散歩と言っても縁側から外に出る程度だが。
縁側から外に出ると街に通じる広い庭になっている。
 木や花がたくさん植えていた。
キョウ様は、草履を履くと私を抱っこして外に出た。

「いい天気だのう……カレン」

「あい……」

 私は、必死に返事をする。
キョウ様は、クスッと笑うとゆっくりと歩いた。
 太陽の光りが白銀の髪に反射して、さらにキラキラと輝いていた。
 ま、眩しい……いろんな意味で。
何とか目線を逸らそうと縁側の方を見る。

 縁側では、シンは、立っているが、ルイとルキア様とセイ様は、正座をして私達を見守っていた。
 そういえばルキア様とセイ様もキョウ様同様にほとんど接触が少ない。

 ルキア様は、キョウ様専属の側近だ。
身分の高い正妖精だが、常にキョウ様の身の回りの世話をしていたり、言付けを伝える役割をしていた。
 生真面目な方で、よく怒っているところしか見ない。
金髪とエメラルドの綺麗な目をしていた。

 セイ様もルキア様と同じ専属の側近で、常に身の回りの世話をしている。
 冷静沈着なのだが、物静かな性格で返事ぐらいしか声を聞いたことがない。
 白銀の髪で前髪が長めだが中性的の容姿をしており、小柄な男性だ。

 2人共、近寄りがたい印象のため苦手だった。
するとキョウ様がフフッと笑った。

「あの者が気になるか?」

 私は、ハッと気づく慌てて首を振るう。
いけない、お散歩中なのに……キョウ様に失礼だ。
 しかしキョウ様は、気にすることなく空を見上げていた。

 今日は、本当に天気がよく、雲も少なく一面青空だ。
そよ風も気持ちがいい。春の暖かさだ。
 同じように空を見ていると……。

「うむ。どうやら嵐が来る気配がするのう。
 しかしその嵐が吉と出るか、凶と出るかは、カレン……お主次第じゃ。
 そなたの信じる道を行くが良い。
そうすれば自ずと答えが見えてくるはずじゃ」

 私次第?どういうこと?
キョウ様の言葉の意味がよく理解が出来なかった。
 しかしその嵐は、少しずつだが起きようとしていた。
だがこの時は、知る由も無かった……。