかさ、見られたけど。
気にして、いられない。

音楽が、ダンスにと変わると、
照明が少し暗くなって、
ガセボのシャンデリアだけが
灯る。

この 暫しの薄明かりの間に、
パートナーの手を携えて、
ダンスへ誘う。

ガセボにスポットが当たると、
そこは、仮面舞踏会。
さすが、セレブは
パートナーダンスも 嗜んでる。

『ムラタさん!オードブル周り
プレートとカトラリー、数
大丈夫そう?!失くなる前に
指示!そろそろ受付チェック!
来てないゲストを教えて!』

うあ、容赦ないよ。
一瞬イヤホンを外したくなる。

ガセボから、受付に移動して、
ふと回廊を見回す。

マユ嬢が、父親的な男性と
テーブルで話をしていた。

ケイが、いない。

「今晩は。お嬢さん。
もしかして、何方か お探しか?」

この声。そうか。シークレットの
万能エレベーターから
来たんだよね。

「いえお客様。如何しました?」

さすがに、ダレンはさ、
気がついたよ。
振り返って見据えた目が言ってる

「よく知る人間に、似て非なるを
突き付けられたと、いうべきか」

上から下まで眺められて、
手を取られそうになった。時、

「Sorry。Lady マスカレード!
助けて下さい!」

また後ろからさ、
よく知る声よ!

アサミは、大きくため息をして

「What did you do?なんなりと」

ケイに 『ムラタ』として
応じるのに

今度は、後ろでダレンがさ、
何とも言えない低い声で、

「おや、これは
イリュージョニスト・ケイ殿。
パートナーは如何したか?
まさか、放り出しているとか?
意外に、紳士ではない方だ。」

ケイに、嫌味?言ってきたよ。

「Oho!マユはdaddyとトークだ
ダレンこそ、princes ケイトウを
エスコートしてないぞ。ん?」

本当ね、
わたしさ、巻き込まれ事故だよ。

「大体貴殿は、自由過ぎる。
只でさえ調子に、「ダーレン!」

明るいブラウンの巻き髪を
大人編み込みした、ケイトウが
スカーレットレッドのドレスで
現れた。

「ではお客様方、お伺いないよう
ですので、失礼しますね。」

アサミは角が立たないよう、
お辞儀をして その場を
離れる。
ケイトウが、ダレンに 電話をさ
指さして何か言い始めたのが、
救いになったよ。

「嫌 まだだ。Listen 、」

一瞬、ケイの勢いに飲まれて、
捕まれた手を アサミは、
振りほどけない。

「Lady マスカレード。
今、 パートナーがいない。
だから踊れない。please。」

pleaseの声が なんて色気だよ!

「お客様なら、すぐダンス
パートナーは 見つかりますとも
まあ、あちらの淑女様が、」

そう言ってるのに
あっという間にガセボに連れて
こられて、計算したように

照明が落ちる。

ここまできてさ、相手を置いて
逃げるような事は出来ない。

「Shall We Dance ?Lady 」

だから、
アサミは、一曲だけ踊る事を
決めた。

暗くなり、天井からの光源に
なれば、
アサミが選んだドレスは
独特の光方を放つ。

極めてダイヤモンドに近い石と
スパンコールが、
星を纏うように闇に浮かぶ。

それは、
グラデーションにライトが
明るくなると、
立っているだけで、

『女神が、降りてきたかのよう』

誰かが言った言葉そのまま。
ライトが明るくなる。

他のパートナー達と同じ様に
手を組んで、
ゆったりとした 足さばきをする
ブルース。

そのリードが踊り易くて、
アサミは ほうっと、思うと
ケイの下半身がぐっと押し付け
られた気がする。

気のせいかとケイを仰ぎ見ると、
そこに不敵な笑みが見える。

何?と思った瞬間、思いっきり
不埒な手で お尻を撫でられた。

コレ!敢えてよ!!

ならばと、アサミは
満面の笑顔で、ケイの足を
踏むべく、
ステップに紛れこませて、
エナメルの黒靴に
ピンヒールのかかとを
踏み抜いてやるっ!って、
即座に足を

上げやがったよ!

直ぐに次のステップで 足の甲を
再度、
狙ってかかとを 振り落とす!
くっ!
また足を後ろ、はね上げられた!

連続して ヒールで踏み込み、
エナメルに避けられ、
今度は反対にアサミの足先を?!

ケイが狙うかっ?!。ふつう!
ジェントルマンでしょ?

ブルースが、
異種格闘技戦の足の踏みあい
になって、
曲が終わる頃、またケイに

人のお尻をどれだけ撫でて!
ぐっ、と揉まれた瞬間?!

