あれ?なんでわたし
こんなに??? なんだろう、、


派遣してもらう人員打ち合わせを
早々に終わらせて、
まだ開店間もないモールへ。

アサミは 目処をつけている
和菓子店に向かうつもりだった。

けどさ、
きっと、アレは ケイだよ。
あ、言い方が 違った。

昨日、
『ヒーローとして現れたケイ』の
その次の日の 姿をモールで、
見てしまった。
と思う。

だってさ、
イリュージョニスト・ケイは、
黒のスーツに、ネクタイ姿で、
前髪も艶やかに整えてよ

まあ、見ようによっては
どこかの若頭風だけどさ、

着物の 大和撫子ご令嬢と歩いて
いなさるわけよ。

それは、もう、和やかに
周りに眩しい オーラ飛ばして。
これはさ、
ショー・アーティストとして
セレブに ゲスト扱いでも受けて
るんだろうよ。

なんだ、もう
ちゃんと ミスユニバースみたいな
ご令嬢に案内されてるじゃん。
ふーん。
じゃあ このモールは、
ツアコン先に、使えないかあ。

声も掛けずに、わたしはさ
テナントの横から ケイ達が
通り過ぎるのを 待つしかない。

お嬢様の着物を見れば一目瞭然。
仕草をみれば、サラブレッド確定
淑やかだけど、瞳を見ればさ、
あれは、、、。

お嬢様達を挟んで、セキュリティ
さえ付いてるもんだから。

レジデンス宿泊を提供できる
ぐらいのご令嬢に、ケイはさ、
見初められたんだろうよ。


これでもさ、『元成金没落令嬢』
なんだよ、わたし。
あの着物が どれだけ高いか
想像できるし、でもって、
生粋の女子学園育ちだからさ
あーゆー、
恋する乙女の瞳ってやつ、
全然知ってるよ、、

良かった。

下のデスパッチセンターで
派遣主任のヤマモリさんに、
海外の友人にツアコンするなら
何処が良いか、

聞いといてさ。

じゃなきゃ、今からまたさ
ツアコン場所探さなきゃだった。

まあ、そんなわけでさ
わたしは、そのまま手ぶらで、
バンケットオフィスに
戻ったわけ。

それからは、
バリバリ お仕事して。忙しく
没頭してたからさ、
夕方を 迎えた頃には、
なんか モヤモヤは
忘れてた。


オフィスタワーの
エントランスホールは
今だけ 一時的に開放されて、
ペットボトルシップの展示を
フリーで鑑賞できる。

どこかの大学生達だよね、
ゼミで見学に来ていて、
あーだこーだ、
レポートを書いたり、
写真撮ったりしている。

そんな学生に 混じって、
ケイは待っていた。

今日の黄昏時は、
ぐっと 気温が下がっている。
その証拠に、ケイは
白の長袖トレーナーに、
濃紺Gパン だった。

昼間のオーラは 何処に、
ぼさぼさ伸びっぱなし髪に
眼鏡をかけて、
冴えない感は 満載だ。
とはいえ、
自分も、似たような地味さだし。

普段は こんな引け目なこと、
思ったりしないのにさ。
やだやだ。

「アサミ!お仕事お疲れ。
今日から、コンダクター
ヨロシクお願いする。楽しみだ」

学生達に紛れて ケイが
スマイルで手を振りながら、
やって来る。

「じゃあ、クライアント様。
依頼の、最初は、Japan trip。
秋の催しに、ご案内します。」

アサミは 硬めな 会釈をして、
アドバイスをもらった先に、

不審者ケイを リードした。


ヒルズヴィレッジからも
遠くない場所。
この国の 政治経済の中枢場所に
緑が広がる一角がある。

高台にある社は、
ライトアップで、淡く灯され
ゲストを迎える。

もともとは、
琵琶湖畔の霊山守護する
お山御神体の信仰であり、
明治天皇が、
東の都に 居住する際、
『王の城、皇居を中心とす首都』を守護する社とされた場所。

摩天楼に囲まれてるだけあって
企業の信仰集める神社でもある

彩飾鮮やかな社。

拝殿の天井草花面や
千本鳥居、
神輿が昇る男坂が みどころ
だが、
この日は
仲秋の名月の下

いかにも 日本的な太鼓や、
管弦 菊の花や刀を使った
巫女舞が 厳か行われていた。

他にも有名な観光寺社仏閣も
あるけど、今日なら、
ここにして正解だと
アサミは ケイと並んだ 席で思う。

『雅楽』は日本と
アジアの音楽が融合した、
最古の音楽で、
交流的な ツアコンなら
もってこいの儀の日だと、
ヤマモリさんが 教えてくれた。
その
アドバイスが効を成したわけ。

奇しくも
ここは、『山王』信仰。
自分の真の名前。2つ名を思う。
アサミには 身近な社だったのも
選んだ理由。


秋の夜空に、
笙の音が響くと、満月が冴えて。

10はある演目の切れを、
森の、虫の声を余興と、
野外舞台の 幕間に聞く。

巫女の舞方が、動から静へ
刀がぴたっと 重なり合う瞬間は
時間が止まる。

そんな
途切れ途切れの流れの
端々に、ケイの横顔がある中
ふいに、
み垂らし月団子の先端が
口に入れられて 驚いてしまう。

悪戯が成功したと
音なく笑って、
『シーッ』と指をたてるポーズを
する、眼鏡の ケイの顔がある。

お月見団子はさ、
さっき ケイが鑑賞の合間にって
買ってた、ヤツだけどさ、
上の一個を串ごと
口に入れられて、残りを
ケイが横にな切るみたいに
自分の、口に、齧り
入れてしまう わけよ。

なんだか 。

次第に盛り上がる 『冬明楽』
4人舞の鳥兜が 2対2、
完全に動きが リンクして
観客全員が 舞台に心を 奪われた
次の 瞬間

ザーーーーーーーー
五十鈴を鳴らして、、風が
境内を 秋吹いて
観客の髪をぉぉ 乱す、、。

バレッタ!! 弾けて長い髪が
無様にぃって広がってしまった、
自分の髪を ハタ押さえる
アサミの 頭を
フワリと、撫でた感触は

ケイの手で作られた
温度で、
アサミは柄になくそんな空気に、
惹き込まれていた。

なんだかさ、
魔術師、恐るべし。