「ここ……みたいですね」
「マジでここに泊まるのか?」
嬢ちゃんの案内で来た宿はものすんげーボロボロの宿だった。
本当に営業しているのかすら怪しい。
「なぁ、お前の部署って金無いの?」
「うう、確かに騎士団や魔術師団に比べれば少ないですけどこんなおんぼろの宿に泊まるのは初めてですよ~」
「お前、仕事変えた方が良いんじゃね?」
「情報部は万年人手不足なんですよ~。あっちの国に、こっちの国にみたいにほとんど彷徨ってるようなものなんです」
「最後に国に帰ったのはいつだ?」
「この仕事に就職してからは一度も……」
……マジで大丈夫か?ライトライト。
光強ければ闇も深いってか?
シャレになんねーぞ。
「あー嬢ちゃん金は大丈夫か?」
「え?えっと手持ちはそんなにないです……」
「じゃあ宿代は俺が肩代わりしてやるからその分情報上乗せしてくれ。別な宿に行くぞ」
「え!?でも先輩達から……」
「いいからいいから。適当に理由付けておけ。俺は夜中にトイレに付いて行くほど優しい男じゃないぞ」
「夜にトイレぐらい一人で行けます‼」
「あの宿のが付くが?」
嬢ちゃんはボロ宿を見てうめき声を出す。
「……お願いします」
「そんじゃ来た道を戻りながら普通の宿を探そう、もうすぐ暗くなる」
日が落ちかけているのを見て少し急ぐ。
適当に普通の宿はすぐに見つかったが問題はまた起こった。
「部屋が一つしか空いてない?」
「はい。お二人様同じ部屋でよければご案内しますよ」
とのこと。正直に言えば特に問題は俺にはないが嬢ちゃんの方がな……
こんな子供体形の見た目でも一応十九らしいし。
「どうする、ほか探すか?」
「……襲いませんよね」
「俺はロリコンじゃねぇって。店主、その部屋で構わない。飯はギルドのほうで食うから今晩の飯と朝飯は無しでいい」
「分かりました。ではご案内します」
店主の案内で二階に上がった俺たちは普通のベッドが二つと簡素なテーブルが一つの部屋に来た。
「こちらの部屋になりますがよろしいですか?」
「うん。ありがとうね」
店主は部屋の鍵を俺に渡して一階に戻った。
「あ~あ。久しぶりのベッドだ~」
嬢ちゃんはさっそくベッドにダイブしていた。
枕に顔をうずめて足をバタバタさせている。
「そんなベッドぐらいではしゃぐな。野宿でも長かったのか?」
「長かったですよ~。ついこの間まで皆と一緒に野宿です。移動手段は商人のふりをした馬車でお尻もとっても痛かったんですから」
「馬ぐらい一人一頭って訳にはいかないのか」
「いきませんね~。馬も大抵は魔物と戦う人達優先ですから」
……どんなとこでも戦闘職が優先か、悲しい現実だね。
俺もベッドに腰を下ろしてから話した。
「ところであなたの名前は何ですか?」
「また突然だな」
「いえ、今貴方の事を呼ぼうとした時、そういえば名前聞いてないな~と思いまして」
「ならお前の名前も教えろ。コードネーム?でも可」
嬢ちゃんはベッドから起きて悩むような素振りをした後言った。
「私はコードネーム『アリス』です。あなたのお名前は」
「俺はリュウ、ちょっと強いだけの調教師だ。よろしくアリス」
「よろしくお願いします。リュウさん」
軽い握手をしながら名乗った。
……しょうもない事だが女からさん付けで呼ばれるのは初めてだな。
「さて、それじゃ飯でも食いに行くか」
「そうですね。お腹空きました」
俺たちはギルドに飯を食いに行った。
俺とアリスがギルドに来た際にアリスが子供と勘違いされて一波乱あったがとりあえず飯には食いつけた。
ギルドで飯のメニューを見るとなぜか俺が捕まえてきた蜘蛛の足が何故かメニューに入ってたのは本気で驚いた。
どうもあの蜘蛛の足だけは食えたらしく完全にゲテモノメニューだが激安価格、ちなみに俺は無難に鶏肉を焼いた物にする。
「アリス……お前チャレンジャーだったのか」
「だって……すっごく安かったもので……」
アリスは激安に誘われて蜘蛛の足にしてた。
よく食う気になるな、蜘蛛だぞ、蜘蛛。
アリスの蜘蛛の足を他に頼んだ奴はいないか探したら、一部の連中がパンもスープも頼まず蜘蛛の足ばかり食ってる集団がいた。
まさかあの集団がアリスの仲間か?
「おいアリス、まさかあの連中お前の仲間か?」
「え?」
俺が指で指した方を見るとアリスは驚いていた。
あの集団の中に昼間感じた気配も感じるから多分当たってる。
「ち、違いますよ。流石に先輩たちじゃありませんよ……」
目が泳いでるぞアリス。
その反応だけで十分証拠になってるよ。
「本気で心配になってきたぞ。ライトライトってここまで悪徳な国だったけ?」
「悪徳は止めてくださいよ、一応勇者の生まれ育った国としての誇りがあるのですから」
「でもお前やあいつらを見るとさ」
「ううう、うちの部署は特殊なんです」
こんな形で特殊って言葉を使うとは思ってなかった。
アリスは「あ、意外とおいしい」と蜘蛛の足を黙々と食べていたがやはり不憫に思う。
まさかあいつらあのボロ宿に泊まってる訳じゃないよな?
「飯食い終わったら情報交換するぞ」
「はい。分かりました」
夢中で食ってるが本当に大丈夫か?