アサミを電撃のような記憶が
頭に浮上した。

こいつさ!!あの時のよ!!

その証拠に、

「アザミ。ワルツもいいか?」と

ケイがいい放ったんだもん!
間違いない!

アザミが、斜めに視線を
ケイに刺し抉る。
離れた位置から、再び手を
組んで、腰を互いに入れセット。

Oneーtwoーthree deep dance!!

そこからは、周りのパートナーが
置物のよう見えるスピードに、
いきなり
ケイが アサミをリード!して、
フロアの端から端までを
ザーーーーー!と、一気に
回り 駆け抜ける っっっっ!

アザミの
裾に 長くデザインされた
ビーズフリンジと
薄布のシンメトリースカートが

ブアリ、風を大きく張らんで
ケイとアザミの世界を
華麗に波開く。

大きくアザミの、上半身が
水面の白鳥のように
仰けて、、反らされて

それをゆっくりと、ギャラリーに
披露するかに回し見せる
ようにケイが 腰をホールドし、
暫く Vに別れた 互いの半身を
1つの 神体に戻した。

『カッ!』『タ、タタン!』

そこから、トップスピードに
ギアをMAXに 全開!!

アザミが ケイのリードに重ねて
足をはね上げたままに、
2人が多重旋回した。

ガセボのフロアを
めい一杯に泳ぐ2人は
フロアの多数のパートナーに
わずかも 当たる事なく、

もうスピードで ワルツという
超絶技巧なまでの優美な動きを
展開するを、

ボートからのゲストも
食い入るように見つめ、

自分達の間を
アザミのドレスが、シャランと
触るほどの近距離走行される様を
息を飲んで
動けずにいる。

フィニッシュに、完全なる
デモモードで

アザミを、ケイが、腰を掴んで
リフトに上げれば、

そのまま 回転を利かさせて、
スピンで放り投げれば
アザミは
見事、着地をして くるくると
廻わり終えると
優雅にカーテシーを
した。

楽団の音律だけが、流れる
EARTH POOL。

ケイが、パンパンと拍手をした。

それを合図に、楽団が
次のブルース曲を演奏、

ガセボのパートナー達は まるで
夢から覚めたように
踊り始めた。



「ケイ。貴方さ、そうなの?」

答え?そんなのは解ってる。

アザミは、目の前の魔術師を
マスカレードから 伺うように
見定める。

あんな真似するのさ、
後にも先にも たった1人よ。

「See you tomorrow?アサミ。」

なのにさ、
そのままケイは
その件には答えもしないで、
ガセボを去るのよ。

もう 回廊に向かう。

きっと、そう マユ嬢の元へ。

ケイの後ろ姿を 見送って、
アサミは、はあっと、
ため息をついた。


『ムーラーターーーー!!!』

瞬間。
アサミの耳にミズキの声が
無線中に響く音量で、聞こえた。

『いーまーすーぐ来い!デス!』

DEATH !!
不味い、本当に不味いよ。
とりあえずさ、
明日休みで良かったよ。

きっとさ、わたし、死んでるよ。

それにしても、
結局さ、もう、何がなんだかよ。
オレはどこまでも
サヤンなprincesだな。

「Sorry。Lady マスカレード!
助けて下さい!」

maskで顔を
互いに隠していても
ダレンを牽制して睨むオレの
faceを見たのだろう。

アザミが、大きくため息をして

「What did you do?なんなりと」

ケイに 『ムラタ』として
応じる。

今度は、そんなケイにダレンが
何とも言えない
低い声で威嚇をして。

「おや、これは
イリュージョニスト・ケイ殿。
パートナーは如何したか?
まさか、放り出しているとか?
意外に、紳士ではない方だ。」

くるから、
ケイも、嫌味で応戦だ。

「Oho!マユはdaddyとトークだ
ダレンこそ、princes ケイトウを
エスコートしてないぞ。ん?」

オレの本音は、
すっこんでろ!ダレン!
Outsiderだろ!だ!


