ドワルの城を出た先にはアリスがいた。
ゲンさんの姿は見えないが多分勇者と合流でもしてるか。
「アリス、ゲンさんとマークさんは?」
「隊長は勇者様を迎えに行きました。マークさんはお仕事だっと言ってどこかに」
「そうか。ゲンさんは分かるがマークさんは意外だったな。てっきり勇者に顔と名前ぐらい覚えさせてくると思った」
「そう、言われるとそうですね。多分恐れ多かったんじゃないですか?相手はあの勇者様ですし」
そうかな?あの人は商人だからいい商売相手になる相手には必ず手を出してくると思ってたけど。
ま~この国は商人の国でもあるしきっと他の商人仲間との約束でもあったんだろうよ。
「とにかくリュウさんはどうするんですか?逃げられませんよ」
「いや逃げないよ。ただどう言い訳するかを考えてた」
「……やっぱり勇者様のお友達だったんですね。なんで心配させてまで力を求めたんですか」
「いいだろ別に、とにかく移動するぞ」
「え、ちょっと!」
俺はいったん城から離れて商店街に行った。
アリスも慌てて俺の後を追って来る。
適当に店を見て周っていると一つに武器屋に入ってみた。
「どうしたんですか急に武器屋で武器なんか見て」
「いや、そういえば俺の武器って全部オーダーメイドだろ。普通の武器ってどんなのかよく知らないな~と思って」
「それとお城から早歩きで離れる理由にはなってませんよ」
「なに、ただ俺があそこにいるのは場違いだろ?妙な勘繰りをされたくなかっただけ」
色々な武器を見て軽く持ってみる。
やっぱり剣だと切れ味が悪いな。
軽く刃に指を当てて確認すると違いが分かる。
ちなみにここのドワーフの店主は俺の事を知ってるのかすぐ隣にいる。
「なあ、なんか面白い武器とかないの?」
「そうですな、最近仕入れた槍は先端が回転して硬い魔物を削る事が出来るものがありますが持ってみますか?」
「何その恰好良さそうな槍!見てみたい!」
「ではこちらに。ただかなり重いので普通の方は持つ事すら難しいのですよ。まぁ貴方様なら問題ないかと思いますが」
アリスは呆れた様に俺を見ているが俺は興味あるんだよ。
そして店員が三人がかりで持ってきた槍を持ち上げて使ってみる。
槍は専門ではないがぜひ先端が回転するところは見てみたい。
「これどうやったら回転すんの?」
「魔力を流していただければ回転しますよ」
言われた通りに魔力を流すと勢い良く回転し始める。
やっぱりかっけえ!
「どうですか?使い心地は」
「カッコいいけどやっぱり重心が取りづらい。これを使いこなすのは難しいだろな」
「そうですか……」
少し残念そうな店主、これを作ったのは機械いじりの好きな息子さんだとか。
でも発想は面白い、これは人間ではなくゴーレムなんかが装備すればかなり良い気がするんだけどな……
「これ、ゴーレムとかに装備させません?人間には無理ですがもしかしたら」
「……なるほど貴方様も面白い発想をなさる。なるほど、ゴーレムですか」
「さすがに土や木から作られたゴーレムは無理だと思いますので鉄辺りのゴーレムからになると思いますよ」
「いえその案だけでも十分です。おかげでこの槍の使い道が見えてきました」
俺はただ発想を言っただけで特に礼を言われるような事はしてないぞ。
結局何か買ったわけではないが店を出た。
店主は店の外にで一つ礼をしてくれた後店に戻った。
「にしても勇者遅くね?」
「遅いですね。ちょっと隊長に聞いてみます」
そう言って耳に手を当てるアリス、しばらくするとため息をしながら手を下した。
「どうだって?」
「どうやらリュウさんを守ろうとして下らない事も報告する様にして時間を稼いでいたそうです。隊長が説得して今入国したばっかりだそうです」
「そりゃこの国で暴れて欲しくないもんな」
ティアがフェンリルとガルダを狙っているのは有名な話だ。
その二匹を連れた俺とティアが戦ったらそりゃ大問題になるよな。
「どうします?いっそのこと私達の方から会いに行きますか?」
「……個人的にはその方がいいかな?最低でも殴られる事はなさそうだし」
どんな会い方が自然だ?情報部の片方が俺を連れてきたってのは自然か?