「マジでここに泊まるのか?」
嬢ちゃんの案内で来た宿はものすんげーボロボロの宿だった。
本当に営業しているのかすら怪しい。
「なぁ、お前の部署って金無いの?」
「うう、確かに騎士団や魔術師団に比べれば少ないですけどこんなおんぼろの宿に泊まるのは初めてですよ~」
「お前、仕事変えた方が良いんじゃね?」
「情報部は万年人手不足なんですよ~。あっちの国に、こっちの国にみたいにほとんど彷徨ってるようなものなんです」
「最後に国に帰ったのはいつだ?」
「この仕事に就職してからは一度も……」
……マジで大丈夫か?ライトライト。
光強ければ闇も深いってか?
シャレになんねーぞ。
「あー嬢ちゃん金は大丈夫か?」
「え?えっと手持ちはそんなにないです……」
「じゃあ宿代は俺が肩代わりしてやるからその分情報上乗せしてくれ。別な宿に行くぞ」
「え!?でも先輩達から……」
「いいからいいから。適当に理由付けておけ。俺は夜中にトイレに付いて行くほど優しい男じゃないぞ」
「夜にトイレぐらい一人で行けます‼」
「あの宿のが付くが?」
嬢ちゃんはボロ宿を見てうめき声を出す。
「……お願いします」
「そんじゃ来た道を戻りながら普通の宿を探そう、もうすぐ暗くなる」
日が落ちかけているのを見て少し急ぐ。
適当に普通の宿はすぐに見つかったが問題はまた起こった。
「部屋が一つしか空いてない?」
「はい。お二人様同じ部屋でよければご案内しますよ」
とのこと。正直に言えば特に問題は俺にはないが嬢ちゃんの方がな……
こんな子供体形の見た目でも一応十九らしいし。
「どうする、ほか探すか?」
「……襲いませんよね」
「俺はロリコンじゃねぇって。店主、その部屋で構わない。飯はギルドのほうで食うから今晩の飯と朝飯は無しでいい」
「分かりました。ではご案内します」
店主の案内で二階に上がった俺たちは普通のベッドが二つと簡素なテーブルが一つの部屋に来た。
「こちらの部屋になりますがよろしいですか?」
「うん。ありがとうね」
店主は部屋の鍵を俺に渡して一階に戻った。
「あ~あ。久しぶりのベッドだ~」
嬢ちゃんはさっそくベッドにダイブしていた。
枕に顔をうずめて足をバタバタさせている。
「そんなベッドぐらいではしゃぐな。野宿でも長かったのか?」
「長かったですよ~。ついこの間まで皆と一緒に野宿です。移動手段は商人のふりをした馬車でお尻もとっても痛かったんですから」
「馬ぐらい一人一頭って訳にはいかないのか」
「いきませんね~。馬も大抵は魔物と戦う人達優先ですから」
……どんなとこでも戦闘職が優先か、悲しい現実だね。
俺もベッドに腰を下ろしてから話した。
「ところであなたの名前は何ですか?」
「また突然だな」
「いえ、今貴方の事を呼ぼうとした時、そういえば名前聞いてないな~と思いまして」
「ならお前の名前も教えろ。コードネーム?でも可」
嬢ちゃんはベッドから起きて悩むような素振りをした後言った。
「私はコードネーム『アリス』です。あなたのお名前は」
「俺はリュウ、ちょっと強いだけの調教師だ。よろしくアリス」
「よろしくお願いします。リュウさん」
軽い握手をしながら名乗った。
……しょうもない事だが女からさん付けで呼ばれるのは初めてだな。
「さて、それじゃ飯でも食いに行くか」
「そうですね。お腹空きました」
俺たちはギルドに飯を食いに行った。
俺とアリスがギルドに来た際にアリスが子供と勘違いされて一波乱あったがとりあえず飯には食いつけた。
ギルドで飯のメニューを見るとなぜか俺が捕まえてきた蜘蛛の足が何故かメニューに入ってたのは本気で驚いた。
どうもあの蜘蛛の足だけは食えたらしく完全にゲテモノメニューだが激安価格、ちなみに俺は無難に鶏肉を焼いた物にする。
「アリス……お前チャレンジャーだったのか」
「だって……すっごく安かったもので……」
アリスは激安に誘われて蜘蛛の足にしてた。
よく食う気になるな、蜘蛛だぞ、蜘蛛。
アリスの蜘蛛の足を他に頼んだ奴はいないか探したら、一部の連中がパンもスープも頼まず蜘蛛の足ばかり食ってる集団がいた。
まさかあの集団がアリスの仲間か?
「おいアリス、まさかあの連中お前の仲間か?」
「え?」
俺が指で指した方を見るとアリスは驚いていた。
あの集団の中に昼間感じた気配も感じるから多分当たってる。
「ち、違いますよ。流石に先輩たちじゃありませんよ……」
目が泳いでるぞアリス。
その反応だけで十分証拠になってるよ。
「本気で心配になってきたぞ。ライトライトってここまで悪徳な国だったけ?」
「悪徳は止めてくださいよ、一応勇者の生まれ育った国としての誇りがあるのですから」
「でもお前やあいつらを見るとさ」
「ううう、うちの部署は特殊なんです」
こんな形で特殊って言葉を使うとは思ってなかった。
アリスは「あ、意外とおいしい」と蜘蛛の足を黙々と食べていたがやはり不憫に思う。
まさかあいつらあのボロ宿に泊まってる訳じゃないよな?
「飯食い終わったら情報交換するぞ」
「はい。分かりました」
夢中で食ってるが本当に大丈夫か?