ケイに引く気は全くないと、
感じるダレンは
それでもケイに、畳み掛けて
くる。

「大体貴殿は、自由過ぎる。
只でさえ調子に、「ダーレン!」

そこに
ダレンの同僚ケイトウが
声を掛けてきて、
ダレンとケイの不毛な
やり取りは
中断した。

どうやら、ギャラリーオーナーの
ハジメからのコール
らしい。

「ではお客様方、お伺いないよう
ですので、失礼しますね。」

すかさず、
アザミがその場を離れようとする
が、
ケイは逃さなかった。

「嫌 まだだ。Listen 、」

ケイは勢いのままにアザミの
手を掴むんで、懇願する。

「Lady マスカレード。
今、 パートナーがいない。
だから踊れない。please。」

今chanceを逃したら!
オレには No nextだから、、

「お客様なら、すぐダンス
パートナーは 見つかりますとも
まあ、あちらの淑女様が、」

まだ抵抗するアザミを、
有無も言わさず
ケイは、
ガセボに連れこんだ。

スポットが当たるとそこは、
仮面舞踏会の最中。
照明を落とすのが合図で
曲を楽団が切り替える。

「カスガ!ライトdownだ!」

『マジ!!え、ガセボライト?』

ケイはイヤホンごしに、
会場運営をする
カスガに
無理やり指示をとばす。

ほどなく

照明が落ちる。

Good job Assoc カスガ!
アザミ、ここまできたら、
逃げるような事は出来ないだろ?

「Shall We Dance ?Lady 」

決まり切った台詞でも、
10年前と同じ言葉をスタートに、

ケイの差し出す手に
アサミは、戸惑いながら
その手を重ねる。

スッと
グラデーションにライトが
明るくなると、

アザミは
『女神が、降りてきたかのよう』
で、
誰かが、そう言った言葉は
ケイにも聞こえた。

『何処の関係者だ?』
『コンパニオンとかじゃ』

ライトが明るくなれば、
他のパートナー達と同じ様に
手を組んで、
ゆったりとした ブルースを
ケイがリードする。

そんなケイのリードが
踊り易いのか、
アサミが ほうっと、色のある
感嘆の息を漏らした。

そんなアザミの息を胸元に、
呼び水か感じて 反射的に
ケイは己の下半身を
ぐっとアザミに押し付ける。

情熱と身体が 練り上がる己の再現
に驚くケイに

知らないアサミが 不機嫌さを
出して、
仰ぎ見てくるから、
ついケイは
不敵な笑みを返してしまった。

Recall、アザミ。My goddess。

瞬間、ケイは思いっきり
不埒な手で アザミの
ヒップラインを撫で上る

After all、
男慣れしていないな?アザミ?
ーI was relieved、、

アサミの腰がビクっと
跳ねる振動を
ケイは身で捉えたから
まるで
脳から涎が垂れた感覚のまま
己の唇を 舌で舐めずりしていた。

Why? アザミとのdanceは
どこまでも Sweetieでsexy で、
たまらんな、、

ケイの中に沸き上がる感覚が
形になる。

圧倒的に、Aggressive danceだ!
雄が Inspire する、、恍惚と
なるケイと裏腹に

10年前と同じように
アザミが
満面の笑顔で、ケイの足を
踏むべく、
ステップに紛れこませて、
エナメルの黒靴に
ピンヒールのかかとを
踏み抜ぬきにくるのが、
ケイには、唐突の予感に解る!

即座に足をup!

直ぐにアザミが次のステップで
足の甲を再度狙う!

くっ!
またagain up!
足を後ろに、上げろオレ!

連続して ヒールで踏み込まれる、
のを全て避けて、
今度は反対にアザミの足先を

じゃじゃ馬に仕置きだと
イッパツ狙う。
余裕でアザミは避けるがな。

これで recall、アザミ。

ブルースが、
曲が終わる頃、止めとケイが
アザミのヒップラインを撫でて!
ぐっ、と揉む。

その瞬間に、
目の前の
アザミの瞳に電撃が走るような
光をケイは見つけた。

今ハッキリとアザミはケイを
記憶の中から引き出したに
違いない光を目に宿している。

ああ、Reminded me、、

「アザミ。ワルツもいいか?」

アザミからの視線が
斜め下から、ケイに刺し抉る。
それさえ なんて、
Exciting !!なんだ!
完全にMでサヤンだなオレ。

離れた位置から、再び手を
絡めるように組んで、
腰を互いに入れ込んで セット。

この meltyな 奥繋がる感覚が
アドレナリンスタンバイで、
Oneーtwoーthree deep dance!!

そこからは、周りのパートナーが
置物のよう見えるスピードに、
いきなり
ケイが アサミをリード!して、
フロアの端から端までを
ザーーーーー!と、一気に
回り 駆け抜ける っっっっ!