う~ん。
「おいゲン、本当に嬢ちゃんの探してるリュウって坊主なんだよな」
「そうだって何度も言ってるだろうが。おいマリア、なんでグランなんぞ連れてきた」
「仕方ないでしょ、ティアちゃんが一緒に来て欲しいって言ったんだから」
「そうだぞゲン。俺は嬢ちゃんの許しがあってきたんだ。決して無理やりじゃねぇ」
「分かったって。ったく面倒臭いのが付いて来やがって」
ゲンさんの声がしたのでそっちを見ると、ごっつい全身鎧を着たおっさんと教会のシスター服を着た女の人がゲンさんと一緒にいた。
話の内容を聞く限りあれが勇者パーティーのメンバーの様だ。
そのおっさんと女の人の後ろにティアとタイガがいた。
「ゲンさん、こっちで合ってるんですか?」
「合ってるよタイガ。部下の一人をリュウと一緒に行動するように言っているから大丈夫だ。……逃げられていなければだが」
「流石に逃げるとは思えませんが。ティア、もうすぐリュウに会えるよ」
タイガの声が聞えているのかいないのか、ティアはずっとそわそわと辺りを見渡している。
俺から見ると田舎者か不審者に見えるから止めて欲しい。
「あんな勇者様初めて見ました」
「そうなのか?」
「はい、いつもは毅然としていて格好いいのですがあんな姿は初めてです」
「へー。勇者やってる時のあいつを見た事ないから全く分かんねぇ」
毅然ねぇ、あんなのが?
居なくなる前は話しぐらいはしたがその時は精々大人になってきたな~ぐらいの感想しか持ってなかったからな。
そんな事を考えながらぼーっとティアを見てたら目が合った。
ティアも目をぱちぱちとしている。
するとすぐに俺にぶつかってきた。
「リュウ‼」
手を広げながら抱き着く姿勢をとるがこのままだと周りに被害が出る。
仕方ないので俺の方でどうにかしよう、俺も手を広げ受け止める態勢に入りながらこれから来る衝撃を地面に流すように覇気を操作する。
そしてぶつかった瞬間、それなりの衝撃を地面に逃がした。
「リュウ!リュウ‼」
「え~っと、久しぶりだなティア」
「どこで、どこに行ってたの……」
涙交じりの声を聞いて初めて俺がティアをどれだけ不安にさせてたか分かった。
これじゃぁ色んな奴に頼む訳だ。
「あー、なんて言うかちょっと迷子になってな」
「どこで?」
「大森林で」
「だ!?」
するとティアは俺の体中を触り始める。
一体どうした?後籠手が痛い。
「怪我はない!病気は!」
「ないって!あったらとっくに死んでる‼」
そう返すと服をひっぺ返そうとしてきた!
道の真ん中で何しでかす気だ!
「おい!ないって言ってんだろうが!」
「私が確認する!」
「だから場所を考えろって言ってんだよ!」
ごつんと一回頭を殴った。
ティアはその衝撃で元に戻ったのか少しすると顔を赤くして離れた。
「その……ごめん。つい…心配になって」
「それは最初に抱き着かれて時に分かったよ。俺こそごめん」
「ううん、私もやり過ぎた」
まだ顔を赤くしてるティアの後ろからタイガが出てきた。
そして思いっきり殴った。
しかも杖で。
「いって!いきなり何しやがるタイガ!」
「何って心配をかけて罰に決まってるでしょ。おかげでティアも大変だったんだから」
「そこをフォローするのがお前の役割だろ!何のためにティアのケツ追ってんだよてめぇは!」
「そんな下品な言い方は止めろって言ってきたじゃないか!心配掛けたんだからこのぐらいは甘んじて受けるべきだろ!」
「受けるとしてもそれはティアだけだ!お前じゃねぇ‼」
俺たちがギャーギャー口喧嘩をしているのを呆然と見ているのはゲンさん達で、ティアはいつの間にか笑いをこらえていた。
「あの、リュウさん。その人は賢者様ですよ?」
「知るかそんなの、こいつはタイガだ。それ以外の何者でもねぇ」
「えっと、確かアリスさんでしたっけ?問題ありませんよ、こいつは昔からこうなので」
「あ?何だってこの陰気賢者様がよ!この年中ストーカー!」
「黙れこの獣フェチ!」
「はいはい、そこまで。タイガ、いつもの口調忘れてる。リュウも本当に怪我とかはないみたいで安心した」
喧嘩中断、タイガは咳払いして誤魔化そうとしてるが多分無駄だぞ。
そういえば昔はこうだったな。
俺とタイガの喧嘩を止めるのはいつもティアの役目で。
終わればいつもと変わんない関係で。
少し懐かしい。
