深夜。
各裏ギルド連合のメンバーが集まり、最後の確認を行っていた。
抜けた黒牙の狼以外の裏ギルド連合は互いの武具や人数、魔術師の数を確認し、ギルドごとにグループを作る。
「では行くぞ」
何処かのギルドの幹部の声で進行を始めた。
出来るだけ近付けて設置した檻付きの馬車を守る者のみが残り、他の大勢は奴隷化したエルフを連れて森に入って行った。
エルフの村周辺には霧の結界が張られているが、同族のエルフがいた場合霧は発生しないらしい。
エルフ以外の種族が近付けば結界によって森の外に追い出されるがエルフ同伴なら霧は発生しないのを利用して村に向かう。
「こんだけの人数ならエルフもひとたまりもないだろうな」
「精霊も村にいるって聞いてるし、良い商売だぜ」
「攻撃も精々弓矢ぐらいだし、精霊魔術も使ってこないしな」
下っ端二人が軽口を言いながら進行する。
「気を引き締めろお前ら。エルフだけじゃなく、魔物にも注意しろ」
「わかってますって」
「はいはい」
エルフを連れた先頭がため息をついたが二人は話を止めない。
絶対見付からないと言う自信が二人をそうさせていたが、不意に狼の鳴き声がした。
裏ギルドのメンバーは皆一旦停まった。
大森林には多くの魔物が住み着いているのは誰でも知っている事なので動物の鳴き声が聞こえた時は注意が必要になる。
「ぐああぁぁ!」
しばらく警戒していると何処かのチームから悲鳴が上がった。
「全員背を合わせて警戒行動をとれ!魔物の襲撃だ‼」
「ちきしょう!こんな大事な時に‼」
「多すぎて逆に狙われたんじゃ⁉」
「とにかく警戒しろ!相手は恐らく獣型だ‼」
チームごとに固まり、警戒するがまた静けさを取り戻す。
次は何処から襲われるか分からない恐怖が連合を包む。
更に厄介なのはエルフの奴隷だ。
動けず、戦えないエルフ達を守りながらではろくに動けない。
切り捨てたとしても魔物がエルフを襲うとは限らない以上、無駄になる方が大きいし、もしここで霧が出たら更に危険が増す。
警戒していると少し明るくなった。
明るくなった方を見ると火の玉が他のチームを燃やしていた。
中心に近い所に火の玉が来たのか、焼死体は皆うつ伏せに倒れている。
「う、うわああぁぁぁ‼」
ついにメンバーの一人が恐怖によって逃げ出した。
「逃げるな!危険が増すだけだ‼」
「このまま燃やされてたまるか!」
「いいから帰って来い!」
しかし言う事を聞かなかった男は暗い森の中に入った後、悲鳴が聞こえた。
連れてきたエルフは完全に恐怖で震えて動けなくなっている。
「……全員退避‼エルフを捨てて逃げるぞ‼だが離れるなよ!固まって逃げる、分かったな!」
「「「おう!」」」
「……あ!」
逃げ出す際にエルフが手を伸ばしたが無視して逃げる。
炎の明かりが無くなり、暗くなったが構わず走る。
「マスター!作戦は失敗だ、救援を頼む!……マスター!」
耳に付けた魔道具でマスターに連絡をするが繋がらない。
ギルドに居るはずの幹部に連絡するが彼らにも繋がらない。
「どうなってる!?たかがエルフと精霊の捕獲だぞ!何故こうなった!?」
思わず叫ぶが誰も答えない、分かるのは自身の危険がすぐそこに有る事だけ。
とにかく森の外を目指してひた走る。
「前方注意しろ‼」
一瞬危険を察知して周りに言ったが反応できずに弓矢が当たった者が多くいた。
「いでぇ!」
「っ!」
恐らく今の弓矢はエルフの物だ。
しかし真偽に割ける暇はない。
「まだ走れるか!」
「走れます!」
「まだ行ける!」
振り返らずその言葉だけを信じて走る。
弓矢を切り落としたり、避けたりしてどうにか馬車付近まで戻ってこれた。
「逃げ切った……」
「そうですっね」
「もう二度と来たくない……」
息切れを起こしながらも、もう少しの所まで来た。
恐らく他のチームもあそこに居ると思ったが様子がおかしかった。
あまりにも静か過ぎる。
警戒し、草影から見るとそこには幼女が居た。
つまらなそうに馬車に腰掛け、足をぶらぶらとさせている。
幼女は欠伸をしたり、目を擦っている。
「……誰かのお子さんですかね?」
「まさか、こんな所に子供を連れて来るはず無いだろ」
小声で話していたはずなのに幼女は何故かこちらに気が付いた。
「おお!また来たのだ!」
「……何者だ!子供がこんな大森林に居るはずがない‼」
「?確かに人間の子供は居らんのだ。私は私、貴様らに名乗る程の者ではない」
「では何故ここに居る!」
「それに答えるのは簡単なのだ。私はお前達を殺しに来たのだ」
背筋が凍った。
見た目は幼女だが何か危険だ!