そうだ!狂暴なほど 脳が
このoverlapな半身でdanceする

アザミの
裾に 長くデザインされた
ビーズフリンジと
薄布のシンメトリースカートの
柔らかな感触が、

ブアリ、風を大きく張らんで
ケイとアザミの世界を
華麗に波開くと

それさえが 彼女の素肌に
包まれる錯覚に落とされて、

刹那
大きくアザミの、上半身が
水面の白鳥のように
仰けて、、反らされて

それをゆっくりと、ギャラリーに
披露するかに回し見せる。

beauty?違う、Bewitching。

So 『運命の花嫁』なんだな。
子供の頃から 伝え聞いた
男神を乗せて飛ぶ花鳥神を
この時 改めて
ケイは魂に引き寄せながら

ケイは アザミの 腰をホールドし、
暫く Vに別れた 互いの半身を
味わうように1つの 神体に戻す。

アザミのbodyが
自分の bodyになると
好ましくて滾るような薫りが
前頭葉をくすぐってくる。

『カッ!』『タ、タタン!』

そこから、トップスピードに
ギアをMAXに 全開!!

アザミが ケイのリードに重ねて
足をはね上げたままに、
2人が多重旋回した。

「オレの
Beatも breathも Bloodも
アザミとひとつになる」

もうスピードで ワルツという
超絶技巧なまでの優美な動きは
闘うような情事さながらで、

あらゆる ゲストも
食い入るように見つめていて、

『あれは誰だ。』
『芸能人じゃないか?』

自分達の間を
アザミのドレスが、シャランと
触るほどの近距離走行から
フィニッシュに近づく。

ケイは、アザミの腰を掴んで
供物のように
リフトに掲げ上げるなら、
そのまま 回転を利かさせて、
スピンで放り投げ 手離した。

見事、着地をして くるくると
廻わり終えると
アザミは優雅にカーテシー。

楽団の音律だけが、流れる
EARTH POOL。

「ケイ。貴方さ、そうなの?」

踊りおわって アザミが
ケイに 詰め寄る。

答え?そんなのは解ってる。
でも、今すぐにはアザミを
carry off出来ない。

「See you tomorrow?アサミ。」

そのままケイは 一旦
頷いて
紳士の横に座るマユの元へ
回廊を去る。

なによりも ケイは
アザミから
後ろ髪を引かれるように
埋めていたいような
疼く熱を いなして 離れた。

睦事よりも官能的に混りあう
danceの余韻を 惜しむ背中に。

『あのイリュージョニストと
踊った 女神は 一体誰なんだ?』
『ピッ』

それは、突然アラートが鳴った。

フラグは『西山 莇美』。

AIによるビッグデーター管理で、
小さく点滅が始まり、
オートモードで、個人追跡業社に
日々何百とリストされるデータへ
それは すぐに送信された。

【『あーあー、テステス!こちら
メインエントランス。OK?』】

【『こちら受付、ゲストこれより
EARTH POOLに入ります』】


【『こちら、ミズキ!上からの
使える応援がヘルプ入ります!
サブのファシリテーターで、
私の代わりに会場を廻してくれ
ます。、、ムラタさんです。』】

"#ヒルズヴィレッジ#イベント"
"#ヒルズヴィレッジ#ゲスト"

【『ボート!10分おします!』】


【『先ほどご紹介頂きました、
ムラタです。ミズキさんの
サブで会場メインにヘルプ入り
ますので、よろしくお願いします
ショートカットの、スパンコール
カクテルドレスです。では!』】

"#ヒルズヴィレッジ#セレブ"

【『オケ休憩!曲BGMにして
ます。次は15分後に開始。』】


【『ムラタさん!オードブル周り
プレートとカトラリー、数
大丈夫そう?!失くなる前に
指示!そろそろ受付チェック!
来てないゲストを教えて!』】

"#ヒルズヴィレッジ#パーティー"

【『エスコートです!館内放送
ってできますか?ゲストが
お連れ様との合流希望です』】


【『今プロ並みに踊ってる方って
誰ですか?問い合わせがきて
ます。え、こちらもですか』】


【『今ケータリング終了です』】

【『ボート満席!』】

【『ゲストの個人情報はNGで』】

"#ヒルズヴィレッジ#芸能人"

【『いえ、ショートの美人の
案内してる人が踊ってると』】

"#ヒルズヴィレッジ#なあ?
今日 イベあるみたい?知ってる"


【『ムーラーターーーー!!』】

【『いますーぐ来い!デス!』】

【『、、、ラジャー』】

【『あ、ムラタさんですか?』】

【『ヘルプ要員だからNGで』】

【『ラジャー💧』】


【『ごめんね、ミズキ君、パレス
フロアの控室なんだけど、こちら
のVIP様が、さっきから問い合わ
せされてるスタッフにだと思うん
だけど、あ!少々お待ちを、今
確認をしてまして、ごめん、一旦
切りま、、ハナネエサマ?、、ザッザッ
ーミズキさん、ムラタさんて
ヘルプ部署どこだったかな?』】

"#ヒルズヴィレッジ#問い合わせ#なんかパーティじゃね?"