そんな二人に自然と拳を出した。
二人もそれを見て納得したのか拳を軽くぶつけた。
ガキの頃に作った俺達流のあいさつ。
「「久しぶり、リュウ」」
「久しぶり、ティア、タイガ」
ゲンさんの姿は見えないが多分勇者と合流でもしてるか。
「アリス、ゲンさんとマークさんは?」
「隊長は勇者様を迎えに行きました。マークさんはお仕事だっと言ってどこかに」
「そうか。ゲンさんは分かるがマークさんは意外だったな。てっきり勇者に顔と名前ぐらい覚えさせてくると思った」
「そう、言われるとそうですね。多分恐れ多かったんじゃないですか?相手はあの勇者様ですし」
そうかな?あの人は商人だからいい商売相手になる相手には必ず手を出してくると思ってたけど。
ま~この国は商人の国でもあるしきっと他の商人仲間との約束でもあったんだろうよ。
「とにかくリュウさんはどうするんですか?逃げられませんよ」
「いや逃げないよ。ただどう言い訳するかを考えてた」
「……やっぱり勇者様のお友達だったんですね。なんで心配させてまで力を求めたんですか」
「いいだろ別に、とにかく移動するぞ」
「え、ちょっと!」
俺はいったん城から離れて商店街に行った。
アリスも慌てて俺の後を追って来る。
適当に店を見て周っていると一つに武器屋に入ってみた。
「どうしたんですか急に武器屋で武器なんか見て」
「いや、そういえば俺の武器って全部オーダーメイドだろ。普通の武器ってどんなのかよく知らないな~と思って」
「それとお城から早歩きで離れる理由にはなってませんよ」
「なに、ただ俺があそこにいるのは場違いだろ?妙な勘繰りをされたくなかっただけ」
色々な武器を見て軽く持ってみる。
やっぱり剣だと切れ味が悪いな。
軽く刃に指を当てて確認すると違いが分かる。
ちなみにここのドワーフの店主は俺の事を知ってるのかすぐ隣にいる。
「なあ、なんか面白い武器とかないの?」
「そうですな、最近仕入れた槍は先端が回転して硬い魔物を削る事が出来るものがありますが持ってみますか?」
「何その恰好良さそうな槍!見てみたい!」
「ではこちらに。ただかなり重いので普通の方は持つ事すら難しいのですよ。まぁ貴方様なら問題ないかと思いますが」
アリスは呆れた様に俺を見ているが俺は興味あるんだよ。
そして店員が三人がかりで持ってきた槍を持ち上げて使ってみる。
槍は専門ではないがぜひ先端が回転するところは見てみたい。
「これどうやったら回転すんの?」
「魔力を流していただければ回転しますよ」
言われた通りに魔力を流すと勢い良く回転し始める。
やっぱりかっけえ!
「どうですか?使い心地は」
「カッコいいけどやっぱり重心が取りづらい。これを使いこなすのは難しいだろな」
「そうですか……」
少し残念そうな店主、これを作ったのは機械いじりの好きな息子さんだとか。
でも発想は面白い、これは人間ではなくゴーレムなんかが装備すればかなり良い気がするんだけどな……
「これ、ゴーレムとかに装備させません?人間には無理ですがもしかしたら」
「……なるほど貴方様も面白い発想をなさる。なるほど、ゴーレムですか」
「さすがに土や木から作られたゴーレムは無理だと思いますので鉄辺りのゴーレムからになると思いますよ」
「いえその案だけでも十分です。おかげでこの槍の使い道が見えてきました」
俺はただ発想を言っただけで特に礼を言われるような事はしてないぞ。
結局何か買ったわけではないが店を出た。
店主は店の外にで一つ礼をしてくれた後店に戻った。
「にしても勇者遅くね?」
「遅いですね。ちょっと隊長に聞いてみます」
そう言って耳に手を当てるアリス、しばらくするとため息をしながら手を下した。
「どうだって?」
「どうやらリュウさんを守ろうとして下らない事も報告する様にして時間を稼いでいたそうです。隊長が説得して今入国したばっかりだそうです」
「そりゃこの国で暴れて欲しくないもんな」
ティアがフェンリルとガルダを狙っているのは有名な話だ。
その二匹を連れた俺とティアが戦ったらそりゃ大問題になるよな。
「どうします?いっそのこと私達の方から会いに行きますか?」
「……個人的にはその方がいいかな?最低でも殴られる事はなさそうだし」
どんな会い方が自然だ?情報部の片方が俺を連れてきたってのは自然か?
