「いや、書店の方。最近ハマっているミステリー小説の発売日なんだ。
ついでに買い物もして来るつもり」
「あ、それでしたらついでに……」
ルイがお使いを頼む前に私は、着物の裾を引っ張った。
ねぇねぇ、どういうこと?人間界に行けるの?
どうやったら行けるの?
一度妖精に転生したら二度と人間界に行けないと思っていた。
もし行き方を知れたら家にも帰れる。
両親にも会える。
するとルイは、複雑そうな表情をした。
「人間界と妖精界は、隣り合わせにあります。
正妖精で許可を取れば、出入りは出来ますがカレンは、まだ無理ですよ。
正妖精でもありませんし、まだ幼いので」
そ、そんなことないもん!
まだ幼いが精神年齢は高いし、私も一緒に行きたい。
「わたちもいくぅ。チンといちょにいきたい」
上手く言葉に出来ないが私は、必死に訴えた。
確かに正妖精ではないが、人間界のことなら記憶にあるから心配はいらない。
それに知った以上は、行きたいと強く願った。
会いたい……お母さんとお父さんに。
それに病気を治った今なら外の世界を楽しめる。
外の世界にずっと憧れていたの。お願い!
「カレン……ですが……」
「何だ?カレンは、人間界に行きたいのか?」
心配するルイと違いシンは、行きたいのかと聞いてきた。
私は、うんと頷いた。
するとうーんと困った表情をしてきた。
「連れて行くのは、いいが。
見つかったらうるせーしな。それに
俺は、のんびりと本屋に行きたかったし……」
「おとにゃちくちゅるもん。いく。いくの~」
これでもかというぐらいにワガママを言った。
正直ここまで聞き分けが無いのは、前世でも生まれて初めてだった。