いかにも贅沢に、
広いエントランスから、
ロックガーデン調の中庭が見えて
都心を忘れる 空間を作っている。

アサミは、指定された時間に
ヒルズヴィレッジにある、
低層レジデンスに来た。

白と黒が基調のエントランス。
ゴールドのオブジェ。

コンシェルジュに
声をかけ、
エントランスソファーで、
迎えを待っているのだ。

手には、ティカを入れた籠。

せっかくだから、
コンシェルジュに聞けば
フィットネスに、
キッズルーム、それに
トランクルーム完備のレジデンス

週1回のルームクリーニングが
サービスされる、らしい。

手元のティカを見ながら
笑顔でさ
ペットも可だと教えてくれたよ。

家賃何百万の世界だよ!ムリ

説明を聞いてると、現れたのは、
執事姿のヤマモリさん。

後ろに着いて、
居住フロア用のエレベーターに。

ゴールドとマホガニー黒という
内装の落ち着ついた、
エレベーターを降りて、アザミが
驚いたのは 廊下の幅が
広くて3M以上ある事。

玄関の前には、さらにガラスの
自動ドアが戸別にある 防犯具合。

すべてがさ、
カードキーのセキュリティだよ。

入れば
中央に花瓶台のある
円形のポーチで。
スリッパへ履き替え
案内されるは、

通路奥の ドアのない開口。
そこを入ると、

ウオールの向こうに、
大理石タイルが貼られた
メインリビングがあった。

いかにもさ、ペントハウス
だよ。

広いリビングは、
木々を借景にした庭園に
囲まれているのが、窓の外を
見れば分かる。

モダンインテリアに、
陽の光が
ジャグジーの揺らめく波影を
反射させ 差し込み 明るい。

ケイは、ソファーの1人掛けに
座って、
ローテーブルに、幾つも
置かれた 海外の新聞を読んでいた

「welcome、アサミ。ヤマモリ
Thank Youだ。下がっていい。」

早々に、ヤマモリさんがさ、
胸に手を当てる礼を取ると、
下がってしまうよ。

仕方ない。

「ケイ、ティカ。外で見つけた
から 連れてきました。」

籠を差し出して、扉を開ければ
ティカがケイの指に乗った。

「やあ、ティカは Goddessだな」

ティカの仕草を、前髪から覗く
目を細めて、愛でながら、

「今日はアサミメイドのlunch
だろ?。楽しみだ。」

ケイが ほざくから、

「コンシェルジュでさ頼んだら、
いかが、ですか。ケイ様。」

ティカを 室内で 飛ばせるケイに、
一応進言してみるけどさ、

「『イソウロウ』の身分だから
な。ああ、Meal材はフリーだ」

あえなくさ、撃沈よ。
えー。はいはい。ヒビのお詫び
ですよね、どうせ。

アサミは予想していた展開に、
自分が持ってきた籠以外の荷物を
手にして、

「キッチン、 借りますよ。」

リビングから、
大きめのダイニングセットの
向こうに見えた、
アイランドキッチンに向かう。

大型オーブンに
レンジ、スチーマーもある。
隣にバンケットユーティリティ。

食器棚、冷蔵庫、クーラー。
バンケットと冷蔵庫には
ケイが言ったとおり、食材が
たんまり 入っていた。

「lunchメニューは?シェフ?」

ティカを肩にケイが来て、
アサミが
キッチンテーブルに並べるモノを
興味津々で 覗いてくる。

「本当は、 ヌードルファクト
リーも、 体験してもらおうって
、、考えてたんですよ、、、」

安静ってなったから、
それらしい
気分にでもなればと思ってと、
アサミが持参したのは、
自分で中身を選べるプレミアムなヌードル、
インスタントカップだった。

「そうか、instant noodleを生んだ
国は、この国だった。」

並ぶ カップに、具や麺、スープを
手にしてケイが 感心する。

「今は、インドネシア地域の方が
消費量は、、 多いですけどね」

冷蔵庫から、野菜やシーフード、
チキンを取り出して、
アサミは スチーマーを使う。
ケイは、スープの名前を見てる。

「トリュフスープ?凄いな。」

麺や、ドライフードの具、スープと種類があるので、取り合わせを
変えれて楽しいですから、
エビやチキンとか素材を足して
ラグジュアリーヌードルにしましょうと、ケイに説明して、