【『あの、こっちにも ダンス
スタッフが誰かって問い合わせ
がきてますけど、、、』】

【『他社ヘルプ要員なのでNG』】

"#聞いてた?有名人いる#美人"

【『ケータリング終了?料理の
テーブル空き縮小します。』】

【『ゲストのお帰り始まりまし
た。POOL内忘れ物に注意』】


【『ミズキ。課長さっきのVIPに
問い合わせの人物は外部要員
なのでNGでお願いします。』】


【『エントランスラウンジは
撤退完了、車寄せウェイティン
グコーナーに変わります。』】

"#名上がってない?#ヒルズヴィレッジ#オート傍受人#後連よろ"


【『すいません、さっきのムラタ
さんと男性と写真を撮らせてと
問い合わせが来て、困ってます
来て下さいませんか?説明し』】

"#ヒルズヴィレッジ#オート有#
#オケ#無修正で上げ予定"

【『ミズキ行きます。受付?』】

【『はい、受付です。』】

【『ラジャー』】


【『すいません、お客様がPOOL
にイヤリングを落とされたと
言われてます。取れますか?』】

【『タムラです。POOLはすぐに
取れません。衛生面で消毒も
必要なのでと理由で、お客様の
連絡先を聞いて後日郵送になり
ます。よろしくです。』】


【『ラジャー』】

【『オケ楽団撤収完了でーす』】

【『ビューティーパレス、ゲスト
撤退完了。遺失物なし。以上』】

【『EARTH POOL 清掃派遣が
到着。清掃スタートです。』】

【『エントランスゲスト撤退』】

【『ラジャー』】

【『ミズキです。持ち場撤収完了
次第、受付にて確認報告して、
派遣の方は就業終わりです。』】

【『ラジャー。お疲れ様です』】

【『お疲れ様でーす。』】

【『トランシーバー閉局です』】


"#オート傍受履歴#上げ済み"