う~ん。
「おいゲン、本当に嬢ちゃんの探してるリュウって坊主なんだよな」
「そうだって何度も言ってるだろうが。おいマリア、なんでグランなんぞ連れてきた」
「仕方ないでしょ、ティアちゃんが一緒に来て欲しいって言ったんだから」
「そうだぞゲン。俺は嬢ちゃんの許しがあってきたんだ。決して無理やりじゃねぇ」
「分かったって。ったく面倒臭いのが付いて来やがって」
ゲンさんの声がしたのでそっちを見ると、ごっつい全身鎧を着たおっさんと教会のシスター服を着た女の人がゲンさんと一緒にいた。
話の内容を聞く限りあれが勇者パーティーのメンバーの様だ。
そのおっさんと女の人の後ろにティアとタイガがいた。
「ゲンさん、こっちで合ってるんですか?」
「合ってるよタイガ。部下の一人をリュウと一緒に行動するように言っているから大丈夫だ。……逃げられていなければだが」
「流石に逃げるとは思えませんが。ティア、もうすぐリュウに会えるよ」
タイガの声が聞えているのかいないのか、ティアはずっとそわそわと辺りを見渡している。
俺から見ると田舎者か不審者に見えるから止めて欲しい。
「あんな勇者様初めて見ました」
「そうなのか?」
「はい、いつもは毅然としていて格好いいのですがあんな姿は初めてです」
「へー。勇者やってる時のあいつを見た事ないから全く分かんねぇ」
毅然ねぇ、あんなのが?
居なくなる前は話しぐらいはしたがその時は精々大人になってきたな~ぐらいの感想しか持ってなかったからな。
そんな事を考えながらぼーっとティアを見てたら目が合った。
ティアも目をぱちぱちとしている。
するとすぐに俺にぶつかってきた。
「リュウ‼」
手を広げながら抱き着く姿勢をとるがこのままだと周りに被害が出る。
仕方ないので俺の方でどうにかしよう、俺も手を広げ受け止める態勢に入りながらこれから来る衝撃を地面に流すように覇気を操作する。
そしてぶつかった瞬間、それなりの衝撃を地面に逃がした。
「リュウ!リュウ‼」
「え~っと、久しぶりだなティア」
「どこで、どこに行ってたの……」
涙交じりの声を聞いて初めて俺がティアをどれだけ不安にさせてたか分かった。
これじゃぁ色んな奴に頼む訳だ。
「あー、なんて言うかちょっと迷子になってな」
「どこで?」
「大森林で」
「だ!?」
するとティアは俺の体中を触り始める。
一体どうした?後籠手が痛い。
「怪我はない!病気は!」
「ないって!あったらとっくに死んでる‼」
そう返すと服をひっぺ返そうとしてきた!
道の真ん中で何しでかす気だ!
「おい!ないって言ってんだろうが!」
「私が確認する!」
「だから場所を考えろって言ってんだよ!」
ごつんと一回頭を殴った。
ティアはその衝撃で元に戻ったのか少しすると顔を赤くして離れた。
「その……ごめん。つい…心配になって」
「それは最初に抱き着かれて時に分かったよ。俺こそごめん」
「ううん、私もやり過ぎた」
まだ顔を赤くしてるティアの後ろからタイガが出てきた。
そして思いっきり殴った。
しかも杖で。
「いって!いきなり何しやがるタイガ!」
「何って心配をかけて罰に決まってるでしょ。おかげでティアも大変だったんだから」
「そこをフォローするのがお前の役割だろ!何のためにティアのケツ追ってんだよてめぇは!」
「そんな下品な言い方は止めろって言ってきたじゃないか!心配掛けたんだからこのぐらいは甘んじて受けるべきだろ!」
「受けるとしてもそれはティアだけだ!お前じゃねぇ‼」
俺たちがギャーギャー口喧嘩をしているのを呆然と見ているのはゲンさん達で、ティアはいつの間にか笑いをこらえていた。
「あの、リュウさん。その人は賢者様ですよ?」
「知るかそんなの、こいつはタイガだ。それ以外の何者でもねぇ」
「えっと、確かアリスさんでしたっけ?問題ありませんよ、こいつは昔からこうなので」
「あ?何だってこの陰気賢者様がよ!この年中ストーカー!」
「黙れこの獣フェチ!」
「はいはい、そこまで。タイガ、いつもの口調忘れてる。リュウも本当に怪我とかはないみたいで安心した」
喧嘩中断、タイガは咳払いして誤魔化そうとしてるが多分無駄だぞ。
そういえば昔はこうだったな。
俺とタイガの喧嘩を止めるのはいつもティアの役目で。
終わればいつもと変わんない関係で。
少し懐かしい。
そんな二人に自然と拳を出した。
二人もそれを見て納得したのか拳を軽くぶつけた。
ガキの頃に作った俺達流のあいさつ。
「「久しぶり、リュウ」」
「久しぶり、ティア、タイガ」