朝、ちょっとした問題が起きた。
問題とは飯である。
食料はある。正確に言うと朝、狩りで獲ってきたオークだ。
ただ調理道具がなければ調味料も無い。
つまり全部生、マジこのまんまだと腹壊す。
せめて火ぐらいは通しておきたいがフライパンも無い。焦げたの払って食うしか無いのか……
『人間って不便ね』
おのれ野生!調理は文化の象徴だぞ!旨いんだぞ!
と言いつつも仕方がないので洗った棒を串代わりに焼いて食うしか無いのでそうやって食った。
何か少しずつ野生児に成りつつある気がする。
昼頃になって爺さんに呼び出された。
よくはわかんないが修行に関する事らしい。
「爺さん来たぞ」
『おお来たかリュウ』
嬉しそうに尻尾を振る爺さん。俺を孫か何かと勘違いしてないか?
「爺さんいいのか、俺ばっかり贔屓《ひいき》にしてさ?良く思ってない連中も多いぞ」
『構わん。儂が引き入れたのじゃ、文句があれば儂に勝たねばならん』
爺さんに勝つか、そりゃ無茶だな。
「で、修行に関する事って何?」
『それはこれじゃよ』
そう言って鼻先で転がしたのは木の実だった。
「これで何すんだ、握り潰せとか?」
触った感じそんな固くもないが……
『いやいや、それを食って『耐性』を付けてもらおうと思ってな』
あぁ『耐性』か。つまりこれ毒のある実なのか。
『人間にはそういった毒を少しずつ体内に取り入れる事で耐性を付けると聞いた。ならばリュウも同じく事をすればよいと思ってな』
確かに『耐性』、もしくは『無効』と言ったスキルは、一人の俺には必須のスキル。手に入れておいた方が良い。
「ありがと、爺さん。ただこの実、そんなに強い毒じゃないよな?」
『安心せい、腹を下す程度じゃ』
爺さんが言うなら言うなら大丈夫か。
そう思ったので俺は自ら毒を食ったのだった。
夜になるちょっと前、修行と言う狩りが再び始まった。
今夜の獲物は『雄鶏魔鳥《コカトリス》』だと。
朝は豚肉、夜は鶏肉か。
ちなみにコカトリスは昼間はかなり厄介な相手になる。魔眼持ちで見られると石化されるし、尾の蛇は毒蛇だしでかなりメンドイ。
しかし弱点もある。
まずはコカトリスは鳥目だということ。次に鶏なだけに飛べない。最後に尾の蛇は弱く不意討ちでもして噛まれる前に殺せば良い、ということ。
だた更なる問題は俺一人で仕留めろと言うところ。
『リュウ大丈夫?』
「大丈夫じゃない」
大丈夫なわけ無いだろ。朝のオークだって初めての狩りだったてのにギルドのB級冒険者のパーティーが仕留めるような大物に初心者でソロの俺が仕留めるだなんて……
『手伝ってはいけませんか?お祖父様』
『ならん。不満あるものには力を見せるのが早い』
『しかしリュウは私のものです』
『それでもじゃ』
お嬢が心配するとはそれだけの相手になるのか。
『いざという時は助けに入るわい』
なら最初から居てくれ。
『ほれ居たぞ』
あー本当に居たよ、デッカイ鶏が!
今は寝てるから良いけど起きたら手が首まで届かないなありゃ。
えっと尻尾の蛇は……いたいた、まずあれを殺すか。
蛇は切ってもしばらくは生きてるらしいし、頭ブッ刺して殺してから本体の鶏に攻撃するか。
「じゃ、行ってくる」
『死んだり石化しちゃダメよ』
お嬢が俺の顔に頬を擦り付ける。
こんな状況だけどお嬢の毛並みはスッゲー気持ちいい。
「わかってる。死ぬのも石化もゴメンだからな」
さて……一狩り行きますか!
茂みから一気に飛び出し蛇に向かっていく。
って本体より蛇の方が先に起きた!?
まぁ良い、どうせ俺の狙いは蛇だからな!
蛇の首を掴んで頭をブッ刺して殺した、本当に毒にさえ気を付ければ本当に弱いのな。
キェェェェーーーーーーーー!
鶏が怒った!いや当たり前か、自分の尻尾切られれば当然怒るか。
でもこっちだって死にたくないんだよ!
さて次はどうする、相手は怒ってるし鳥目で向こうから余り見えてないとしても危険なのは変わらない。
ならまず狙うのは足!鶏なら飛べないはず。動けなくなったところで狩ったらー!
