空を見た。
青い青い,どこまでも澄んでいくようなそんな青空。
そこにたった一羽の白い鳥。
「あぁ,あんな風に飛んでみたい」と思った。
――瞬間,なんだか宙に浮いたような心地になった。
僕は今日,高校生になった。
河川敷の桜並木を歩く。そこには,たったひとつだけ白とピンクの花をつける木がある。そのコントラストは見事なもので,青い空によく映えた。
「学校に行かなければ」と思いつつも,その非現実的な光景から目を離すことは許されず,取り憑かれたように見つめ続けていた。
風が僕を追い越して,河川敷を駆け抜けていく。瞬間,桜は一気に舞い上がり,春めいた風景を,刹那,雪景色に塗り替えていった。――まさに、異世界。
「このまま,雪に埋もれてしまいたい」と思う僕の心は,雪の白さに影響された,純真無垢な素直な心だった。そして,僕の心は雪とともに永遠の美しく儚い,真っ白な世界に埋まっていく――――はずだった。
そう,”はずだった”のだ。
雪景色の真ん中に陽の光をたくわえた,黒髪を見るまでは。
青い青い,どこまでも澄んでいくようなそんな青空。
そこにたった一羽の白い鳥。
「あぁ,あんな風に飛んでみたい」と思った。
――瞬間,なんだか宙に浮いたような心地になった。
僕は今日,高校生になった。
河川敷の桜並木を歩く。そこには,たったひとつだけ白とピンクの花をつける木がある。そのコントラストは見事なもので,青い空によく映えた。
「学校に行かなければ」と思いつつも,その非現実的な光景から目を離すことは許されず,取り憑かれたように見つめ続けていた。
風が僕を追い越して,河川敷を駆け抜けていく。瞬間,桜は一気に舞い上がり,春めいた風景を,刹那,雪景色に塗り替えていった。――まさに、異世界。
「このまま,雪に埋もれてしまいたい」と思う僕の心は,雪の白さに影響された,純真無垢な素直な心だった。そして,僕の心は雪とともに永遠の美しく儚い,真っ白な世界に埋まっていく――――はずだった。
そう,”はずだった”のだ。
雪景色の真ん中に陽の光をたくわえた,黒髪を見るまでは。