『ピッ』

それは、突然アラートが鳴った。

フラグは『西山 莇美』。

無線盗聴マニアによるオート受信
でのサイトから一定の指定単語に
反応したAIにより、
ビッグデーター管理下のリスト
から、小さく点滅が始まり、
オートモードで、

個人追跡業社に
日々何百とリストされるデータへ
それは すぐに送信された。

search →タムラ●ハナネエサマ
= 西山 莇美 =西山 莇美=西山
今日が、
ケイをツアコンするのはさ、
最後になる。

あと、急だけど、
ヒルズビレッジから わたしもさ
消える日になる、つもり。

「凄いな。bicycleボートになる
のか。知らなかった。」

アサミは、ケイの目の前で、
さっき乗ってきた
レンタルサイクルに
バナナボートみたいな浮きを
2本膨らませて、
互いに装着する。
簡易着脱ボートの自転車仕様。

自転車のペダルを動力にした
ボートになるのだ。

「これさ凄いでしょ?
ボートより動かすのも
スマートなのよ。じゃ行くよ。」

鉄道で1本、1時間も乗れば、
山や、渓谷が広がり、その景色を
彩るのは 鮮やかな 紅葉。

川面まで紅葉が生い茂るような
非日常な風景を、
自分たちが漕ぐペースで、
愛でていく。

「美しいな。ああ、この国も 神に
愛された国だな。この風景 は
祖国にはないモノで、美しい。」

そうなんだよ、ケイの国には
ない紅葉の景色。
今日は朝からだからさ、
いろんな風景を
ケイには見せてあげたい。

「朝に行った、農耕地域とはさ
また違う景色だよね。」

渓谷にくるまで走らせた
サイクリングは、秋の田畑が
牧歌的だった。

「ドローンを あんな風にtake in
しているのは 驚いた。」

紅葉の間を水の路に乗って、
下流にゆっくり向かう。

「この辺りはさ、ドローンを農業に使ってたんだね。海の赤潮対策とかに使うのはさ、わたしも
テレビで見たことあるけど。」

午前中は有機農場の体験を
ケイにしてもらって、
室内で魚介養殖をしている施設も
見学した。

最後にさ、体験ツアー出来て
良かったよ。これで契約的に
『JAPAN good point旅』は満了。

「アサミは 今日はよく話すな。」

ケイが サイクリングバックから
水筒を出す。
今日の朝に アサミが用意した
味噌汁入りの水筒だ。
あの、ペットボトルシップで
会った朝と同じ。

「今だけよ。」

紅葉を目の前に、自転車ボートに
またがったまま、ケイは ついでと
マヨおにぎりも出してきた。

「もしかしてさ、水の上でランチ
するつもり?落ちるよ。」

「せっかくのhand made だろ?」

可憐な モミジを前に食べたいと、
ケイが言うからさ、
わたしも 水筒から温かいお味噌汁
を口にするよ。

風に揺れて紅葉が水に落ちる。
課長のデスクに 辞表を
出した事を 思い出す。

髪が短くなった自分を見た時には
決めていたよ。
だから、昨日のうちに 部屋も
解約したし。

もともと、荷物なんて無いからさ

「ヒルズビレッジみたいな
urbanな場所から遠くないのに、
自然が多い。surprising だな。」

ケイがアサミの様子を伺うように
見る。

「ヒルズビレッジはさ別格だよ。
とくに洗練されてるアーバンな
場所 だもん。よけいだよ。」

本当にさ、夢のみたいな場所で、
働いてたのが嘘みたいよ。

「ねぇ、ケイはさ、ボトルシップ
を芸術祭に 持ってくるだけが、
来日の理由じゃないでしょ?
いいの?ここに来てても?」

「そうだな。To meet the bride、
花嫁候補に会いにきた。
それが1番の理由だ。
他もあるがNo problem だろ?」

やっぱりさ、そうなんだよ。

「じゃあさ、今日はちゃんと
お昼食べてから、この先である、
ローズフェスティバルに
川を下って行こうと 思ってる。」

これも 最初ヤマモリさんからさ、
聞いていたんだよね。

そうして、予定する茶屋に
踵を返して漕ぎ出すアサミを
ケイが並走して 間を詰めてきた。

「背中に モミジがあるぞ。」

並ぶ、自転車越しに
手を廻されると 抱きしめられる
みたいにして、取られた背中の
紅葉を見せられる。

「あのさ、そーゆーの!やめてよ
だいたいさ、普通ダンスの時に
人の体!触らないでしょ!
本当、後に先にもケイぐらいよ」

「10年前には、足を骨折したな。
昨日は、Play revenge!満足だ」

サイテーだよ!!信じられない!
全然かわってない、
かつての交流相手に
アサミは 非難する視線を投げる。
それを
受けながらケイも 方向転換して、
水車が目印の茶屋で
お昼を満喫した。



「へぇ、Rose flowerは この季節も
咲くのか。アサミ、あれは、、
ビンディー じゃないか。?」

宮廷庭園風に植栽された
ローズガーデンには 沢山のテント

薔薇にちなんだ グルメやスイーツ
雑貨も軒を連ねている間を、

「そうだよ最近はさ、フェス
ファッションに、ビンディー
シールでお洒落したりもするよ。
セレブとかの、見たことない?」

やたらビンディーをつけた女子が
楽しんでいる。

まあ、それだけじゃないんだよ。
自前のショールとかを
それっぽく巻いてる 女子も多い
のはさ。

「ほらさ、ローズウォーターの
テイスティングもしてるよ。」

アルコールを禁じる国は、
ローズウォーターソーダを
シャンパンにしたり、
白コーヒーとして飲んだりする
らしい。

世界トップクラスの薔薇の生産国
インドと薔薇の説明をカンバンで
読みながら、薔薇製品や、
薔薇を売るテントを
いくつも 軒先をまわる。

「なんだか、men's は居にくい」

散々薔薇のアイテムを試した
くせにさ、ローズアイスを手に、
眉を潜める?

「魔術師ケイならさ、必須アイ
テムなんじゃない。ローズは!」

ケイに、アサミは笑いながら
今度は ローズキャンディを
自分の口に放り込んだ。

「なら アサミ、手書きビンディー
をしている。body make するぞ」

ケイが 半ば強引に アサミを
本格ビンディを額に書くテントへ
引っ張っていって、
中の女性から ビンディー粉や
筆を借りてくる。

「え?!やってもらうんじゃ
ないの?自分で、ってケイが?」

芝生に座ったケイの膝を枕に
アサミは そのまま寝かされた。

「知らないのか?ビンディは
Husbandが書くものだろ。」

真っ赤な褐色の粉を溶いた筆先が
アサミの額に 落とされて
へんに、くすぐったい。

あー、確かにこれはさ、 旦那が
書くよ。感触も 構図も
どうしようもないよ。

「それってさ、マリッジビンディ
だよね。ケイが書かなくても」

慣れた手つきで、筆を滑らす
ケイが

「クマリ。ローカルクマリという
マスターがいる。国王でさえ膝ま
付く、国の運命を予言する者だ。
出会えれば、こうしてビンディ を
つけてもらえる。そのmiracleな
ビンディを『ティカ』と呼ぶ。」