「あとは、温野菜と 生ソーセージ
でチーズ フォンデュにします」

と、手際よくアサミは ランチを
作り上げてしまった。

「アサミはシェフにも向いてる」

クッキングの間に、
ケイが1人掛けソファーへ戻り
背を預けて座っていたので、
アサミは、料理を
ローテーブルに並べて、
冷えていた
シャンパンを 開けると、
ケイが 感心の声を上げた。

「普通、独り暮らし、、なら 、
これくらいは、やりますよ。」

インスタントをね味整えたぐらい
スムージースープが見た目
いいし
材料がさ、いいんだよ。

「Wonderful!ヤバいな。」

アサミは、黙ってスマイル。

ティカが、食後に出したアサミの
フルーツを つつきはじめた
タイミングで、

「わたし、ヒビのお詫びで、今日
サポートに、呼ばれたんですよ
ね、、?でも、バトラーの、、
ヤマモリさんがいれば、困ら
ないと、 思い、 ますけど。」

ずっと思っていた事を、
アサミは ケイに投げ掛けるが、
返事はあっけなく 、

「ヤマモリは、外で依頼している
事がある。Outside workだ。」

そうですか。

ケイが、フルーツをつつく
ティカに手を伸ばして、
アサミのソファーに座ったから

「それは、失礼しました。あの、
食後の、飲み物 入れます。」

キッチンへ立つことを口実に
言うと、

ケイが アサミの肩に ティカを
乗せながら 続けた。

「アサミは、器用だ。アレンジに
長けて、無駄もない。だろ?」

それはさ、、そうかも。

「そして、Innocent、過ぎる。」

ティカが 肩から飛び立った途端
アサミの手首を支点に
体が下へと 回される。

コーディネートにこだわったろう
天井の照明が ケイの後ろに、
みえる 視界。
つまりさ 、押し倒されているよ。

「ケイさ、ヒビ入ってる割りに
元気ですよ、ね。嘘ついてる?」

案の定
物凄く悪い顔をしてさ、
ケイは 耳元で、

「悪いが、アサミの蹴りでは、
どうにかならないぐらいは、
鍛えてきた。ヒビもない。
悪いな Liarで。」

色気をも含んだ声で囁かれた
事実を聞いて

アサミは、反射的に、
片膝を立てて
ケイの体を押し上げ、
反対の足で、脇腹を狙う。のを、

ケイが 片肘で避けた瞬間、
そのままケイの体を足で挟んで
ソファーからケイの背中を
ローテーブルとの間床に
落とす。

「どこで 覚えた、動きだ?」

上下逆転を させて、
ケイが、アサミを見上げる。

「パーソナルコーチさ、 受けた
事も ある、それだけよ。」

アサミは、ケイの手で
自分の髪を耳に掛けられながら、
冷静に 応えた。

「いつまで、そのフェイク
スタイルでいる つもりだ。」

それが面白くなさそうに、
ケイは さらにアサミの目元を
やわやわと 擦って見つめる。

「一生かもよ。わかんないよ。」

「やめろ、やめればいい。」

止めれるわけさ、ないんだよ。
って、言おうとしたら、さらに
ケイが、アサミの腰を撫でた。

一瞬ぞくぞくっとした
感覚が上に登ってさ これは
いけないっ!てさ思った時よ、

『バシャーーーーーー、ン』

アサミの頭から体に、
氷水が 掛けられ、そのあまりの
冷たさに

「カッ、ハッ。」っとアサミの

息が詰まった。

水が飛んできた先を 顔を振り上げ
見たアサミが止まる。

視線の先には
いつの間に現れたのか
例の着物の令嬢が、空になった
ワインクーラーを 手に、

「貴女!ケイ様になんて、不埒な
事をなさるの!あるまじき その
姿、貴女、恥を知りなさい。」

苛烈な形相でアサミを睨み付けていたわけで。

要するにさ、この場所まで、
ノーチェックで通れる人ってこと
なんだよ。

それこそ、ノックもしないでさ、
入ってこれるほどのケイとの間柄
なんだよ。

アサミは、目を閉じてケイの
上から降りた。