「おばあ様が言っていました。あなたはずっとこの家を守り続けてくれたんでしょう。どうか、これからも我が家を守り続けてください。私は、あなたのことが見えなくなっても、あなたを、あなた達の存在を信じ続けます」
 どうか時代の波に負けないで。と言いたかったけれど、急に眠気が襲ってきて、君子の意識が鈍る。もう少し、彼女の姿をこの目に焼き付けていたいのにという思いとは裏腹に、思考が停止しようとしている。気力を振り絞り、彼女を見つめる。可愛らしい唇が、動いて、可憐な響きが空を叩く。


――しあわせに――


 確かにそんな願いを受け取った気がした。