そ、そんな……!!
私は、血の気が引く感覚がした。
 始末だなんて……煌君が危なくなる!!

「そ、そんな……お願いします。
獣族も悪い人達ばかりではないのに、始末するなんて可哀想過ぎます!」

「カレン。その辺で……」

 食い下がらない私にルイは、慌てて止めようとしてきた。
 でも諦めたら煌君が……。
するとキョウ様は、扇子を広げると口元を隠した。
 そして何か考え込んでいた。

「ふむ……困ったものよのう。
 クマの子に関しては、記憶を消えたことだし、これ以上追求をしないとしよう。
 ドーベルマンの件は、そうじゃのう。
カレンの意思に任せるとしよう」

「キョウ様!?そんな悠長なことを……」

「カレン。私は、けして獣族と争いたい訳ではない。
 獣族も妖精族もあやかしであり、我々と同じじゃ。
しかし長年お互いを認め合わず言い争ってきた。
 だが時代は変わりつつある。
若い者が新しい未来を切り開いていかなければならない。
 そなた達が、それを成し遂げるのじゃ」

「私達が……ですか?」

「そうじゃ。現に獣族の幼き皇子と上手くやっておる。
 それは、昔の古い者には出来なかったことだ。
我を信じ、我を認める者に期待をしておるぞ?」

  キョウ様は、寛大にそう言って下さった。
キルア様は、認めたくない様子だったが、キョウ様の決断にそれ以上は、何も言わなかった。
 この話は、それで終わることになり離れの家に戻された。

 そして夕食を食べることにした。
今日は、春キャベツと豚肉のゴマ味噌マヨ炒めと
 たけのこご飯、そして菜の花のおひたしと味噌汁だった。
 美味しいのに……しゅんと元気をなくしていた。

「カレン、元気を出して下さい。
 キョウ様は、寛大に許して頂いたのですから」

「うん……そうなんだけど」

 ルイは、心配して励まそうとしてくれている。
それは、嬉しいのだが元気が出なかった。
 納得していない部分とまだ、煌君の言われたことがショックなのだろう。