でも、伝えるしかない。


小沼さんのことを知っていそうなのは松野さんだけなんだから。


「実は……」


あたしは今までの推理を松野さんに話して聞かせた。


松野さんは腕組みをして時々唸り声を上げ、そして難しそうに眉間にシワを寄せている。


「と、いうわけなんです」


すべての説明を終えてあたしは大きく息を吐いた。


一気に話たため、喉がカラカラだ。


松野さんに断って冷蔵庫から水を取り出して飲む。


「確かに、小沼さんはただのお客さんじゃありません」


静かな声で松野さんは言った。


水の入ったグラスを置いてあたしはマジマジと松野さんを見つめる。


松野さんの顔色は、暗い部屋でもわかるくらいに青くなっている。


「小沼さんは一体何者なんですか?」


弥生が聞くと、松野さんは近くにあったパイプ椅子に座って大きく息を吐きだした。


「彼は、オーナーの親戚です」


「えっ」


予想外の答えにあたしは思わず声を漏らした。


でも、オーナーの親戚ということは、ペンションの備品がどこにあるか把握していてもおかしくないかもしれない。


特に親しい親戚なら特に。