「嘘でしょ」


思わず弥生と同じセリフを言い、鞄から自分のスマホを取り出した。


確かに電波は微力だ。


でも全く入ってこないわけじゃない。


弥生と同じく部屋の中をグルグル歩いて探してみると、どうにか電波が入る場所もある。


「これじゃスマホは使いものにならないね」


ため息交じりに言いスマホをカバンに戻る。


宿泊施設ということでてっきりワイハイも通じていると思い込んでいたけれど、ここにはそれもないようだ。


「どうやって暇つぶししよう」


弥生がベッドに身を投げ出して絶望的な声を上げる。


あたしたちの世代にとって、スマホはどんな場面でも役立つものだ。


「いいじゃん、今日から3日間スマホなしで生活するだけなんだし」


正直スマホがつかえないことには落胆したけれど、それはそれで楽しいかもしれない。


普段とは違う生活を味わうことができるのだから。


「う~ん……そう言われればそうなのかなぁ」


弥生はまだ渋い顔をしているけれど、どうにか納得したようでベッドから起き上がった。


「よしじゃあさっそく新しい友達を作りに行こう!」


あたしの提案に弥生は一瞬首をかしげ、それから笑顔になった。


「弘子さんのところに行くの?」


「もちろん!」