「オラ!」
足狩りじゃ!て、跳ぶな……って飛んだ‼鶏のくせに飛んだ‼
マジかよ、鶏のくせに飛ぶのかよ……こうなるとどう攻撃したもんか。ってイッてぇ!なんだ今の、風で皮膚が軽く切れたのか。
つまりアイツ魔法も使えるのかよ‼とりあえず木陰に退散するか。
木陰から様子をうかがうとまだ空に居やがる。
となると、こっちも長距離攻撃が出来るようにならんとどうしようもない。
でもどうする?魔法の知識は精々生活を補うぐらいで攻撃にならない。
俺の使える手札はこの爺さんの牙とあとは…魔力?待てよ、この牙に俺の魔力を載せて攻撃出来ないか?よし、やってみよう。
まず俺の魔力を牙に少しずつ流す、どのぐらい必用かわからないから少し多めに注ぐ。じゃあとはぶっつけ本番って事で!
「死ね!」
コカトリスの首を切るように牙を振るった。
って本当に何か出た‼黒い線みたいなのが出た‼
黒い線はコカトリスの首を切り落とした。
ほ、本当に殺せた。
首を失ったコカトリスが落ちてくる。何か現実感が無い。勝ったけど何かを得たとは思えない。
『リュウ?』
お嬢……そっか見てるって言ってたもんな。
『その、大丈夫?』
「何が」
『何と言うか、寂しく見えたから』
「……大丈夫だろ、多分」
実感が無いだけだろ、あんなデカイのを仕留めた実感が。
『リュウ、よくやったの』
「爺さん」
『これで群れの仲間入りじゃ』
「は、仲間入り?」
『そうじゃ、不満ある者も多いと言ったじゃろ。なので今回の狩りをお主一人で狩る事が出来れば認めろとな。
「えぇ~」
その為にこの狩りをしたのかよ。
『リュウ!』
力が抜けて倒れそうになった俺をお嬢が支えてくれた。あぁ柔らかい。気持ちいい。
「お嬢、疲れた」
『全くもう』
お嬢が俺を包むように丸くなってくれた、うん暖かくて気持ちいい。
「じゃお嬢、おやすみ」
『え、ここで寝るの?』
「寝る」
ため息が聞こえた気がするが気にせず寝た。
問題とは飯である。
食料はある。正確に言うと朝、狩りで獲ってきたオークだ。
ただ調理道具がなければ調味料も無い。
つまり全部生、マジこのまんまだと腹壊す。
せめて火ぐらいは通しておきたいがフライパンも無い。焦げたの払って食うしか無いのか……
『人間って不便ね』
おのれ野生!調理は文化の象徴だぞ!旨いんだぞ!
と言いつつも仕方がないので洗った棒を串代わりに焼いて食うしか無いのでそうやって食った。
何か少しずつ野生児に成りつつある気がする。
昼頃になって爺さんに呼び出された。
よくはわかんないが修行に関する事らしい。
「爺さん来たぞ」
『おお来たかリュウ』
嬉しそうに尻尾を振る爺さん。俺を孫か何かと勘違いしてないか?
「爺さんいいのか、俺ばっかり贔屓《ひいき》にしてさ?良く思ってない連中も多いぞ」
『構わん。儂が引き入れたのじゃ、文句があれば儂に勝たねばならん』
爺さんに勝つか、そりゃ無茶だな。
「で、修行に関する事って何?」
『それはこれじゃよ』
そう言って鼻先で転がしたのは木の実だった。
「これで何すんだ、握り潰せとか?」
触った感じそんな固くもないが……
『いやいや、それを食って『耐性』を付けてもらおうと思ってな』
あぁ『耐性』か。つまりこれ毒のある実なのか。
『人間にはそういった毒を少しずつ体内に取り入れる事で耐性を付けると聞いた。ならばリュウも同じく事をすればよいと思ってな』
確かに『耐性』、もしくは『無効』と言ったスキルは、一人の俺には必須のスキル。手に入れておいた方が良い。
「ありがと、爺さん。ただこの実、そんなに強い毒じゃないよな?」
『安心せい、腹を下す程度じゃ』
爺さんが言うなら言うなら大丈夫か。
そう思ったので俺は自ら毒を食ったのだった。
夜になるちょっと前、修行と言う狩りが再び始まった。
今夜の獲物は『雄鶏魔鳥《コカトリス》』だと。
朝は豚肉、夜は鶏肉か。
ちなみにコカトリスは昼間はかなり厄介な相手になる。魔眼持ちで見られると石化されるし、尾の蛇は毒蛇だしでかなりメンドイ。
しかし弱点もある。
まずはコカトリスは鳥目だということ。次に鶏なだけに飛べない。最後に尾の蛇は弱く不意討ちでもして噛まれる前に殺せば良い、ということ。
だた更なる問題は俺一人で仕留めろと言うところ。
『リュウ大丈夫?』
「大丈夫じゃない」
大丈夫なわけ無いだろ。朝のオークだって初めての狩りだったてのにギルドのB級冒険者のパーティーが仕留めるような大物に初心者でソロの俺が仕留めるだなんて……
『手伝ってはいけませんか?お祖父様』
『ならん。不満あるものには力を見せるのが早い』
『しかしリュウは私のものです』
『それでもじゃ』
お嬢が心配するとはそれだけの相手になるのか。
『いざという時は助けに入るわい』
なら最初から居てくれ。
『ほれ居たぞ』
あー本当に居たよ、デッカイ鶏が!