目を閉じていた、アサミは
瞳を開く。

「もしかしてさ、『ティカ』っ
て、そこから名前をつけてる?」

その辺りから、ローズガーデンに
流れるBGMが変わるのが
アサミには、解った。

「それは、どうかな?」

ケイが 徐に膝に乗せた アサミに
褐色の整った顔を 被せて、

アサミの口に入っていた
ローズキャンディを 舌で絡め
とり、そのまま アサミの
耳朶も噛んだ。

「薔薇の taste だな。」

上から覗き込む口を 微笑ませて

「アサミ、出来たぞ。似合うな」

膝から、アサミの上半身を
起こした。

その間、なぜがアサミは
恥ずかしさとか、嫌らしさとか
胸の高鳴りとかが霧散して

ケイの瞳を見つめていた。

なんだろう。この感覚は。

時間が永遠に思えたそんな
錯覚がした時、
合図の音が流れてきた。
夢の終わりだ。

「そんなに大事な『ティカ』を
貰うなんてさ、出来ないよ。」

立ち上がって、アサミは
カバンから、ショールを取り出し
体に巻く。

ケイは、訳がわからない顔で、
まだ芝生に座っていた。

次の瞬間、周りのテントで
売り子をしていたスタッフや、
ショールを巻いた客が、

踊り出す!!

