33囚人服を着た「あばずれ」は初めて見た時より地味な印象を受けた。「神主さんにワンナイトラブが叶わないから引き殺そうとしたのか」と僕は素直に怒気をぶつけた。女は俯いていた視線を僕にぶつけ「とんまのアンタが邪魔しなかったら私は復讐を成功したのよ」と怒鳴られた。「ふざけるな」と言葉を失う僕に代わって、ちゅう秋が「君は本当にセックスが好きなのか」と鋭い声を放った。あまりにあり得ない親友の言葉に唖然とする僕をおいて彼は女を追い詰める。「幼児期かまだ処女の時に家庭内セクハラを受けて居たのか?」酷い親友の言葉に強張る女は視線をキョロキョロ泳がした「何を根拠に」と消えゆく様な罵声を受け「僕の親友を傷つけたアンタの素性は調べた」とちゅう秋は冷たく言い放った。「お父さんと血のつながりがないのだろう」「アンタは義理の父親に凌辱される恐怖から今も逃げて居るのじゃないか」ちゅう秋は女を殺さんばかりに傷つけた。興奮した「あばずれ」は「セックスは好き。だって」「スリルのある遊具にでも乗ってる恐怖を克服する快感に酔っぱらっているのだろう」怒鳴る「あばずれ」に、ちゅう秋は畳み掛けた。言葉を失い動揺する女を「一元だけのセックスは君の義理の父親のいかがわしい想いから逃げる過ちを正当化しないと」脆弱な本当の君が「燃え付き症候群を完治できないからだろう」と怒りをあらわにした言葉を放った。図星だったのか?涙をにじます彼女は「あの男の卑猥な欲望にまみれた目、気持ち悪い性根を含んだ声の恐怖を乗り越えるためだったのよ」と言葉を発して、ちゅう秋の推理が正しい事を認めた。僕は「枯れた砂漠に用は無い。井戸の最後の水を飲み終えたら、その砂漠の基地を棄てただけ」と、子供の様にブツブツ呟き無言になった。憑き物を落としたちゅう秋は「しっかり罪を償って更正しろ。でも」アンタなんかに「僕の親友を壊させない。2度と」と言って「もう行こう」と真実に戸惑う僕を促し面会室を二人で出た。