今は寝てるから良いけど起きたら手が首まで届かないなありゃ。
えっと尻尾の蛇は……いたいた、まずあれを殺すか。
蛇は切ってもしばらくは生きてるらしいし、頭ブッ刺して殺してから本体の鶏に攻撃するか。
「じゃ、行ってくる」
『死んだり石化しちゃダメよ』
お嬢が俺の顔に頬を擦り付ける。
こんな状況だけどお嬢の毛並みはスッゲー気持ちいい。
「わかってる。死ぬのも石化もゴメンだからな」
さて……一狩り行きますか!
茂みから一気に飛び出し蛇に向かっていく。
って本体より蛇の方が先に起きた!?
まぁ良い、どうせ俺の狙いは蛇だからな!
蛇の首を掴んで頭をブッ刺して殺した、本当に毒にさえ気を付ければ本当に弱いのな。
キェェェェーーーーーーーー!
鶏が怒った!いや当たり前か、自分の尻尾切られれば当然怒るか。
でもこっちだって死にたくないんだよ!
さて次はどうする、相手は怒ってるし鳥目で向こうから余り見えてないとしても危険なのは変わらない。
ならまず狙うのは足!鶏なら飛べないはず。動けなくなったところで狩ったらー!
「オラ!」
足狩りじゃ!て、跳ぶな……って飛んだ‼鶏のくせに飛んだ‼
マジかよ、鶏のくせに飛ぶのかよ……こうなるとどう攻撃したもんか。ってイッてぇ!なんだ今の、風で皮膚が軽く切れたのか。
つまりアイツ魔法も使えるのかよ‼とりあえず木陰に退散するか。
木陰から様子をうかがうとまだ空に居やがる。
となると、こっちも長距離攻撃が出来るようにならんとどうしようもない。
でもどうする?魔法の知識は精々生活を補うぐらいで攻撃にならない。
俺の使える手札はこの爺さんの牙とあとは…魔力?待てよ、この牙に俺の魔力を載せて攻撃出来ないか?よし、やってみよう。
まず俺の魔力を牙に少しずつ流す、どのぐらい必用かわからないから少し多めに注ぐ。じゃあとはぶっつけ本番って事で!
「死ね!」
コカトリスの首を切るように牙を振るった。
って本当に何か出た‼黒い線みたいなのが出た‼
黒い線はコカトリスの首を切り落とした。
ほ、本当に殺せた。
首を失ったコカトリスが落ちてくる。何か現実感が無い。勝ったけど何かを得たとは思えない。
『リュウ?』
お嬢……そっか見てるって言ってたもんな。
『その、大丈夫?』
「何が」
『何と言うか、寂しく見えたから』
「……大丈夫だろ、多分」
実感が無いだけだろ、あんなデカイのを仕留めた実感が。
『リュウ、よくやったの』
「爺さん」
『これで群れの仲間入りじゃ』
「は、仲間入り?」
『そうじゃ、不満ある者も多いと言ったじゃろ。なので今回の狩りをお主一人で狩る事が出来れば認めろとな。
「えぇ~」
その為にこの狩りをしたのかよ。
『リュウ!』
力が抜けて倒れそうになった俺をお嬢が支えてくれた。あぁ柔らかい。気持ちいい。
「お嬢、疲れた」
『全くもう』
お嬢が俺を包むように丸くなってくれた、うん暖かくて気持ちいい。
「じゃお嬢、おやすみ」
『え、ここで寝るの?』
「寝る」
ため息が聞こえた気がするが気にせず寝た。