「フラッシュモブか?!」

ケイがアサミの頷く顔を見た。

アサミも、そのまま 踊りに
加わって、大勢の団体の一部に
紛れ込むのを、
ケイが

「おい!ここに置いていくのか!
最後までエスコートしろ!
コンダクターだろ?!アザミ!」

叫ぶのをアサミは そのまま

「ケイはさ、魔術師だしさ、
小人も、着物の令嬢もいるから
大丈夫だよ。だから行くね。
ああ、
明日頑張ってよ。『カイザー』」

笑顔を見せながら、
ショールを 頭まで スッポリ被せ
インド映画さながらの、
ボリウッド音楽に合わせて
シンクロダンスをする
フラッシュモブへと
消えていく。

『カイザー』と呼ばれて、ケイは
固まったまま、動かない。
モブダンスに、薔薇の花弁が
舞と、もう見えない姿。

今日さ、ここで参加型のさ
フラッシュモブイベントがある
のを、教えてもらった時は
まさかね、来るとは
思ってなかったんだよ。

おかげで、
イリュージョニスト・ケイが
出現した時みたいさ、

わたしも 華やかに
消えれるね。


3つめ?いや、4つめか?の
I'm sorry だとしたら、
間違いなく、EARTH POOLでの
danceと、、その後だな。

These 2 days。
オレがどんなにregretしたか。
わからない。

ー心想事成ー

乞い焦がれ 会えただけが
叶った悦びに 打たれて
いたから
無知ゆえに気付かず 危険を
引寄せた 愚かなオレに。

ー淡化我的罪过ー

EARTH POOLパーティー翌日。
ケイをアサミが
ツアーコンダクターするのが、
最後になる日。

ヒルズヴィレッジでの
EARTH POOLパーティーの
次の日、午前。

ケイはアザミに連れられて
首都郊外に来ていた。

「凄いな。bicycleボートになる
のか。知らなかった。」

ケイの目の前でアサミは、
さっきまで乗ってきた
レンタルサイクルに
バナナボートみたいな浮きを
2本膨らませて、
互いの自転車に装着する。

簡易着脱ボートの自転車仕様。
その手際は、魔法のようで
すぐに
自転車のペダルを動力にした
ボートになった。

「これさ凄いでしょ?
ボートより動かすのも
スマートなのよ。じゃ行くよ。」

そう快活な
アザミを先頭に、
川面まで紅葉が生い茂るような
非日常な風景を、
自分達のペースで愛でていく。

川面に2艇の影が揺れる。

本当は
昨日のEARTH POOLで、
ケイはアザミを連れ出す
気持ち『 半分』
躊躇いが残る
『半分』の気持ち だった。

I remembered herself。
But、Only I think、、

ただ、思い出しただけのアザミ。
なら、
Alone なオレに その権利は
まだ、ないのだ。


「ウツクシイ。ああ、この国も
神に 愛された国だな。
この風景 は 祖国にはない
モノで、ウツクシイ。」

紅葉の景色を堪能しながら、
今も ケイは隣のアザミに
感じている。

自分の半身だと
肌で解ると 離れられる
わけがなかったが、
こうして
アサミと、前以て約束を
交わしているから
昨日はアザミから
一旦引くことが 出来た自分。

「朝に行った、農耕地域とはさ
また違う景色だよね。」

無言で
紅葉を眺めるケイに
アザミは この景色と
渓谷にくるまでに見た
牧歌的な田畑を比べて
感想を口にしている。

オレが 考えている black face
なんて、気がつきもしないで。

アザミに隠れて、
ケイは溜息をつく。

10年拗れているRotten loveを
Too muchなオレだ。

「ドローンを あんな風にtake in
しているのは 驚いた。」

ケイはしっかり訓練された
2面顔の表で、言葉を本音と
別に繋いでいく。

どちらにしても、
明日はこの国の式典で、
ケイは来賓参加を
国王と
しなければならない。

その際に、ケイは
父親でもある国王に
『運命の花嫁』を
話すと決めている。

あと、Side princessー側妃は
娶らないとも。

身を任せると
紅葉の間を水の路に乗って、
自転車ボートは
下流にゆっくり向かう。

「この辺りはさ、ドローンを農業に使ってたんだね。海の赤潮対策とかに使うのはさ、わたしも
テレビで見たことあるけど。」

紅葉のトンネルを進む
アザミを見る
ケイは
眩しそうに見ている様で
その瞳には焔を灯す。

So
フラレても構わない

proposeする。

そして、Do not let goだな。
かなり勝手だ。

「アサミは 今日はよく話すな。」

ケイがアサミに、言いながら
サイクリングバックの
水筒を 徐に出した。

「今だけよ。」

その水筒の中身はあの朝と
同じ 『みそ汁スープ』だと
アザミは微笑んだ。


ー『俺に毎朝、みそ汁をつくって
くれないか?っすかね?って、
月がキレイですねとか、まわり
くどい感じっすよねー。ハハ』ー

Assoc カスガに
この国ならではのproposeを
hearingしたanswerだが、、

紅葉の下、自転車にまたがった
ままの川面で
ケイは ついでと、例の
マヨおにぎりも出したら、


「もしかしてさ、水の上でランチ
するつもり?落ちるよ。」

子供みたいだと、笑われた。

この国のpropose、オレに難解。

「せっかくのhand made だろ?」

自棄気味に 水筒の中身を ケイが
飲みきると、
風に揺れて紅葉が水に落ちた。

「ヒルズビレッジみたいな
urbanな場所から遠くないのに、
自然が多い。surprising だな。」

ケイがアサミの様子を伺うように
見る。

「ヒルズビレッジはさ別格だよ。
とくに洗練されてるアーバンな
場所 だもん。よけいだよ。」

それでもこの国は
どこを見ても
文化的で 精神性が高いと
ケイは思っている。

自国は豊かだ。
But 、心の wealthに成り得てなく
Disparityも 民にはある、、

「ねぇ、ケイはさ、ボトルシップ
を芸術祭に 持ってくるだけが、
来日の理由じゃないでしょ?
いいの?ここに来てても?」

アザミの言葉に ふと
『運命の』というのは
What kind of bride princessか?
またオレは、考える。

「そうだな。To meet the bride、
花嫁候補に会いにきた。
それが1番の理由だ。
他もあるがNo problem だろ?」

アザミを探しながら、
オレは Ask yourself してきた。
そして形にまだ ならないんだ。

「じゃ、じゃあさ、
今日は 紅葉狩りの後はちゃんと
お昼食べてから、この先である、
ローズフェスティバルに
川を下って行こうと 思ってる。」

「、、モミジガリ?」

そうして、予定する茶屋に
踵を返して漕ぎ出すアサミを
ケイは並走して
距離を詰める。

今、なのか?×2?


「背中に モミジがある、ぞ。」

並ぶ、自転車越しに
手を廻して 抱きしめようと

するケイの前髪に
遮るように
降ってきた葉と、

「あのさ、そーゆーの!やめてよ
だいたいさ、普通ダンスの時に
人の体!触らないでしょ!
本当、後に先にもケイぐらいよ」

アザミの言葉に

掛けようとするケイの台詞が
詰まって
初めて会った時のアザミの
拒絶も 思わず重ねて口に
していた。

「10年前には、足を骨折したな。
昨日は、Play revenge!満足だ」

たまに疼く足と、

ケイに、アザミが
投げてきた非難の視線に迷う。

Don't be scared オレ!!
狩り、 huntingは
手にする事だろ?!だろ?

なぜか痛む胸元。

前髪から外した紅葉を
手に、ケイも

方向転換して、
水車が目印の茶屋へ向かう
アザミの後を
追い漕ぐ。

ー我还没说我喜欢ー
しまった、、
I haven't said I love you yet?!
まだ、
オレは好きだとも言ってないぞ