確かに酒瓶はケースに入っていると雖も万が一事故にでもなれば。
破損してしまえば商品として成り立たない。

「割れたら大変だもんな」

「うん。だから次のサービスエリアで運転かわりましょう」

「わかった。でも無理はしないで」

「わかりました」

雪穂は宣言通り安全運転で走行した。
二人で初めての旅行。まるで新婚旅行みたいだな…と思いながらニヤケる。

でも経費節約のためにホテルの宿泊については辞退させてもらった。
親方がそう提案してくれたけど…

今の俺にはまだ…相応しくないから。

今夜は暖々に泊めてもらい。明日はイベント会場から近い折原の家に行くことになっていた。

とても新婚気分を味わいながら泊まるのは無理そうだけど。
贅沢いったら罰が当たる。

正式な新婚旅行は。
ちゃんと籍を入れて。俺が蔵人として誇れるようになったら。
きちんと自分の稼いだ金で行く。
そう決めている。

姫路を過ぎ、大阪に入るまでのところで運転をかわった。
とにかく関西はスピード出してる車が多いから危険だ。
すごい速さで車間を詰めてくるし。
関ケ原を超えるまでは安心できそうにない。

それでも雪穂と二人っきりのドライブは。
日常から離れた異空間のようで。
テンションが上がった。