「 Hi☆ !アサミ↑↑カモ〰️ン」

ライトブラウンの巻き毛を
揺らして、ケイトウが
手を振ってる。けどさ、
頼むから やめて欲しいかも。

ほら、
そのケイトウの隣にさ、
ダレンも座ってるから
目立つんだよね、
見目麗しい ハーフ2人組って。

「Hey、アサミ!!↑↑」

再び呼ばれる。

ケイトウは、北欧系のハーフで、
ダレンは華僑系ハーフなんだ
ってさ。
ともあれ、
けっこう有名なんだよね。
2人はさ、きっと自覚ないけど。

「ごめんなさい。遅れて。」

謝って、ケイトウの隣に。

ケイトウは ハーフならではの
色白でもって、
瞳が 光の加減で
グレーっぽくなるし、
ナイスバディで バグしてきてさ。
女子でも
ドキドキな 胸がすごいわけ。

見たら、うちの同僚 お嬢さん達が
めちゃくちゃ見てるって。
ヤバい。

「ケイトウ。ディスタンス取れ。
そして落ち着け。迷惑だろう。
ムダに、目立って、仕方ない。」

そう口を弓なりにする
亜系男子よ。
人のこと言えない 目立ち加減
だと
思うけど? 君も。

だって
何て言ってもさ、
ツーブロックすっきり
襟足ヘアに
グレーのカラーシャツでさ
合わせたネクタイが、
パープルだから!!
お洒落インテリモンスター
止まらないよね。

さらにさ、
前下がり長めに
グラデーションカットした前髪を
かき上げて、
切れ長流し目をしてくるわけ。

終わった。

『ZUQUUUN!!』

ほらね、
後ろの 同僚お嬢さん2人が、
射ぬかれた。
もらい事故反対!

ここは いつも通り、
目立たず大人しく=無言貫く。

今日は、グレーのブラウスに
しておいて良かったって、
影に撤するつもり。

なのに、ケイトウはさ、
容赦なく聞いてくるわけ。

「アサミ!今日、いつもの ランチ
ボックス 持ってないですの?」

キラキラ好奇心の塊ワンコだよ。

「ちょっと今日、、時間なくて」

というわけで、手に持つトレーを
上げて示す わたし。

「アサミ姫、は、彩り野菜の
バターチキンカレー定食だな」

一瞬殺気を送ってしまったのは
ご愛嬌。『姫』呼びさ、
止めてよね、ダレン。

「ラッキー!ポークビネガーと
悩んだヤツですわ、
アサミ!シェアプリーズ!!」

ケイトウは、言ってる側から
カレーを掬ってるって。

はあー。
タメ息つくけど、ダレンがさ、

「ケイトウのポークビネガーを
3分の2は貰っても良いと思うぞ」

ってアドバイスしてくれたから
遠慮なく ケイトウの皿から
わたしの 皿に 引っ越し
させてやったよ。ふん。

タラのレモン味噌焼き、ね。
ダレンは
美味しそうに、流れるかのように
綺麗な手つきで 食べてる。

『あ、この間 ご一緒したーー
やっぱり!たまに、あたし達も
ランチここで食べるんですーー』

後ろが騒がしくなったと思ったら
うちの同僚お嬢さん達が、
やってきた どこかのメンズ組に
話かけてさ、
引っ張り こんだのか。

『あれ、そうなんだ。オレ達は
いつも 使ってるけど、じゃあ
これまでもニアミスしてたね』

どうやら、昨日の
合コンメンズの次期エリートか。
あ、かじきのバルサミコソース!
選んでるよ、メンズ。
それと、チキンカレー
わたしは かなり迷ったのよ。

このヒルズビレッジの
オフィスタワーは、
いろんな企業が入ってて、
そのうちの1つに
社食の委託会社がある。

このフロアは、その会社が
シェア・カンパニーダイニングを
オープンしてて、

タワーにあるオフィスならさ、
料金を払って使えるよ。

さすがに社食専門だけあって、
メニュー豊富で、
ダイニング内装も お洒落。

「ケイトウ。ポークビネガー焼き
美味しいよ、ありがとう。」

いつもは お弁当で、
タワーの至るところにある
ブレイクコーナーでランチ
なんだけどさ、
週に何回かは、ケイトウとダレン
2人組と ランチする。

「ドウイタマシテ!
シェアさまさまですわ↑↑」

わたしは、お弁当だから
2人は、外に来るキッチンカーで
わざわざテイクアウトして
合流してくれるからさ、
いい人達だよ。

「ケイトウ、どういたしまして。
だろ。残念なことになってるぞ」

「ノー、シャラップ!ダレン!
コジュウト、重箱つつくですわ」

ギャーギャーと言い合いして
相変わらず仲が良い2人。
黙って、彩りバターチキンカレー
食してると、ついついさ
後ろの声が聞こえるんだよ。


『今度また、この間のメンバーで
ご飯しませんかぁ。新しくーー』

ゆるふわボブのお嬢さん、
グイグイいくよ。
そっか、
普段はこの同僚お嬢さん達さ、
外の 噂のお店とかに
ランチ行くから、
本当は ここで会わないわけ。

けど、合コンメンズが
シェアカンパニーダイニングの
常連ってリサーチかけて、
ランチエリアを
変えてきたわけか。

当分ここは、使えないよね。
あまり接点欲しくないからさ。

「しかし、アサミ姫が、手作り
ランチをしてこないとは、何か
あったのか?体調悪いとかか?」

後ろに聞き耳たててたら

ダレンが、
グラデーションカットした
前髪ごしに 目を細めてさ、
聞いてきた。

ケイトウとダレンも
ここのギャラリー会社の
人達って、どうも鋭い。

「元気。大丈夫。本当、朝の
ジョギングに 時間とられただけ」

さすが、『ギャラリー探偵』とか
言われるオーナーがやってるさ
会社のスタッフだよね。

きっと、些細な事に
気が回らないと、アートなんてさ
扱えないのだろうけど。


「Really?アサミに何かなれば
シオーンに、怒られるです!」

そういってさ、
ケイトウは わたしのおでこに
手を当ててきた。

はは。

わたしって、職場にも友達いない
のに、この目立つハーフ2人と
仲良くやってるのは、
一重に、高校?の同志
『シオンちゃん』のお陰。

シオンちゃんが働いてるのが
この 2人も所属
アートギャラリー『武々1B』
だったから。

シオンちゃんは 本部がある、
石川に勤務なんだけどね。

「ちゃんと、明日はお弁当持って
いつも通りブレイクコーナーで
ランチするから、、また 誘って」

そう、言ってるのに

「本当に大丈夫か?」

ダレンは 何探るかな?

「ダレン!熱も、アサミは
ないですよ!明日、 うちの
フロアのブレイクラウンジで
ランチすればいいですわ↑↑」

う、うん。連チャンか。
しかも、
2人のオフィスフロアね。
ダレンが沼ハマりしてるさ、
お抹茶のお手前を拝見する
ってことね。

「じゃ、明日また ランチでね。」

食べ終わったトレーを
片付けに行く。

あ、同僚お嬢さん達、ランチ
終わりに見事、メンズ達と
ブレイクコーナーに 移動か。
良かったねっと。

ん?そういえば、始めてかも、
ここのメニューを食べたの。

そんな自分に、気がついたら
ふと ダレンの視線を
感じた。

この亜系イケメン、
今朝のジョギングでの事、
知ってる?まさかね。

わけないか?
そんなわけないよね。何?!

見透かされてるみたいでさ、
今朝の事
思い描けないよ。