「全員逃げっ!」
「遅過ぎるのだ」
幼女は拳を握り、裏ギルドメンバーを一撃で殺した。
「う~ん。まだリュウには追い付けそうにないのだ」
幼女は残念そうに拳を見た後、殺した彼らを馬車の中に放り込んだ。
馬車の中はエルフではなく、裏ギルドの各チームメンバーが重なっていた。
各裏ギルド連合のメンバーが集まり、最後の確認を行っていた。
抜けた黒牙の狼以外の裏ギルド連合は互いの武具や人数、魔術師の数を確認し、ギルドごとにグループを作る。
「では行くぞ」
何処かのギルドの幹部の声で進行を始めた。
出来るだけ近付けて設置した檻付きの馬車を守る者のみが残り、他の大勢は奴隷化したエルフを連れて森に入って行った。
エルフの村周辺には霧の結界が張られているが、同族のエルフがいた場合霧は発生しないらしい。
エルフ以外の種族が近付けば結界によって森の外に追い出されるがエルフ同伴なら霧は発生しないのを利用して村に向かう。
「こんだけの人数ならエルフもひとたまりもないだろうな」
「精霊も村にいるって聞いてるし、良い商売だぜ」
「攻撃も精々弓矢ぐらいだし、精霊魔術も使ってこないしな」
下っ端二人が軽口を言いながら進行する。
「気を引き締めろお前ら。エルフだけじゃなく、魔物にも注意しろ」
「わかってますって」
「はいはい」
エルフを連れた先頭がため息をついたが二人は話を止めない。
絶対見付からないと言う自信が二人をそうさせていたが、不意に狼の鳴き声がした。
裏ギルドのメンバーは皆一旦停まった。
大森林には多くの魔物が住み着いているのは誰でも知っている事なので動物の鳴き声が聞こえた時は注意が必要になる。
「ぐああぁぁ!」
しばらく警戒していると何処かのチームから悲鳴が上がった。
「全員背を合わせて警戒行動をとれ!魔物の襲撃だ‼」
「ちきしょう!こんな大事な時に‼」
「多すぎて逆に狙われたんじゃ⁉」
「とにかく警戒しろ!相手は恐らく獣型だ‼」
チームごとに固まり、警戒するがまた静けさを取り戻す。
次は何処から襲われるか分からない恐怖が連合を包む。
更に厄介なのはエルフの奴隷だ。
動けず、戦えないエルフ達を守りながらではろくに動けない。
切り捨てたとしても魔物がエルフを襲うとは限らない以上、無駄になる方が大きいし、もしここで霧が出たら更に危険が増す。
警戒していると少し明るくなった。
明るくなった方を見ると火の玉が他のチームを燃やしていた。
中心に近い所に火の玉が来たのか、焼死体は皆うつ伏せに倒れている。
「う、うわああぁぁぁ‼」
ついにメンバーの一人が恐怖によって逃げ出した。
「逃げるな!危険が増すだけだ‼」
「このまま燃やされてたまるか!」
「いいから帰って来い!」
しかし言う事を聞かなかった男は暗い森の中に入った後、悲鳴が聞こえた。
連れてきたエルフは完全に恐怖で震えて動けなくなっている。
「……全員退避‼エルフを捨てて逃げるぞ‼だが離れるなよ!固まって逃げる、分かったな!」
「「「おう!」」」
「……あ!」
逃げ出す際にエルフが手を伸ばしたが無視して逃げる。
炎の明かりが無くなり、暗くなったが構わず走る。
「マスター!作戦は失敗だ、救援を頼む!……マスター!」
耳に付けた魔道具でマスターに連絡をするが繋がらない。
ギルドに居るはずの幹部に連絡するが彼らにも繋がらない。
「どうなってる!?たかがエルフと精霊の捕獲だぞ!何故こうなった!?」
思わず叫ぶが誰も答えない、分かるのは自身の危険がすぐそこに有る事だけ。
とにかく森の外を目指してひた走る。
「前方注意しろ‼」
一瞬危険を察知して周りに言ったが反応できずに弓矢が当たった者が多くいた。
「いでぇ!」
「っ!」
恐らく今の弓矢はエルフの物だ。
しかし真偽に割ける暇はない。
「まだ走れるか!」
「走れます!」
「まだ行ける!」
振り返らずその言葉だけを信じて走る。
弓矢を切り落としたり、避けたりしてどうにか馬車付近まで戻ってこれた。
「逃げ切った……」
「そうですっね」
「もう二度と来たくない……」
息切れを起こしながらも、もう少しの所まで来た。
恐らく他のチームもあそこに居ると思ったが様子がおかしかった。
あまりにも静か過ぎる。
警戒し、草影から見るとそこには幼女が居た。
つまらなそうに馬車に腰掛け、足をぶらぶらとさせている。
幼女は欠伸をしたり、目を擦っている。
「……誰かのお子さんですかね?」
「まさか、こんな所に子供を連れて来るはず無いだろ」
小声で話していたはずなのに幼女は何故かこちらに気が付いた。
「おお!また来たのだ!」
「……何者だ!子供がこんな大森林に居るはずがない‼」
「?確かに人間の子供は居らんのだ。私は私、貴様らに名乗る程の者ではない」
「では何故ここに居る!」
「それに答えるのは簡単なのだ。私はお前達を殺しに来たのだ」
背筋が凍った。
見た目は幼女だが何か危険だ!
「全員逃げっ!」
「遅過ぎるのだ」
幼女は拳を握り、裏ギルドメンバーを一撃で殺した。
「う~ん。まだリュウには追い付けそうにないのだ」
幼女は残念そうに拳を見た後、殺した彼らを馬車の中に放り込んだ。
馬車の中はエルフではなく、裏ギルドの各チームメンバーが重なっていた。